「VAIO Y(YA)」徹底検証――“11.6型”追加モデルの実力は?ソニー、PC秋冬モデルの隠し球(1/4 ページ)

» 2010年11月10日 10時01分 公開

11型クラスのVAIOノートがYシリーズ追加機種として復活

11.6型ワイド液晶搭載の「VAIO Y(YA)」シリーズは「VPCYA19FJ/B」の1モデル展開だ。発売日は11月27日の予定。価格はオープンで、実売価格は11万円前後の見込み

 2010年のPC秋冬モデルもほとんど出そろった今になって、モバイルノート戦線が何やら慌ただしい。10月21日にアップルから「11インチMacBook Air」が登場したのもつかの間、11月10日にはソニーが秋冬の追加モデルとして「VAIO Y」シリーズに11.6型ワイド液晶搭載の「VAIO Y(YA)」を投入してきた。年末に向けて国内のノートPC市場では、“11型クラス”の注目度ががぜん増している。

 VAIO Yシリーズは、Atom搭載Netbookの上位に位置するCULV(Consumer Ultra Low Voltage)版のインテルCPUを採用した低価格なモバイルノートPCとして、2010年1月に発売された2010年7月のモデルチェンジでは、CPUをCULV版のCore 2からCore iへ世代交代するとともに、ボディデザインの改良とカラーバリエーションの追加を行い、兄貴分の上位モバイルノートである「VAIO S」シリーズとの違いを明確化している。

「VAIO Y」の13.3型ワイド液晶搭載モデル「VPCY219FJ/S」(標準仕様モデル)

 これまでのVAIO Yシリーズは13.3型ワイド液晶ディスプレイを用いたモデルだけだったが、今回新たに11.6型ワイド液晶ディスプレイ搭載の「VAIO Y(YA)」シリーズが加わったことで、ユーザーは性能と携帯性のバランスを考慮しつつ、2つの画面サイズから好きなほうを選べるようになった。

 人気機種だった「VAIO T」シリーズが2009年秋冬モデルで終息して以来、11型クラスのワイド液晶を備えたVAIOノートは空席となっており、より小型軽量のAtom搭載ミニノートが増加傾向だったため、Core i3と11型ワイド液晶を採用したVAIO Y(YA)の登場は、手ごろなサイズと価格のモバイルノートPCを探している人はもちろん、古くからのVAIOノート愛好家にとっても気になるところだろう。

 VAIO Y(YA)のラインアップは、店頭販売向け標準仕様モデル「VPCYA19FJ/B」の1機種だけで、スペックをCTOメニューでカスタマイズして注文できるVAIOオーナーメードモデルは用意されない。まずは年末商戦に1機種を投入して様子見というところか。ここでは11月27日の発売に先駆けてVPCYA19FJ/Bを入手したので、その実力をじっくり調べていきたい。


VAIO Zを一回り小さくしたようなデザイン

マットな質感の天面に、おなじみのVAIOルミナスロゴを配している

 ボディのデザインは13.3型ワイドモデルを継承している。バッテリーにACアダプタ接続用のDC入力端子、透明パーツの電源ボタンといった電源関連の機能を筒状にして背面に集めたうえで、本体トップカバーのデザイン内に溶け込ませた「ブレンドシリンダーフォルム」、ボディの前面を絞り込んでバックへの出し入れをしやすくしつつ、衝撃を受けた場合には壊れにくくした「コンバージェンスライン」、そして曲線を描きつつ隆起したパームレストなど、その外観はハイエンドモバイルの「VAIO Z」を一回り小さくしたような印象だ。

 ボディの素材は樹脂でまとめており、上位機種が採用するマルチレイヤーカーボンやアルミなどは使っていないため、高級感こそ譲るものの、全体にマットな塗装で指紋や汚れが付きにくく、パームレストには細かな凹凸のパターンを設けてサラッとした手触りに仕上げるなど、気を使わずに手でベタベタ触ってラフに扱えるのがいい。片手でパームレストを握って持ち上げてもボディのたわみやゆがみが気になることはなく、なかなかカッチリと作り込まれている。

 カラーはブラックの1色のみ(13.3型ワイドモデルは全5種類)だ。写真では全体が黒1色に見えるかもしれないが、天面やトップカバーはチャコールグレーに近い明度の低いグレーで、本体のボトム側をブラックで塗り分けることで微妙なコントラストを出し、サイドから見た場合に薄く見えるよう工夫しているのが心憎い。

電源関連の機能をまとめたシリンダー部がトップカバー上に飛び出さず、ヒンジとうまく融合したデザインのブレンドシリンダーフォルム
パームレスト部を盛り上げたデザインは、キーボードの打ちやすさや閉じた際に側面をスリムに見せる効果も狙っている。先端に丸みをつけたコンバージェンスラインも健在
パームレストの表面には細かな凹凸がある。パームレストとなじむよう、タッチパッドにも細かなドット状のパターンが施されている

画面サイズの小型化で携帯性が向上

 本体サイズは290(幅)×202.8(奥行き)×25〜31.5(高さ)ミリ、重量は約1.46キロだ。重量は実測値で1.424キロとほぼ公称値通りだった。13.3型ワイドモデルは約1.78キロ(VPCY219FJ/Sの場合)とモバイルノートにしては少し重かったが、こちらはよりコンパクトで1.5キロを切っているので、だいぶ持ち運びやすいだろう。

 もっとも、この重量は13.1型ワイド液晶搭載のVAIO Zとほとんど変わらない。欲をいえば、ソニーが注力してきた薄型化や軽量化の高度な技術をもっと採り入れてほしかったところだが、VAIO Yはコストパフォーマンスに重きを置いたシリーズなので、この辺りは割り切りが必要になる。

 なお、本体と同時に11.6型ワイドモデル専用のキャリングポーチ「VGP-CP27」も発売される。素材にナイロンとポリウレタンを用いたシンプルな作りだが、内側にボディが滑りにくい素材を追加し、持ったときのフィット感に配慮したワザありのポーチだ。もちろん、大容量バッテリー装着時でも収納できるので、インナーケースも同時に購入したい場合は検討してみるといいだろう。価格は2980円だ。

専用のキャリングポーチ「VGP-CP27」は本体とマッチしたブラックのカラーで統一されている。内側に滑りにくい素材を追加しており、ボディにしっかりフィットする

関連キーワード

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11.6型ワイド液晶ディスプレイ採用の一回り小さいモデルが新たに登場。11月27日に発売予定で、予想実売価格は11万円前後。


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