非常に強力なテレビ機能を搭載しているのも、VAIO Jの大きな特徴だ。VAIO独自のテレビ視聴/録画/管理ソフトである「Giga Pocket Digital」は、Ver.3.0にメジャーバージョンアップ。それに加えて、地上/BS/110度CSデジタルの3波対応テレビチューナー2基と、MPEG-4 AVC/H.264ハードウェアトランスコーダー(AVCトランスコーダー)2基をMini PCI Express型の小さな基板に凝縮した新型テレビチューナーカードも備える。この組み合わせにより、H.264での長時間録画が2番組同時に行なえるようになった(従来は同時1番組のみ)。
MPEG-2 TS形式のデジタル放送はデータサイズが大きいため、そのままの形式で録画していくとすぐにHDDの容量が足りなくなってしまう。HDDが1Tバイトあっても安心はできないが、圧縮率を高めても画質を劣化させにくいH.264のリアルタイム録画が2番組同時にできるのは、テレビ好きにはたまらないポイントだ。外付けHDDに番組を録画し、再生することもできる。
録画時の画質は、MPEG-2 TS形式の直接録画(DRモード)を含めて5種類から選ぶことができるため、映画は高画質で、バラエティや情報番組はそこそこの画質で、といった使い分けも簡単だ。録画設定には画質と容量のバランスに配慮した「HD標準モード」(1920×1080ドット/約4.5Mbps)が追加されている。
Giga Pocket Digital 3.0の録画モード | ||||
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解像度 | ファイル形式 | モード名 | ビットレート(目安) | 1時間の録画に必要なHDD容量 |
HD | MPEG-2 TS | DR | 地上:約17Mbps、BS/110度CS:約24Mbps | 地上:約7.5Gバイト、BS・110度CS:約10.6Gバイト |
H.264 | HD高画質 | 約10Mbps | 約4.4Gバイト | |
H.264 | HD標準 | 約4.5Mbps | 約2.0Gバイト | |
H.264 | HD長時間 | 約3.5Mbps | 約1.5Gバイト | |
SD | H.264 | SD長時間 | 約2.0Mbps | 約0.9Gバイト |
Giga Pocket Digital 3.0の使い勝手は上々だ。番組視聴時では、チャンネルの切り替え速度を従来の5秒前後から3秒前後に高速化するとともに、切り替え時にチャンネル名と番組タイトルを先に表示しておくことで、待ち時間のストレスを軽減する工夫がなされている。
番組の予約録画は、PCの電源を落とした状態からでも開始できるようになった。録画予約の10分前になると自動でPCが起動し、録画を行う仕組みだ。留守中や寝ている間に番組を予約録画する場合、PCの電源を切っておけるのはありがたい。録画した番組は、ジャンル別、チャンネル別、日時別に自動整理され、連続ドラマなどは番組名のフォルダ内にまとめられるため、大量の録画データから視聴したい番組を探し出すのも容易だ。
Giga Pocket Digitalには、録画データを解析してチャプターを自動作成したり、フィルムロールで表示したりする機能があるが、このコンテンツ解析を録画時に同時で行うようにしており、録画が終了したらすぐにフィルムロール表示やチャプター操作が可能になっている。これまでは録画後のコンテンツ解析にかなり時間がかかり、PCのパフォーマンスを割く必要があったため、これを2基のAVCトランスコーダーで録画と同時に行えるようになったのは大きな進歩だ。
録画番組の書き出しについてはダビング10に対応し、BD-R/REおよびCPRM対応のDVD-RAM/-RW/-Rディスクに書き出せる。DVD-Rへの書き出しをサポートしたのは今回からで、より安価なメディアを利用可能になったのは朗報だ。録画時には、CMなどのタイミングで自動的にチャプターが作成され、チャプターを任意に設定したり、いらない部分をカット編集したりしてディスクに書き出せる。
通常の録画と同時に、プレイステーション・ポータブル(PSP)やウォークマンなどの携帯機器に転送して再生できるデータを作成する機能も進化した。従来機で利用していたワンセグデータ(320×240ドット/128kbps/15fps)ではなく、元の録画データからのトランスコードでより大きなデータ(320×240ドット/768kbps/29.97fps)を作成することで、高画質化を図るとともに、地デジに加えてBSデジタルや110度CSの番組を持ち出せるようになったのだ。
モバイル機器用の録画データだけを保存し、元の録画データは消去することで、HDDの容量を節約しながら録画番組のライブラリ化を行うことも可能だ。モバイル機器用の録画データは100Gバイトの容量に約310時間を保存できるため、フルHDの録画データよりも大幅に容量を減らせる。
録画番組の再生では、コンテンツ再生ソフト「Media Gallery」でのおすすめ表示に対応した。録画した大量の未視聴番組をユーザーの好みに応じて、Media Galleryがリコメンドして表示してくれる。また、スポーツ中継の盛り上がったシーンだけを再生する「ダイジェスト再生機能」も進化した。これまでの野球やサッカーに加えて、ゴルフ、バレーボール、テニス、フィギュアスケートが新たにサポートされており、CMだけを省いての再生や、音声付きの1.5倍早見再生も行える。
そのほか、指定したキーワードや条件に合致した番組、ユーザーの視聴履歴から分析したおすすめ番組を自動録画してくれる「おまかせ・まる録」機能、外部の情報提供会社が持つオンラインデータベースから番組内容やCM内容などを取得して詳細な文字情報で表示する「カタログビュー」機能など、先進的な機能は健在だ。テレビ録画に関連した機能は、民生用のBlu-ray Discレコーダーをも超える充実ぶりで、VAIO Jの大きなアドバンテージといえる。
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