ここからは実際のパフォーマンスを調べていこう。Windowsエクスペリエンスインデックスの基本スコアは4.5だ。最も低いサブスコアはプロセッサで、これは省電力なデュアルコアCPUのAthlon II X2 250u(1.6GHz)を採用しているので仕方がない。
しかし、そのほかのサブスコアを見てみると、メモリは5.5と十分で、プライマリハードディスクでは7.5と飛び抜けたスコアが得られている。また、外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470を装備するだけあって、グラフィックスは5.1、ゲーム用グラフィックスは6.3といずれも高い。
総合的なパフォーマンスを評価するベンチマークテストのPCMark05とPCMark Vantage(x64)、DirectX 9.0世代の3Dグラフィックス性能をチェックする3DMark06、DirectX 8.1世代の3DゲームテストであるFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も試したが、傾向はWindowsエクスペリエンスインデックスとほぼ同じだ。
Athlon II X2 250u(1.6GHz)の性能は、ほかのEeeTop PCが採用するAtomシリーズを大きく上回り、さらに上位のCULVクラスにあるCore i3-330UM(1.2GHz)よりも少し高いが、デスクトップPC向けエントリーモデルであるCeleron E3300(2.5GHz)に比べて見劣りするといった具合だ。
一方、外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470が生かされ、3Dグラフィックス性能はこの価格帯のPCとしては優秀だ。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、高解像度のHigh設定でも「デフォルト状態でとても快適に動作させることができる」とされるスコア(とてつよ)を示しており、この程度の3Dゲームタイトルなら十分遊べるだけのパフォーマンスがある。
システム全体のバランスとしては、エントリーPCクラスのCPUに、3.5インチの高速なHDDと外部GPUによる高度なグラフィックス性能が加味され、Windows 7を十分快適に扱えるレベルにある。
動作音については、背面の排気口から真上に吹き上げて排気する仕組みのせいか、静かな部屋だと「フォーン」という排気音が少し耳につく。しかし、音量や音質が一定しているため、操作しているうちにいつの間にか気にならなくなってくる。また、生活音が多いリビングなどでは、そのほかの音にかき消されてしまうので、強く静音性を求めているのでなければ、十分許容できるだろう。
ET2010AGTの標準価格は7万4800円となっており、オンラインの安売り店でも7万円強から7万円台前半で価格が推移している。ほかの液晶一体型PCで多く搭載されているMicrosoft Office 2010やテレビチューナーが不要ならば、シンプルで飽きがこないボディにマルチタッチ対応の20型ワイド液晶を備え、さらにHDMI入力限定ながら外付けディスプレイとしても使える液晶一体型PCがこの価格、というのは大きな魅力だ。
ASUSの「Eee」ブランドということで、Netbook/Nettopに連なる製品として位置付けられているが、パフォーマンス面でもほかのモデルとは一線を画している。Windows 7でのマルチタッチ操作がどのようなものか体験してみたい場合や、子どもやシニア向けの初めてのPCが欲しい場合、あるいは個人で使う手軽なサブPCとして、強くおすすめできる低価格な液晶一体型PCだ。
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