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「iOS 4.2」ついにリリース――登場8カ月目のiPadを一新するアップデート林信行が速攻リポート(3/4 ページ)

» 2010年11月22日 22時31分 公開
[林信行,ITmedia]

iPhoneやiPod touchの4.1では体験できなかった最新機能

 さて、ここまではすでにiPhoneやiPod touchでiOS 4を使っている人には、ある程度おなじみの機能だったが、実はiOS 4.2にはiOS 4.1になかった機能もいくつか搭載されている。その代表格が「AirPrint」と「AirPlay」だ。

・「AirPrint」

 「AirPrintはご存じの通り、iPadからプリンタに印刷する機能です。使い方は非常に簡単で、このメニューから『プリント』を選ぶだけ」。ブロデリック氏はそういって画面右上の書き出しアイコンをクリックして「Print」というメニューを選択。するとiPad版の「Pages」で開いていた書類が、すぐにヒューレット・パッカード(HP)のAirPrint対応プリンタから印刷され始めた。

 「AirPrintの利用には、アプリケーション側の対応が必要ですが、我々が出しているビジネス系アプリケーション、Keynote、Pages、Numbersは、いずれもiOS 4.2のリリースに合わせてバージョンアップを行い、AirPrint機能に対応しました」

AirPrintはHP製プリンタに対応。プリンタ側がAirPrintに対応すればよく、iOS側のアップデートなどは不要だという

AirPrintで印刷を指定すると、Print Centerが立ち上がりバックグラウンドで印刷処理を実行する。印刷中はサマリーを表示できる

 オフィス系アプリケーションの中でも、最も印刷が難しいものといえば、印刷ページの概念にとらわれずに表作成ができてしまう表計算ソフトのNumbersだろう。アップルは印刷時のイメージを枠線で見ながら、表の大きさをスライダーを使って自由自在に拡大/縮小するインタフェースで、この問題の解決に当たっている(表の大きさを自動認識して、自動的に印刷ページにおさまるように調整する機能も搭載している)。

Numbersでは印刷プレビュー時に拡大/縮小が可能になっている

 ただし、1つ注意しなければならないことは、AirPrint機能を利用するにはプリンタ側の対応が必要で、今のところ対応しているのはHP製の最新プリンタラインアップだけになっていることだ。現在、正式に対応しているのは「HP Photosmart Premium C310c」「HP Photosmart Plus B210a」「HP ENVY100」の3機種に限られる。

 アップルは現在、さまざまなプリンターメーカーにAirPrintへの対応を呼びかけているところだという。

AirPrint対応のHP製プリンタ。左から「HP Photosmart Premium C310c」「HP Photosmart Plus B210a」「HP ENVY100」

・「AirPlay」

 今回、筆者が個人的に一番衝撃を受けたのは、実はこの「AirPlay」のデモだ。AirPlayといえば、iPadで購入した動画を、Apple TV経由で大画面のテレビでも楽しめる技術だという認識でいた。しかし、ブロデリック氏がまず開いたのはフォトアルバムだった。フォトアルバムで家族写真を表示すると、おもむろにテレビ画面の形の中に三角形が描かれたAirPlayアイコンのメニューから、画像の出力先として「Apple TV」を選択。すると、iPadの画面に映っているのとまったく同じ写真が、テレビに表示された。

 ここでiPadの画面をフリックして、次のページを表示させると、ちゃんとテレビの方でも写真が切り替わる。スライドショーにしても同じだ。これなら、いずれ会議室のテレビに、Apple TVをつなげておけば、参加者がそれぞれのiPadからプレゼンのスライドをワイヤレスで表示できるようになりそうだ。

 旅行の写真をiPadの画面で楽しむだけでなく、ちょっとしたメニュー操作だけでテレビにも表示させてしまうAirPlay技術を一度でも体験してしまったiPadユーザーは、Apple TVを買いたくてたまらない衝動に駆られるはずだ(なお、Apple TVもiOS 4.2リリースと同時にアップデートされた)。

 もちろん、AirPlayでは、iPadで購入した映画を、Apple TV経由でテレビに表示させることもできる。ここで面白いのが、映画の再生や巻き戻しといった操作は、iPadの画面を操作しても行えるが、Apple TV付属のリモコンでも行えるということだ。

 またマルチタスク対応のおかげで、iPadに入っている映画をApple TV経由で再生している最中に、iPadでメールをチェックしたり、Webブラウジングをしたりとほかの作業をしていても支障がないことにビックリさせられた。

 AirPlayが広まれば、ユーザーはiTunesのどのコンテンツをどのデバイス上に購入したかをいちいち細かく気にしないでもよくなりそうだ。

AirPlayを利用すれば、Apple TVなどに写真や動画、iTunesからダウンロードした映画などを表示できる。解像度は720p。iPadを操作するとテレビに写し出された写真も動く。スライドショーなどもできる

映像出力中は専用画面が表示される

iOS 4.2のOne More thingとは……

・「Find My iPad」

 今回リリースされたiOS 4.2には、1つ、サプライズがあった。

 これまでiPhoneには、紛失しても簡単に探し出したり、音を鳴らして見つけやすくしたり、置き忘れた場合に機密情報を盗まれないよう遠隔ロックをかけたり、必要に応じて中の情報をすべて抹消するリモートワイプを行ったりできる「iPhoneを探す(Find my iPhone)」という人気機能が、MobileMeというアップルの年間購読サービスの1機能として提供されていた。

 iOS 4.2では、これと同様の機能のiPad版が搭載され、しかもMobileMeに年間登録しなくても利用できるようになる、というのだ。iPadを認識するためにApple IDでのログイン登録は必要だが、有料のMobileMeサービスに登録せずに誰もがこの機能を利用できるようになることは、特にiPadを企業で採用しようと検討していた人たちにとって大きなニュースだ。

 これまで多くの企業が、ノートPCの電車内置き忘れによる情報漏えいを気にしていて、ビジネスの現場がほとんどモバイル化の恩恵を受けられないようになってしまっていた。しかし、iPadとFind My iPad機能を組み合わせれば、電車内に置き忘れてもある程度、安全なモバイルビジネスができるからだ。

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