ラサにはPCメーカーの代理店が集中する“電脳街”がある。中国の小さな都市にも必ずあるレノボやヒューレット・パッカードの代理店やショップブランドPCを販売するパーツショップ、そして、デジタルカメラ専門ショップはもちろん、ラサの電脳街ではソニーやキヤノンの代理店も確認できた。チベットでもPCを購入しようと思えば、安価な自作PCからステータスシンボルといわれるThinkPad、VAIOのノートPCまで選べるようだ。
電脳関連の販売拠点としては、ほかにもハイアール(海爾、Haier)や、「蘇寧」「国美」といった中国の大規模家電量販店では販売していない「スカイワース」(創維、Skyworth)という中堅の中国家電メーカーを扱う代理店が集中する電気街、ノンブランドの低価格テレビとDVDプレーヤーがそろう“市場”がある。ここでは、WiiやPSPといったコンソールゲームデバイスを販売するショップもあるという。このような、庶民向けの市場でも、生活家電やAV家電は一通りそろう。
ラサをはじめとしたチベットの都市と、この連載で以前紹介したモンゴルの首都ウランバートルは雰囲気がよく似ているが、デジタルガジェットを含めて、ショッピング事情はラサがより充実しているようだ。
一方で旧市街は、古くからの雰囲気を残したままだ。中国の青海省とチベット自治区のラサをつなぐ青蔵鉄道の開通により、以前より多くの観光客が訪れるようになったが、観光地化が著しく進んでしまった中国の世界遺産と異なり、ラサの旧市街は筆者が訪ねた10年前と同じように生活の場として利用され、多くのチベット人が旧市街の聖地を巡り、寺の前で五体倒地をして祈っている。
チベットの聖地を訪れる観光客は漢民族や外国人だけでない。チベット人にとっても“大都会”のラサは一度は行きたいあこがれの場所であるので、地方からたくさんのチベット人がやってくる。旧市街と新市街には多数の宿泊施設があるが、「チベット人が落ち着けるチベット人部屋」と「漢民族が落ち着ける漢民族部屋」それぞれを用意するホテルもある。ちなみに一部のホテルでは、「インターネット接続可能」「液晶テレビの設置」をアピールする広告を掲げている。
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