新型「VAIO C」徹底検証(後編)――新素材の蛍光ノートをじっくりテストする性能もキラリと光るか?(2/3 ページ)

» 2011年04月06日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

各種ベンチマークテストで総合的な性能を確かめる

 アプリケーションベースの定番ベンチマークテストであるPCMark05とPCMark Vantageを実行し、システム全体のパフォーマンスを測定した。VAIOオーナーメードモデルはWindows 7の電源プランを「パフォーマンス」(Radeon HD 6630M使用)と「省電力」(Intel HD Graphics 3000使用)に設定し、それぞれでテストしている。

 結果は標準仕様モデル、VAIOオーナーメードモデル、どちらも優秀だ。SSDのオプションが用意されないため、突出したスコアは出ていないが、標準仕様モデルでも約1年前のフラッグシップノートPCに匹敵するといっていい、高いスコアをマークした。

 VAIOオーナーメードモデルでは、特にPCMark VantageのCommunicationテストで飛び抜けたスコアをマークしている。このテストにはAES-NI(暗号関連処理を高速化する命令)に対応した内容が含まれており、AES-NI対応のCore i7-2620Mでは非常に高速に処理できるためだ。実際には、ここまで大きな差が体感できるわけではない。

PCMark05 1.2.0のスコア(画面=左)、PCMarkVantage 1.0.2.0 x64(1024×768)のスコア(画面=右)

 3Dグラフィックス性能を測定するため、DirectX 9.0c世代のベンチマークテストである3DMark06、DirectX 8.1世代のゲームをベースにしたテストのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、DirectX 9.0c世代のゲームであるストリートファイターIVベンチマークを実行した。

 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、標準仕様モデルのほうが高いスコアになったが、VAIOオーナーメードモデルではGPUの切り替え機能がうまく働かなかったと考えられる。そのほかの3Dグラフィックス系テストでは、順当にRadeon HD 6630Mを搭載するVAIOオーナーメードモデルのほうが30〜40%高いスコアをマークした。

 さらにVAIOオーナーメードモデルでは、高負荷なことで知られるFINAL FANTASY XIV Official Benchmarkも実行したが、スコアは1512(ロードタイムは21030ms)だった。標準的にプレイできる基準を満たすことができず、なんとかゲームを立ち上げたとしても、動作がかなり鈍いレベルだ。

3DMark06 1.1.0(1280×768)のスコア(画面=左)、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア(画面=中央)、ストリートファイターIV ベンチマークのスコア(画面=右)

動画エンコードのスピードを調べる

Media Espresso 6.5のエンコードテスト結果

 CyberLinkの動画変換ソフトであるMedia Espresso 6.5を使って、動画エンコードの速度も調べてみた。ここでは約2分のAVCHDムービー(1280×720ドット/約218Mバイト)をスマートフォン向けの動画(640×360ドット/H.264/MP4)に変換する時間を計測している。

 Media Espresso 6.5は、Intel HD Graphics 3000に搭載されたIntel Quick Sync Videoのハードウェアデコード/エンコード機能を利用すると、非常に高速な動画変換が行えることで有名だが、AMDやNVIDIAのGPUでもハードウェアエンコード機能は利用できる。

 テスト結果は、Intel Quick Sync Videoに対応したVAIOオーナーメードモデルはさすがに高速だが、Radeon HD 6470Mを利用する標準仕様モデルでもそこそこ速く、大きく見劣りはしなかった。ただし、もっと長時間の動画ファイルを変換する場合は、差が開いてくるだろう。

大画面ノートでも気になるバッテリー駆動時間は?

バッテリー駆動時間のテスト結果

 VAIO Cは据え置き利用がメインとなるノートPCだが、最近は計画停電などの事情もあるので、バッテリー駆動時間も実測してみた。バッテリー駆動時間のテストに利用したのは、BBench 1.01(海人氏・作)だ。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」とした。無線LANで常時接続し、WebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット)を指定している。Windows 7の電源プランはバランス(ディスプレイ輝度40%)で統一した。

 この条件でBBenchを実行し、バッテリーが満充電の状態から残量5%まで減り、休止状態へ自動的に移行するまでの時間は、標準仕様モデルで3時間19分、VAIOオーナーメードモデルでは4時間4分だった。公称のバッテリー駆動時間は標準仕様モデルで約3.5時間なので、だいたいそれに近い好結果だ。GPU切り替え機能により、CPU内蔵の省電力グラフィックス機能が使えるVAIOオーナーメードモデルのメリットは、やはり大きい。

 なお、オプションとして標準仕様モデルで約7時間の駆動をうたうLバッテリーも用意されている。Lバッテリーを装着すると底面の奥が盛り上がり、重量も少し増えるが、VAIO Cの場合はモバイルノートではないので、それほど不都合はないだろう。


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