ブラザーは9月6日、薄型インクジェットプリンタ「マイミーオ」シリーズの2011年秋冬モデルを発表した。A4対応のカラーインクジェットプリンタ7機種11モデルを2011年9月中旬より順次発売する。
同日行われた製品発表会の冒頭では、ブラザー販売 代表取締役社長の片山俊介氏が、プリンタ事業の今後の方針について説明した。従来、FAXから複合機への買い換えを狙って商品を展開したマイミーオだが、新製品はプリンタ機能を充実させたことで、インクジェットプリンタ市場での存在感を高め、シェアを獲得する狙いがある。
「ブラザーはこれまで情報通信機器市場において、FAX・複合機メーカーとして認知されているが、今後はビジネス用から家庭用までそろえる総合プリンタメーカーとして製品を提供していきたい」と片山氏は語った。その戦略変更にかける意気込みは、国内インクジェットプリンタ市場の2強であるエプソンとキヤノンを強く意識したと思われる「プリンターに第3の選択肢」というキャッチコピーにも表れている。
続いて、新製品の紹介をブラザー販売 取締役の三島勉氏が行った。まず、インクジェットプリンタ市場の近況について、複合機への買い換えが中心で、写真印刷を行うハイエンドユーザー向けの高機能な商品と、普通紙を印刷するエントリー向けのシンプルな商品で販売数を二分していると説明した。
最近のユーザーは、Web上で利用できる写真共有サービスの普及などから、写真印刷の機会が減り、普通紙印刷の割合が相対的に増えているという。このほか無線LAN接続率の上昇、スマートフォンやクラウドサービスの普及、節電意識の向上など、ユーザーのニーズを反映し、「高速プリント」「多機能・コンパクト」「低消費電力・エコ」「クラウド・モバイル接続」をマイミーオにおけるキーワードとした。
高速プリントについては、A4普通紙の印刷速度がカラー10ipm/モノクロ12ipmと従来に比べて3倍以上高速化し、実用的なスピードであることをアピールした(DCP-J525Nはカラー8ipm/モノクロ10ipm)。また、三島氏はカラープリントヘッドのノズルの数を約2倍に増やし、排紙と同時に次ページの給紙を開始する「連続給紙機構」を採用した新エンジンについても説明した。
「多機能・コンパクト」については、コンパクトなボディかつ、自動両面印刷や、CD/DVD/Blu-ray Discレーベル印刷、ADFなどの機能が充実していること、「低消費電力・エコ」にでは、消費電力をスリープ時で30〜40%カット、電源オフ時には60%カットしたほか、色を淡くすることでインク消費量を抑える「インク節約モード」を従来機通り搭載したことを取り上げた。
クラウドサービス、スマートフォンやタブレットデバイスとの連携については、iPhone/iPadやAndroidデバイス内の画像を印刷できる専用アプリの提供、モバイル版Gmailのメール本文や添付のWord/PDFファイルなどを印刷できるサービス「Google Cloud Print」に2011年12月に対応することを発表、DropBoxやEvernote、Picasaなどのクラウドサービスと連携するという。これらの機能は、無線LAN搭載機種で利用できる。
これらの新機能やスペックの向上を通じて、マイミーオは年内に50万台を販売し、インクジェットプリンタ市場において10%以上のシェアを獲得することを目指すと三島氏はアピールした。
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