「CC700D」は、オーバークロックメモリメーカーとして知られているCorsairから発売されたフルタワーPCケースだ。Corsair初のPCケースとして登場したExtended ATX対応のフルタワーPCケース「CC800DW」の低価格モデルという位置付けになる。実際、CC800DWが実売4万円前後であるのに対して、CC700Dは、3万円前後と購入しやすい価格が設定されている。
Extended ATXはサーバ用マザーボードなどに用いられるフォームファクタで、通常のATXよりも奥行きが8.64センチほど大きい。もちろん、ネジ穴の位置などはほかのATXフォームファクタと互換性があるため、通常のATXマザーボードもCC700Dに取り付けが可能だ。
Extended ATXに対応しているおかげで、PCケースの奥行きが長い。これは、搭載したいPCパーツの選択が柔軟にできるというメリットにつながる。例えば、大型のクーラーユニットを載せたハイエンドグラフィックスカードをミドルタワーPCケースに取り付けると、HDDのSerial ATAケーブルとグラフィックスカードのPCI Expressの電源ケーブルが干渉して、L字形Serial ATAケーブルを別に購入することになったり、場合によっては取り付けができないこともある。
CC700Dであれば、奥行きを気にせずパーツを設置できるため、こうしたトラブルはまず起きない。ただし、本体サイズは229(幅)×609(奥行き)×609(高さ)ミリと、一般的なPCケースと比べるとかなり場所をとる。特に机の下に入れて運用したい場合は、机の下に入るのかを購入前に確認しておく必要がある。
上位モデルのCC800DWとの違いは2つ。1つはサイドパネルで、CC800DWは内部パーツを外から見ることができるアクリルパネルを採用していたのに対して、CC700Dはシンプルなカバータイプとなっている。もう1つは、CC800DWではフロントパネルからアクセス可能なリムーバブルケースを備えていたのが、CC700Dでは通常のシャドウベイに変更された。
基本的な構成は、上位機種のCC800DWを踏襲している。CC800DWとCC700Dの最大の特徴は、何といっても3チャンバー構造をはじめとする高い冷却能力だろう。3チャンバー構造とは、CPUやマザーボード、拡張カードを収容するエリアと、HDDを収納するシャドウベイ、そして、電源ユニットという主要な熱源を、3つのチャンバー(小部屋)に分け、それぞれに吸気と排気機能を持たせることで、熱源を独立させて効率よく冷却する仕組みだ。HDDなどが、ほかの熱源となるPCパーツの影響で動作不良を起こすといったトラブルを回避できる。
CC700Dでは、3チャンバー構造を採用していることもあって、冷却ファンは標準で3基、オプションを使えば最大7基まで取り付け可能となっている。標準で付属するのはすべて14センチと大口径のファンで、取り付け位置は、ドライブベイの中間に1基、電源ユニットを収容するチェンバーとマザーボードを収容するチェンバーの仕切りに底面から吸気するファンが1基、そして、リアパネルに1基という構成だ。これらに加えて、オプションで、天面に12センチファンを3基、底面に同じく12センチファンを1基取り付けられる。
CC700Dは、大きめに作られていることもあってマザーボードの上端から天面まで約10センチほどの余裕がある。この空間にもCorsairの「CWCH50-1」のような小型水冷ユニットを取り付けることが可能だ。また、冷却液のチューブを通す穴も背面に用意されているので、超大型の外付け水冷キットと組み合わせても使える。これから登場する「超大型」水冷ユニットにも十分対応していけるだろう。
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