年明け最初の目玉となったのは、AMDの新世代GPU「Radeon HD 7970」だ。1月9日に複数メーカーの搭載カードが発売され、5万円台前半から7万円弱で店頭に並んだ。Radeon HD 7970は、28ナノメートルで製造し、PCI Express 3.0をサポートする「Radeon HD 7000」ファミリーに属するハイエンドGPU。標準カードの補助電源は8ピン+6ピンで、ピーク時の消費電力は250ワットと高いが、アイドル時は3ワット以下に抑えられている。
省エネ性だけでなく、基本の描画機能の評判も上々だ。フェイス秋葉原本店は「今回は総合的なレベルアップがすごいです。従来のHD 6000シリーズも悪くないですが、HD 5000からのマイナーバージョンアップ感があったので、HD 7000が出ていざ買い換えという人も多いと思いますよ」と語る。
実際、発売から半月以上が経過した月末でも、街全体で好調に売れている様子だ。ただし、潤沢というわけでなく、需要に対して供給が追いついていないと語るショップは多い。PC DIY SHOP FreeTは「モデル単位では、再入荷のめどは立っていないので、今後枯渇しないかという不安はあります」と語る。
それでも、月の後半からオーバークロック仕様のHD 7970カードも出回るようになり、バリエーションは順調に増えている。また、1月末に下位モデルのRadeon HD 7950を搭載したカードもデビューした。HD 7000が今後も順調に受け入れられそうな状況だ。
CPUは昨年秋から冬にかけて各社のハイエンドモデルが登場し、順調に新世代のプラットフォームが浸透している。特に新旧交代のペースが早いのがAMDだ。昨年末に激レア状態から再入荷した「FX-8150」が月末時点でも十分在庫を残している一方で、旧世代の主力だったPhenom IIは急速に姿を消している。
1月中旬時点で、すでにPhenom IIのすべてとAthlon IIの多くを売り切っていたTSUKUMO eX.は「インテルに比べてAMDのCPUは市場在庫が元から薄いため、世代交代はかなり短期間で済むんですよ。さらに、チップセットがCPUの世代をまたいで対応するというところも、移行をハイスピードにしていると思います」と解説する。
一方のインテルは、LGA 1155対応のSandy Bridgeが安定して主流を担っているかたわらで、ハイエンド向けのSandy Bridge-Eの供給量は月末まで安定していない。特にコストパフォーマンスの高さから人気が高い「Core i7-3930K」は年末から恒常的に品薄となっており、年明けからはバルク版の販売も目立つようになった。
とはいえ、月後半からは「2月ごろにC2ステッピングを採用したモデルが投入されるらしいので、供給量が安定するのがそれ以降だと半分諦めています。ハイエンドを目指すお客さんが多いモデルなので、せっかくなら新ステッピング版がほしいという人ばかりでしょうしね」(某ショップ)といった声も複数のショップで聞かれるようになり、街全体で枯渇感は薄くなっていた印象だ。そして早くも1月末から、C2ステップのSandy Bridge-Eが出回るようになった。
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