新型「VAIO S」徹底検証(後編)――その性能は“Z”を超えたのか?まさに下克上のパワーとスタミナ(1/3 ページ)

» 2011年03月10日 11時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

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VAIO初のSandy Bridge搭載モバイルノートをテストする

フルフラットボディの新型「VAIO S」

 ソニーが2011年3月8日に発表した新型「VAIO S」は、23.9ミリ厚のフルフラットボディに最新テクノロジーを満載しており、見た目も中身も大きく進化を遂げた。その特徴はレビュー前編で取り上げた通りだ。

 今回のレビュー後編では、Sandy Bridgeこと第2世代Core iシリーズやGPU切り替え機能の採用により大いに期待されるパフォーマンスをはじめ、バッテリー駆動時間、さらにはボディの発熱や騒音もチェックしていこう(試用したのは発売前の試作機なので、テスト結果は実際の製品とは異なる場合がある)。

 テストは店頭販売向けの標準仕様モデル上位機「VPCSB19FJ/B」(ブラック)と下位機「VPCSB18FJ/W」(ホワイト)、およびソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナーメードモデル「VPCSB1AGJ」(ブラック)、そして従来機「VPCS149FJ/P」(ピンク)で実施した。また、テストによっては13.1型ハイエンドモバイルノート「VAIO Z」の2010年春モデル「VPCZ11AFJ」のスコアも参考までに併記した。

 新型VAIO SとVAIO ZはGPU切り替え機能を備えているが、パフォーマンステストは基本的に外部GPUを利用する「SPEED」モードで行った。ただし、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)のみ、CPU内蔵グラフィックスを使う「STAMINA」モードでも試している(従来機のVPCS149FJ/PはGPU切り替え機能なし)。テストに利用した各機のスペックは下表にまとめた。

今回テストした新型VAIO S。左から、標準仕様モデル上位機「VPCSB19FJ/B」(ブラック)、標準仕様モデル下位機「VPCSB18FJ/W」(ホワイト)、VAIOオーナーメードモデル「VPCSB1AGJ」(ブラック)のハイスペック構成だ。VPCSB19FJ/BとVPCSB1AGJはいずれもブラックのカラーで見た目は変わらない

左が従来の標準仕様モデル「VPCS149FJ/P」、右が「VAIO Z」の2010年春モデル「VPCZ11AFJ」。VPCZ11AFJはVAIOオーナーメードモデルのハイスペック構成となっている

今回テスト結果を比較したVAIOノート
シリーズ名 VAIO S (2011年春モデル第2弾) VAIO S (2011年春モデル第2弾) VAIO S (2011年春モデル第2弾) VAIO S (2011年春モデル第1弾) VAIO Z (2010年春モデル)
モデル名 VPCSB19FJ/B VPCSB18FJ/W VPCSB1AGJ VPCS149FJ/P VPCZ11AFJ
販売チャネル 店頭向け標準仕様モデル(上位) 店頭向け標準仕様モデル(下位) VAIOオーナーメードモデル 店頭向け標準仕様モデル VAIOオーナーメードモデル
CPU Core i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz) Core i3-2310M (2.1GHz) Core i5-2520M (2.5GHz/最大3.2GHz) Core i3-380M (2.53GHz) Core i7-620M (2.66GHz/最大3.33GHz)
CPU内蔵グラフィックス Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics Intel HD Graphics
外部GPU Radeon HD 6470M (512Mバイト) Radeon HD 6470M (512Mバイト) Radeon HD 6630M (1Gバイト) GeForce GT 330M (1Gバイト)
メモリ PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト×1) PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト×1) PC3-10600 8Gバイト (4Gバイト×2) PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2) PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2)
データストレージ 500GバイトHDD (5400rpm) 500GバイトHDD (5400rpm) 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) 500GバイトHDD (5400rpm) 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0)
光学ドライブ Blu-ray Disc DVDスーパーマルチ Blu-ray Disc DVDスーパーマルチ Blu-ray Disc
液晶 13.3型1366×768ドット 13.3型1366×768ドット 13.3型1366×768ドット 13.3型1366×768ドット 13.1型1920×1080ドット
OS 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Professional 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium
オフィススイート Office Home and Business 2010 Office Home and Business 2010 Office Home and Business 2010
発売時の実売価格 20万円前後 16万円前後 22万4800円 14万円前後 31万6800円

CPUとGPUの世代交代で性能を底上げ、そして“格が違う”クアッドSSD

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果をまとめてみた。新型VAIO Sは従来機(VPCS149FJ/P)に比べて、特にグラフィックス関連のサブスコアが高い。STAMINAモードでもゲーム用グラフィックスのサブスコアは1.0高く、Intel HD GraphicsがIntel HD Graphics 3000に強化されたことによる3D描画性能の向上が見られる。

 ただ、プロセッサのサブスコアは意外に差がなく、標準仕様モデル下位機(VPCSB18FJ/W)では従来機(VPCS149FJ/P)よりも少し低いサブスコアとなった。同じCore i3のデュアルコアモデルであり、動作クロックは従来機(VPCS149FJ/P)のほうが高いのだから、こんなものだろうか。

 興味深いのはハイスペックな構成のVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)が、同じくハイスペックな構成のVAIO Z(VPCZ11AFJ)を全体的に上回ったことだ。搭載するメモリが多いことを差し引いても、CPUやGPUの世代交代などにより、VAIO Z並からそれを超えるパフォーマンスを獲得していることが確認できた。

 新型VAIO SのVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)とVAIO Z(VPCZ11AFJ)のプライマリハードディスクのサブスコアが飛び抜けてよいのは、クアッドSSDを搭載している影響だ。いずれも同じ容量の256GバイトクアッドSSD(64Gバイト×4、RAID 0)だが、新型VAIO Sのほうがサブスコアは上となった。

256GバイトのクアッドSSD(64Gバイト×4、RAID 0)を搭載したVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)のCrystalDiskMark 3.0スコア

 というわけで、VAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)に関しては、試しにストレージ性能のテストであるCrystalDiskMark 3.0も実行した。すると、シーケンシャルリードで823.1Mバイト/秒、シーケンシャルライトで629.4Mバイト/秒という強烈なスコアをたたき出した。

 このスピードはSerial ATA 6Gbpsの理論上限(600Mバイト/秒)も超えているので、単体のSSDではどう頑張っても出ないスコアだ。Serial ATA 3Gbpsを4ポートも使って接続されているというクアッドSSDならではのハイスコアといえる。

 ちなみに、約1年前に発売されたVAIO Z(VPCZ11AFJ)の256GバイトクアッドSSDでは、シーケンシャルリードで578Mバイト/秒、シーケンシャルライトで418Mバイト/秒という結果であり、SSDユニット自体が高速化しているのもポイントだ。

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