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» 2011年03月10日 11時30分 公開

まさに下克上のパワーとスタミナ:新型「VAIO S」徹底検証(後編)――その性能は“Z”を超えたのか? (3/3)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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優秀なバッテリー駆動時間を実証

バッテリー駆動時間のテスト結果

 バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANでインターネットに常時接続し、WebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット)を指定している。新モデルのテスト環境はSTAMINAモード(電源プランはバランス、ディスプレイ輝度40%)で統一した。

 テスト結果は、どれもバッテリーの残りが5%で休止状態へと移行したが、それまでのバッテリー駆動時間は標準仕様モデルの上位機(VPCSB19FJ/B)と下位機(VPCSB18FJ/W)がほぼ同じで約6時間半となっており、従来機(VPCS149FJ/P)より1時間半近くも長く駆動した。公称値の約8時間(上位機)や約8.5時間(下位機)には及ばないものの、ネットに常時接続状態であることを考慮すれば、かなり優秀といえる。ちなみにグラフには入れていないが、VAIO Z(VPCZ11AFJ)のテスト結果は5時間半〜5時間45分程度なので、これと比べてもバッテリー駆動時間が長い。

 さらに、標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)に拡張バッテリーを装着した状態での駆動時間は12時間48分で、標準の2倍に近い長時間駆動を実証した。これならACアダプタがしばらく使えない環境でも安心して使えるだろう。

ファン制御については発売時のアップデートで対応

放熱制御はデフォルトの「バランス」のほか、「放熱優先」と「静かさ優先」の3種類から選べる

 今回は発売前の試作機でさまざまな評価を行っているが、少し気になったのが動作音だ。アイドル時は「ファンが動作しているな」ということが分かる程度の音だが、高負荷時はかなり大きな音がする。3Dゲームのプレイ中などは、ほかのPCや空調などが動作しているような環境でもはっきりファンノイズが分かるほどだ。この点については、まだ調整段階ということで、新型VAIO Sの発売時にファンコントロールを改善するアップデートが配布されるという。そのため、テスト結果の具体的な騒音レベルには触れないでおく。

 ボディの発熱に関しては、底面の右側が多少熱を持つ程度で、使用時に手が触れるパームレストなどは高負荷時でもまったく発熱する気配がなく、ひんやりとしている。参考までに室温22度の環境で標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)をSPEEDモードに設定し、高い負荷をかけた(PCMark05と3DMark06を連続実行)ところ、パームレストの左側が22度、右側が26度、キーボードは25〜30度程度、底面の左側が33度、右側が40度とクールだった。この辺りもファンコントロールのアップデートで値が変わってくるだろうが、その調整によってパームレストが高温になるとは考えにくい。

 なお、「VAIOの設定」から放熱設定は「バランス」「放熱優先」「静音優先」と3種類を選べるのだが、上記のテスト結果は標準の「バランス」のものだ。テストした段階では、設定を変更しても動作音や発熱の違いはほとんど感じられなかったが、「静音優先」設定ではCPU速度も制限されるとのことなので注意したい。

使うほどによさが分かるハイグレードなモバイルノート

 以上、2回に渡って新型VAIO Sの内と外をじっくりチェックした。実売価格は標準仕様モデルの上位機(VPCSB19FJ/B)で20万円前後、下位機(VPCSB18FJ/W)で16万円前後の見込みだ。併売される従来機(VPCS149FJ/P)が発表当時で14万円前後だったので、ハイスペック寄りのモバイルノートPCになったぶん、下位機でも少し価格が上乗せされていることになる。

 標準仕様モデル上位機(VPCSB19FJ/B)で厚さ23.9ミリ、重量約1.76キロ、バッテリー駆動約8時間というスペックは決して派手なものではないが、はっきりとしたデータがとりにくい部分、例えば、液晶ディスプレイのハーフグレア処理やしっかりと打ちやすいキーボード、アルミニウムとマグネシウムを組み合わせたフルフラットボディといった部分も従来のVAIO Sに比べてコストがかけられており、仕上がりがよく、価格以上にグレードの高い製品に仕上がっていることは間違いない。

 さらにVAIOオーナーメードモデルについては、13.1型フラッグシップモバイルノートのVAIO Zを超える高性能な構成も可能なことは、各種ベンチマークテストの結果からも明らかだ。液晶ディスプレイの解像度や色域、本体サイズの小ささや軽さはVAIO Zが勝るものの、それらを優先しないなら、新型VAIO Sは非常に強力なパフォーマンスが得られる13.3型モバイルノートとして、実に魅力的に映る。

 最後に、あえて個人的な注文を付けるとすれば、やや保守的なスペックが見られるところだろうか。例えば、今どきのモバイルノートPCとしては、光学ドライブの非搭載によるさらなる軽量化や、標準仕様モデルへのSSDの採用といったことはできないものか、と感じてしまう。画面の表示解像度ももっと高解像度のオプションがほしい(そうなると、VAIO Zとの差別化がさらになくなってしまうが)。

 どちらかといえば万人向け、大衆向けのVAIO Sでは時期尚早という考えも理解できなくはないのだが、万人向けだからこそ、大きなインパクトを与えられる、ということもあるだろう。いずれはもっと思い切った展開も期待したい。

 とはいえ、現状で新型VAIO Sが完成度の非常に高いオールインワンモバイルノートPCであることに疑いはなく、使ってみると、そのよさがジワジワと実感できる。従来のVAIO Sもそんなバランスのよい製品だったが、新モデルでは過去のモデルを大きく上回る体験が味わえるはずだ。

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