液晶ディスプレイは、1920×1080ドットのフルHD表示に対応した23型ワイドサイズだ。視野角が水平/垂直とも178度と広く、IPS方式の液晶パネルなので、視野角による色の変化が少ない。ピタゴラスイングで画面を寝かせた状態で、数人で画面を囲んで画像を見るようなシーンでも、高画質な表示で楽しめる。画面が光沢タイプなので映り込みは大きいが、画面全体が暗めのベタ色に近い表示でなければ、それほど気にならない。
液晶ディスプレイのスペックが比較的詳しく公開されているのは、大手メーカー製PCとしては珍しい。ざっと挙げると、輝度が250カンデラ/平方メートル、コントラスト比が1000:1、画素ピッチが0.265ミリ、最大表示色が1677万色、応答速度(GTG)が14ms、色域がNTSC比68%だ。応答速度が遅く感じるかもしれないが、映像の鑑賞で残像感や動画ブレが気になる場面はほとんどない。画面が動きまくるアクション系のゲームだと厳しいものの、ゲームを重視したマシンではないので、そこを突っ込むのは酷というものだろう。
この広視野角の23型フルHD液晶ディスプレイに、赤外線光学イメージング方式のタッチパネルを組み合わせている。光学式なので、指はもちろん、手袋をした状態でも、タッチペン(別途用意が必要)でも画面に直接触れての操作が可能だ。画面が大きめで視認性も高いため、ミスタップが少なくて済み、ピタゴラスイングによって、タッチ操作にしっくりくる画面角度で使える。総じて、タッチパネルの使い勝手は良好だ。
快適なタッチ操作にはハードウェアだけでなく、ソフトウェアの作り込みも重要だが、HP独自の工夫として、タッチ操作向けの統合ソフトウェア「HP TouchSmart」がプリインストールされているのは見逃せない。ランチャーやシェル的な機能も持っており、メディアファイルの再生、付せん紙ライクのメモ機能、カレンダー/スケジュールなどを、タッチ操作でスムーズに扱える。さすがにWindows 7のデスクトップを丸ごと置き換えるまでは行かないが、タッチ操作するときの基本GUIとして常用する価値は高い。
また、Windows 7自体も標準でマルチタッチ操作に対応しており、タッチ操作を前提としたGUIではないものの、実際に使ってみると意外に快適だ。スタートメニューの操作、アイコンのクリック(タップ)とダブルクリック(ダブルタップ)、ドラッグ、Webブラウズなど、たいていのタップ操作は少し使えばすぐに慣れる。左右のフリックでWebブラウザの「戻る」と「進む」が行えるのも、スマートフォンやタブレットを使っている人にはおなじみの操作だろう。また、Windows 7が備えるタッチ操作用のソフトウェアキーボードは、表示サイズを自由に変更できる。ほどよいサイズに調整しておけば、ある程度のタッチタイプも可能だ。
とはいっても、Windows 7における大半の操作をタッチですませるには無理がある。アプリケーションの使用などもそうだが、例えばエクスプローラの表示を「詳細」にしていたりすると、1つの項目の表示面積が小さくなるため、人間側のタッチ精度がどうしても落ちてしまう。また、光沢画面が指の脂で汚れてくるのも気になるかもしれない。物理的なキーボード/マウスを併用するのはもちろん、先端の細いタッチペンを別途用意しておくのも手だ。タッチペンを使えば画面が汚れず、タッチ精度も高くなる(マルチタッチには向かないが)。
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