レビュー
» 2011年03月10日 11時30分 公開

まさに下克上のパワーとスタミナ:新型「VAIO S」徹底検証(後編)――その性能は“Z”を超えたのか? (2/3)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

システム全体のパフォーマンスをチェック

 アプリケーションベースの定番ベンチマークテストであるPCMark05とPCMark Vantageで、システム全体のパフォーマンスを測定した。

PCMark05 1.2.0のスコア(左)、PCMarkVantage 1.0.2.0 x64(1024×768)のスコア(右)

 PCMark05のスコアはGraphicsの項目に注目だ。VAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)のSPEEDモード(Radeon HD 6630M/1Gバイト)が8519、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)のSPEEDモード(Radeon HD 6470M/512Mバイト)が6166、STAMINAモード(Intel HD Graphics 3000)が3980、従来機(VPCS149FJ/P)のデフォルト(Intel HD Graphics)が2746と、グラフィックスの差がはっきり出た。また、新型VAIO Sの外部GPUはいずれもVAIO Z(VPCZ11AFJ)のSPEEDモード(GeForce GT 330M/1Gバイト)を上回った点も見逃せない。

 CPUのスコアではCore i5とCore i3の差が大きい。PCMark05はシングルスレッドの内容が多いこともあり、Turbo Boost 2.0で動作クロックが大きく上がるCore i5とCore i3の差が浮き彫りとなった。また、新型VAIO SのCore i5-2410M(2.3GHz/最大2.9GHz)とCore i5-2520M(2.5GHz/最大3.2GHz)は、VAIO Z(VPCZ11AFJ)のCore i7-620M (2.66GHz/最大3.33GHz)と同程度か少し上のスコアが出ている。

 一方、PCMark05の後継となる新しいテストのPCMark Vantageでは、Core i5とCore i3の差があまりなく、新型の上位機(VPCSB19FJ/B)と下位機(VPCSB18FJ/W)、および従来機(VPCS149FJ/P)のスコアはかなり拮抗(きっこう)している。SPEEDモードとSTAMINAモードの差はGamingの項目ではっきり見られるものの、MusicやCommunication Suitesでは逆にSTAMINAモードのほうがよいこともあり、全体としては差が大きくない。

 飛び抜けてよいスコアをマークしたのが、VAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)で、これはまずクアッドSSDの影響が大きい。HDDのテストではHDD搭載モデルの5倍以上のスコアをたたき出したが、ほかの項目でもディスクアクセスの比重はそれなりに多いため、全体にスコアがジャンプアップしている。また、総合スコア(PCMark)とCommunication Suitesには、暗号化処理を高速化するAES-NI対応のテストが含まれているため、CPUのCore i5-2520MがAES-NIに対応している効果も見られる。ここでもクアッドSSD搭載のVAIO Z(VPCZ11AFJ)を追い抜く好結果となった。

2つのグラフィックスで描画性能はどう変わるか?

 3Dグラフィックス性能を調べるため、DirectX 9.0c世代のベンチマークテストである3DMark06、DirectX 8.1世代のゲームをベースにしたテストであるFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、DirectX 9.0c世代のゲームであるストリートファイターIVベンチマークを実行した。

3DMark06 1.1.0(1280×768)のスコアは、VAIO Zのみ1366×768ドットの設定なので参考値(左)、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア(中央)、ストリートファイターIVベンチマークのスコア(右)

 3DMark06とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは各GPUの性能差がはっきり現れた。新モデルのSTAMINAモードで使われるCPU内蔵グラフィックス(Intel HD Graphics 3000)は、外部GPUには及ばないまでも、従来機(VPCS149FJ/P)のCPU内蔵グラフィックス(Intel HD Graphics)と比べて大幅に性能が改善されており、FINAL FANTASY XI程度なら高解像度設定でも十分プレイできそうだ。ちなみに、FINAL FANTASY XIではVAIO Z(VPCZ11AFJ)がやや優勢という結果になった。

 ストリートファイターIVベンチマークでは、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)のSTAMINAモード(Intel HD Graphics 3000)ではプレイできないことはないが全体的に緩慢で、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)のSPEEDモード(Radeon HD 6470M/512Mバイト)ならば軽快だ。VAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)のRadeon HD 6630Mならば、4xのアンチエイリアスを有効にした高画質設定でも快適に動く。

 なお、ハイスペックなVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)のみ、高画質オプションにDirectX 11の技術を取り入れているColinMcRae:DiRT2 Demoのテストも実行してみた。結果は2xAA/ULTRAの設定で24.4fps、2xAA/HIGHの設定で31.8fps、2xAA/MEDIUMの設定で48.8fpsだった(1280×720ドット/AVERAGE FPS)。ULTRA設定ではたまに描画がカクつくが、HIGH設定では30fpsを超えており、かなり本格的なゲームタイトルのプレイにも対応できることが分かる。

CPU内蔵グラフィックスが有利な動画エンコードテストも実施

 Media Espresso 6.5を使って動画エンコードの速度も検証した。ここでは2分間のAVCHDムービー(1280×720ドット)をスマートフォン向けの動画(640×360ドット/MP4)に変換する時間を計測している。Media Espresso 6.5はIntel HD Graphics 3000/2000のハードウェアエンコード機能(Intel Quick Sync Video)に対応したソフトなので、STAMINAモードだとハードウェアエンコードが利用できる。また、GPUがIntel HD Graphics 3000/2000でなくとも、ハードウェアデコード機能を備えたGPUがあれば、デコードのみGPUの機能を使える。

Media Espresso 6.5による動画エンコードの速度
モデル名 VPCSB19FJ/B (SPEED) VPCSB19FJ/B (STAMINA) VPCSB18FJ/W (SPEED) VPCSB1AGJ (SPEED) VPCS149FJ/P
動画の変換時間 36秒 34秒(高画質)/30秒(高速) 40秒 36秒 91秒/868秒
備考 ハードウェアデコードのみ有効 いずれもハードウェアデコード・エンコード有効 ハードウェアデコードのみ有効 ハードウェアデコードのみ有効 ソフトウェア処理/ハードウェアデコードのみ有効
※2分間のAVCHDムービー(1280×720ドット/約15Mbps/2分)をスマートフォン向けの動画(Apple汎用/640×360/H.264/MP4)に変換

 結果はやはりIntel HD Graphics 3000のハードウェアデコード/ハードウェアエンコードがともに有効になるSTAMINAモードのほうが高速だった。しかし、Radeon HD 6470Mのハードウェアデコードが有効になるSPEEDモードでもそれほど差はなかった。

 一方、Intel HD Graphicsのハードウェアデコードのみ有効にできる従来機(VPCS149FJ/P)の場合は、これを有効にするとCPUのみで処理するより大幅に時間がかかってしまうという予想外の結果となった。CPUかグラフィックスコアのどちらかしかターボしない初代Turbo Boostの仕様が影響しているのかもしれない。

 ともあれ、新型VAIO SではSTAMINAモードにすればIntel Quick Sync Videoが問題なく利用でき、対応ソフトウェアではハードウェアエンコーダの恩恵による動画変換の高速化が図れることが確認できた。

Windows 7の起動時間はホントに高速なのか?

 レビュー前編でも紹介したが、新型VAIO Sは「Quick Boot」という高速起動のための技術も採用している。BIOSやOS起動時のタスクを最適化することで、Windows 7の起動を高速化しており、VAIOオーナーメードモデルのSSD選択時で約20秒以下、HDD搭載の構成でも約30秒という高速起動を実現しているという。そこでWindows 7の起動時間も計測した。

 起動時間については、電源ボタンを押してからWindows 7の「ようこそ」画面が消えてデスクトップ画面が現れるまでの時間を計測している。

Windows 7の起動時間
モデル名 VPCSB19FJ/B(SPEED) VPCSB1AGJ(SPEED) VPCS149FJ/P
起動時間(5回の平均) 32.53秒 18.73秒 39.31秒
※電源ボタンを押してから「ようこそ」画面が消えるまでを測定

 テスト結果は、新旧のHDD搭載モデルの差が6〜7秒程度と大きくは違わなかった。一方、クアッドSSDを搭載するVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)では20秒以下と抜群の速さだった。クアッドSSD構成では、電源ボタンを押してから、Windows 7の起動画面で出てくるまでの時間が高速で、BIOSの最適化がはっきり体感できるほどだ。

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