FH56/DDの基本スペックをおさらいすると、CPUがCore i5-2520M(2.5GHz/最大3.2GHz/3次キャッシュ3Mバイト)、グラフィックス機能がCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000、メモリがPC3-1066のDDR3 SO-DIMMを4Gバイト(2Gバイト×2)、ストレージが2Tバイトの3.5インチSerial ATA HDD(5400rpm)だ。ディスクリートGPUは搭載しないが、スペックから想像するに、ミドルレンジからミドルハイくらいの性能が期待できる。
Windowsエクスペリエンスインデックスから見ていくと、最低のサブスコアがグラフィックスの「5.8」と、だいたい想像通りの結果だ。プロセッサのサブスコアが「7.1」と頭1つ高い以外は、各サブスコアのバラつきが少なく、性能的なバランスのよさが見て取れる。実際、アプリケーション自体の“重さ”で体感的に遅くなる場面はあったものの、普通にWindows 7を使っていてもっさり感を覚えることはほとんどない。
総合ベンチマークテストのPCMark VantageやPCMark 7も、スペックを反映したほぼ順当な結果といえる。なお、PCMark 7の「Computation」が高スコアなのは、CPU(Core i5-2520M)に実装されたMedia Processing Unitが大きな理由の1つだ。Computationテストは「Video Transcoding」の比率が高く、ここでMedia Processing Unitが存分に働いている。ディスクリートGPUのシステムだと、Computationテストのスコアは基本的にここまで伸びない。PCMark 7の傾向と考えておくとよいだろう。
一方、3Dグラフィックス系のベンチマークテストはやや振るわない。Intel HD Graphics 3000の実力といってしまえばそれまでだが、ストリートファイターIVベンチマークの低負荷設定で「ランクC」や「ランクD」というのは厳しい。3DMark Vantageの「Entry」設定ではそこそこのスコアを出しているので、ゲームの設定で低解像度/低画質にすれば、旧世代のタイトルや軽めのタイトルならば、それほど支障なくプレイできるだろう。
ちなみに動作中の静音性は上々だ。アイドル時は無音に近く、高負荷が続いてファンの回転数が上がっても、さして耳障りには感じない。
FH56/DDは、全体的に目立った欠点が見当たらないボードPCだ。3D描画性能以外のパフォーマンスは十分に高く、特に充実したテレビ機能が大きなポイントになっている。地上/BS/110度CSデジタルの3波ダブルチューナーによる2番組の同時録画や裏番組録画、録画番組のチャプター編集とDVD/BDダビングといったように、たくさんの番組を録画する人も、ライブラリとしてDVD/BDメディアに残しておきたい人も、満足できる多機能を持つ。
液晶ディスプレイの解像度が1920×1080ドットのフルHDでないのは少々残念だが、20型ワイドの画面サイズでフルHD解像度にすると、ドットピッチが狭くなって見づらくなってしまう。画面サイズを考慮すると、1600×900ドットの解像度でちょうどよい。本体サイズを見ても、自室で使う個人用PCやリビングで使うPCとして、大きすぎず小さすぎず、フィットするだろう。
実売価格は大手量販店で13万円前後、オンラインショップの最安値は10万円台前半くらいで(2011年8月9日現在)、スペックやテレビ機能、豊富な付属ソフトまで含めて考えると、コストパフォーマンスは優秀だ。必要十分な性能を基本に、テレビ機能や省スペース性を求める人におすすめしたい。
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