PC USER Pro

「IPS226V」実力診断――イチキュッパで“S-IPS II”搭載の21.5型フルHD液晶改良版IPSパネルの画質は!?(1/3 ページ)

» 2010年12月07日 11時30分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

新型IPSパネル+低価格で人気のフルHD液晶ディスプレイ

LGエレクトロニクス・ジャパンの「IPS226V」。実売価格は1万9800円前後だ

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、新型IPSパネル「UH-IPS」および「S-IPS II」を搭載した液晶ディスプレイ「IPS6 series」を11月下旬に発売した。UH-IPSパネル搭載の23型フルHD液晶ディスプレイ「IPS236V」と、S-IPS IIパネル搭載の21.5型フルHD液晶ディスプレイ「IPS226V」をラインアップしている。

 これらは開口率を高めた新型パネルにより、バックライトの光を透過しやすくして、IPSパネルの課題である開口率の低さに起因する輝度やコントラストの低下を抑えているのが特徴だ。UH-IPSは従来のH-IPSに比べて、開口率を18%も高めており、さらにS-IPS IIはUH-IPSよりも開口率を11.6%アップしている。

 また、新型IPSパネルを採用しているにもかかわらず、量販店での実売価格は23型ワイドのIPS236Vで2万4000円前後、21.5型ワイドのIPS226Vで1万9800円前後と、驚くほど安いのも見逃せない。グループ企業と連携し、部品製造から販売まで一環して行うことで、ここまで低価格化できたという。新型IPSパネル搭載かつ低価格とあって、発売直後から人気を博しており、注目の液晶ディスプレイといえる。

 今回はS-IPS IIパネルを備えた21.5型ワイドのIPS226Vを試してみた。UH-IPSを搭載した23型ワイドのIPS236Vについては、既にレビュー記事を掲載しているので、併せてチェックしてほしい。今回入手したのは同社から借用したサンプル機(海外版ベース)であり、実際の製品と一部異なる可能性があることはあらかじめお断りしておく。

「IPS226V」が搭載するS-IPS IIパネルをマイクロスコープで撮影。UH-IPSと比べて、開口率をさらに11.6%向上している。形状がIPS236Vとは明らかに異なる
「IPS236V」が搭載するUH-IPSパネルをマイクロスコープで撮影。従来のH-IPSと比べて、開口率を18%アップした。画素の形状は従来のH-IPSにかなり近い

非光沢の21.5型フルHD液晶パネルを採用

1920×1080ドット表示の21.5型UH-IPSパネルを搭載。パネル表面は非光沢で映り込みがほとんどない

 IPS226Vのパネルサイズは21.5型ワイド(非光沢)で、アスペクト比は16:9だ。つまり、画面サイズは23型ワイドのIPS236Vよりも一回り小さい。画面解像度は1920×1080ドットと変わらないため、ドットピッチの狭さ(表示の細かさ)を許容できるかどうかがポイントになる。もっとも、昨今は15型やそれより小さい画面サイズのノートPCでもフルHDの解像度を確保した製品が少なくない。多くのユーザーにとって、IPS226Vの表示が細かすぎて困ることはないだろう。ドットピッチが狭いことで、かえって密度が高く精細な表示に見える面もある。

 基本スペックはIPS236Vと同等だ。IPSということで視野角は水平/垂直とも178度と広く、斜めから見た場合の色度変位が小さい(色が変わりにくい)。輝度は250カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1、最大表示色は約1670万色だ。応答速度は中間階調から中間階調(GTG)で14ms、中間階調から白/黒で6msとなっている。色域については特にアナウンスがないが、広色域タイプではなく、sRGBクラスだ。

 PC用の液晶ディスプレイなので、むやみに輝度を上げるよりは表示の安定性や低消費電力を狙っているのかもしれない。バックライトの調光制御と映像処理エンジン「f-ENGINE」によって、最大500万:1のダイナミックコントラスト比の表示に対応しているのもIPS236Vと共通だ。

 バックライトにはエッジライト式の白色LEDを使用し、消費電力や発熱を抑えつつ、画面部を薄く仕上げている。消費電力は通常動作時で33ワット、省電力/スリープモード時で0.5ワット以下と、23型ワイドのIPS236Vより消費電力が少し低い。

個性的なボディに3系統の映像入力を装備

 ボディはIPS236Vと同じ独特のデザインを採用している。画面部は光沢ブラックで覆われており、背面はともかく前面フレームの照り返しや映り込みが少々気になる。スタンドは、円形のベースと円柱のネックで構成されており、ネックにオレンジのクリアパーツをはめ込んでいるのが目を引く。これは、シャンパンが注がれたグラスをイメージしたデザインという。低価格ながらデザインに注力していることがうかがえる。

 画面の位置調整については、下5度/上15度のチルト調整に対応するのみで、スイベルや高さの調整、縦位置表示などは行えない。そのチルト機構もヒンジが硬く、少々調整しにくい印象だ。ただ、液晶ディスプレイ部の背面にはVESAマウント規格に準拠したネジ穴(75ミリピッチ)が設けられているので、市販のフレキシブルアームなどと組み合わせやすい。

 本体サイズは514.7(幅)×230(奥行き)×403(高さ)ミリ、重量は約3.49キロだ。23型ワイドのIPS236Vよりも幅が短いため、狭いスペースに置きやすい。しかし、230ミリという奥行きは変わらず、円形のベースは、この画面サイズにしては大きめで厚みもあるので、もう少しコンパクトにまとめてほしかった。

 背面にはD-Sub、DVI-D(HDCP対応)、HDMIの映像入力端子が並ぶ。スピーカーは内蔵していないが、HDMIの音声を出力するステレオミニのヘッドフォン端子は用意している。また、電源ユニットも内蔵しておらず、ACアダプタを利用する。

 低価格帯の製品でありながら、HDMIも含んだ3系統の映像入力を用意しているのは大いに評価したい。コネクタの向きが水平なため、背面に少しスペースが必要になるが、ケーブルの着脱はしやすいだろう。

背面まで光沢ブラックで統一されている。ボディは樹脂製だ
下5度まで画面を傾けた状態
上15度まで画面を傾けた状態

スタンドのネックには、シャンパングラスをイメージしたクリアパーツがはめ込まれている
映像入力はD-Sub、DVI-D(HDCP対応)、HDMIの3系統。HDMI入力の音声を出力するヘッドフォン端子も備える

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月27日 更新
  1. そのアプリ、本当に安全ですか? スマホ新法で解禁された「外部ストア」と「独自決済」に潜むリスク (2025年12月26日)
  2. マウスコンピューターがPC全製品の受注を停止 法人向けPC「Mouse Pro」も購入不可能に 販売再開は2026年1月5日から順次 (2025年12月26日)
  3. さらばWindows 10、ようこそ“画面付き”パーツ 古参も新規もアキバに集った2025年を振り返る (2025年12月26日)
  4. 25Gbpsインターネット時代の“モンスターマシン” ミニワークステーション「Minisforum MS-02 Ultra」を試す (2025年12月25日)
  5. Ryzen 7×GeForce RTX 5050 Laptop GPUの「ASUS TUF Gaming A16 FA608UH」がセールで16万9800円に (2025年12月25日)
  6. HHKB Studio専用の「木製」「アルミ製」キートップが登場 PFUダイレクトで1月5日発売 (2025年12月25日)
  7. 「買うならお早めに」が悲痛な叫びに変わった年末 猛暑の後に“価格高騰”の寒波が襲った2025年PCパーツ街 (2025年12月25日)
  8. 「テクノロジーが前面に出すぎていた」――アイロボットジャパン新社長が語る、ルンバ復権への“原点回帰” (2025年12月25日)
  9. 高コスパNASから小型スマホの救世主まで! 2025年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5 (2025年12月24日)
  10. ソースネクストが8万9800円(期間限定で7万4800円)の「Windows 11 Pro 15.6インチノート型PC 1TB」を販売開始――ストレージ容量を倍増 (2025年12月26日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー