←・第2世代Core i+GPU切り替え+クアッドSSD+フルフラットボディ+長時間駆動:新型「VAIO S」徹底検証(前編)――VAIO初“Sandy Bridge”モバイルの出来栄えは?
ソニーが2011年3月8日に発表した新型「VAIO S」は、23.9ミリ厚のフルフラットボディに最新テクノロジーを満載しており、見た目も中身も大きく進化を遂げた。その特徴はレビュー前編で取り上げた通りだ。
今回のレビュー後編では、Sandy Bridgeこと第2世代Core iシリーズやGPU切り替え機能の採用により大いに期待されるパフォーマンスをはじめ、バッテリー駆動時間、さらにはボディの発熱や騒音もチェックしていこう(試用したのは発売前の試作機なので、テスト結果は実際の製品とは異なる場合がある)。
テストは店頭販売向けの標準仕様モデル上位機「VPCSB19FJ/B」(ブラック)と下位機「VPCSB18FJ/W」(ホワイト)、およびソニーストア直販のハイスペックなVAIOオーナーメードモデル「VPCSB1AGJ」(ブラック)、そして従来機「VPCS149FJ/P」(ピンク)で実施した。また、テストによっては13.1型ハイエンドモバイルノート「VAIO Z」の2010年春モデル「VPCZ11AFJ」のスコアも参考までに併記した。
新型VAIO SとVAIO ZはGPU切り替え機能を備えているが、パフォーマンステストは基本的に外部GPUを利用する「SPEED」モードで行った。ただし、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)のみ、CPU内蔵グラフィックスを使う「STAMINA」モードでも試している(従来機のVPCS149FJ/PはGPU切り替え機能なし)。テストに利用した各機のスペックは下表にまとめた。
今回テスト結果を比較したVAIOノート | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
シリーズ名 | VAIO S (2011年春モデル第2弾) | VAIO S (2011年春モデル第2弾) | VAIO S (2011年春モデル第2弾) | VAIO S (2011年春モデル第1弾) | VAIO Z (2010年春モデル) | |
モデル名 | VPCSB19FJ/B | VPCSB18FJ/W | VPCSB1AGJ | VPCS149FJ/P | VPCZ11AFJ | |
販売チャネル | 店頭向け標準仕様モデル(上位) | 店頭向け標準仕様モデル(下位) | VAIOオーナーメードモデル | 店頭向け標準仕様モデル | VAIOオーナーメードモデル | |
CPU | Core i5-2410M (2.3GHz/最大2.9GHz) | Core i3-2310M (2.1GHz) | Core i5-2520M (2.5GHz/最大3.2GHz) | Core i3-380M (2.53GHz) | Core i7-620M (2.66GHz/最大3.33GHz) | |
CPU内蔵グラフィックス | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics 3000 | Intel HD Graphics | Intel HD Graphics | |
外部GPU | Radeon HD 6470M (512Mバイト) | Radeon HD 6470M (512Mバイト) | Radeon HD 6630M (1Gバイト) | − | GeForce GT 330M (1Gバイト) | |
メモリ | PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト×1) | PC3-10600 4Gバイト (4Gバイト×1) | PC3-10600 8Gバイト (4Gバイト×2) | PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2) | PC3-8500 4Gバイト (2Gバイト×2) | |
データストレージ | 500GバイトHDD (5400rpm) | 500GバイトHDD (5400rpm) | 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) | 500GバイトHDD (5400rpm) | 256GバイトSSD (64Gバイト×4、RAID 0) | |
光学ドライブ | Blu-ray Disc | DVDスーパーマルチ | Blu-ray Disc | DVDスーパーマルチ | Blu-ray Disc | |
液晶 | 13.3型1366×768ドット | 13.3型1366×768ドット | 13.3型1366×768ドット | 13.3型1366×768ドット | 13.1型1920×1080ドット | |
OS | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Professional | 64ビット版Windows 7 Home Premium | 64ビット版Windows 7 Home Premium | |
オフィススイート | Office Home and Business 2010 | Office Home and Business 2010 | − | Office Home and Business 2010 | − | |
発売時の実売価格 | 20万円前後 | 16万円前後 | 22万4800円 | 14万円前後 | 31万6800円 | |
まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果をまとめてみた。新型VAIO Sは従来機(VPCS149FJ/P)に比べて、特にグラフィックス関連のサブスコアが高い。STAMINAモードでもゲーム用グラフィックスのサブスコアは1.0高く、Intel HD GraphicsがIntel HD Graphics 3000に強化されたことによる3D描画性能の向上が見られる。
ただ、プロセッサのサブスコアは意外に差がなく、標準仕様モデル下位機(VPCSB18FJ/W)では従来機(VPCS149FJ/P)よりも少し低いサブスコアとなった。同じCore i3のデュアルコアモデルであり、動作クロックは従来機(VPCS149FJ/P)のほうが高いのだから、こんなものだろうか。
興味深いのはハイスペックな構成のVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)が、同じくハイスペックな構成のVAIO Z(VPCZ11AFJ)を全体的に上回ったことだ。搭載するメモリが多いことを差し引いても、CPUやGPUの世代交代などにより、VAIO Z並からそれを超えるパフォーマンスを獲得していることが確認できた。
新型VAIO SのVAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)とVAIO Z(VPCZ11AFJ)のプライマリハードディスクのサブスコアが飛び抜けてよいのは、クアッドSSDを搭載している影響だ。いずれも同じ容量の256GバイトクアッドSSD(64Gバイト×4、RAID 0)だが、新型VAIO Sのほうがサブスコアは上となった。
というわけで、VAIOオーナーメードモデル(VPCSB1AGJ)に関しては、試しにストレージ性能のテストであるCrystalDiskMark 3.0も実行した。すると、シーケンシャルリードで823.1Mバイト/秒、シーケンシャルライトで629.4Mバイト/秒という強烈なスコアをたたき出した。
このスピードはSerial ATA 6Gbpsの理論上限(600Mバイト/秒)も超えているので、単体のSSDではどう頑張っても出ないスコアだ。Serial ATA 3Gbpsを4ポートも使って接続されているというクアッドSSDならではのハイスコアといえる。
ちなみに、約1年前に発売されたVAIO Z(VPCZ11AFJ)の256GバイトクアッドSSDでは、シーケンシャルリードで578Mバイト/秒、シーケンシャルライトで418Mバイト/秒という結果であり、SSDユニット自体が高速化しているのもポイントだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.