Androidモデルは、他社10.1型クラスのモデルがTegra 2やOMAPなどのプラットフォームが主流である中でインテルのAtomプラットフォームを採用する、ほかではあまり見かけない構成となっている。搭載OSはAndroid 2.2(カーネルバージョン2.6.32.9)となる。

ホーム画面はAndroid 2.2標準そのままだ。File Managerなど、いくつかアプリケーションがインストールされていた。Androidマーケットは非対応だが、代わりに「Insyde Market Client Gateway」という代用アプリを用意する(写真=左)。アナログRGB接続で画面を外部ディスプレイにも出力できる(写真=右)Atomプラットフォームであるメリットは、Windows 7モデルと同じ部材を共用することで、シリーズ全体の低コスト化が図れる点、それとともに法人向けモデルのためにニーズに応じたソフトウェアのカスタマイズが行える点などが挙げられる。本体に備えるアナログRGBの映像出力端子はAndroidモデルでも有効で、本体ディスプレイと外部ディスプレイに同じ画面を表示するミラーリング表示をサポートする。
キーボード操作は、標準で刻印されているWindowsキーがAndroidにおける「ホーム」、コンテキストメニューキーが同じく「メニュー」、ESCキーが「戻る」に割り当てられていた。また、F10キー操作で入力モードの切り替えが行える。同じくFn+ファンクションキーの組み合わせは、Fn+F7/F8のボリューム調整のみが行えた。

「Quadrant Standard Edition」で計測した総合ベンチマークスコアの参考値(1002)とシステム情報。参考までに、同じ10.1型サイズで1GHz動作のデュアルコアTegra 2を搭載するAndroidタブレット「ICONIA TAB A500」の総合スコアは1876である参考としてベンチマークアプリケーション「Quadrant Standard Edition」で計測した総合スコアは1002だった。Atom N455はシングルコアで2スレッドの同時処理が行えるHyper-Threading Technologyに対応するが、同アプリケーションによる“System Information”によると、シングルコアで最大1667MHz/最小1000MHzで動作していると記述されていた。動作全般をコンシューマー目線で見ると、Tegra 2搭載などの他機種と比べたパフォーマンスにおけるメリットは残念ながらあまりない印象だ。ついでに、同じ仕様で動作するなら1台でAndroidとWindows 7のデュアルブートが可能であればもう少し「遊び」の要素もありそうだが、残念ながらそのようなモデルの用意はないという。
ただ、Androidモデルは完全法人向けとなるモデルだ。KOUZIROは、ホスト機能付きのUSB Standard-AポートやアナログRGB出力などを標準搭載する基本仕様とともに、導入企業の開発・運用環境に合わせたオリジナルUI、業務アプリケーション(開発も含む)などを組み込んだカスタマイズモデルとして相談・注文できる。
以上、KOUZIRO「FT102」シリーズは「珍しいx86アーキテクチャのAndroidタブレット」であることをちょっとした遊び要素にしてみる点、あるいは比較的スマートな分離キーボードによる2Wayスタイルをポイントにする以外に、コンシューマー用途では乱立する同クラスのタブレットに対して、WindowsモデルもAndroidモデルも残念ながら優位点はあまり存在しない。
ただ、ビジネスシーンにはさまざまな可能性があり、考え方もある。業務マシンとしては、Androidデバイスでもセキュリティ性を考慮したVPNツール・ソリューションの実装、タブレットスタイル+(バーコードリーダーなど)外付け機器と連携した業務アプリケーションの開発やプリインストールなど、総合的な実パフォーマンスではなく「実業務にどう使うか、使えるか」が重要だ。
この意味で、本機の小型軽量、「Windows/Android」「タッチ/キーボード」の2Wayスタイルである特徴は、営業・物流・教育・保守点検など、ビジネスタブレットの導入を想定する企業・業務にとって都合がよいポイントも多いと思われる。さまざま導入シーンを思い描きやすいベースマシンとして、導入候補の1台として検討してみてはいかがだろうか。
Atom搭載Androidも──KOUZIRO、分離キーボード仕様の10.1型タブレット2モデルCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.