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» 2012年02月15日 14時01分 公開

イマドキのイタモノ:この消費電力でこの性能──エコなGPU「Radeon HD 7700」シリーズはどこまで走る? (2/2)

[石川ひさよし,ITmedia]
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「7770は6850に」「7750は6770に」迫る!

 今回の性能評価では、システム構成でIntel Z68 Expressチップセットを搭載するマザーボードを用い、CPUの影響は最小に抑えるためCore i7-2600K(3.4GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.8GHz)を組み合わせている。比較のGPUは、Radeon HD 6850とRadeon HD 6770、そしてGeForce GTX 560TiとGeForce GTX 550 Tiをそろえた。Radeon HD 6850は1つ前の世代で1つ上のセグメントにあったモデルだ。Radeon HD 6790という“Barts”コアの製品もあったが、現時点では販売している製品が少ないため比較対象から除外した。

 Radeon HD 6770は同じセグメントのモデルとなる。Radeon HD 6770は性能的にRadeon HD 5770と同じなので、Radeon HD 5770のユーザーもGPUの更新を検討する目安となるだろう。GeForce GTX 560 Tiは、現在の店頭価格が約2万円前後で、199ドル帯の上限になる。性能レ、そして、消費電力もRadeon HD 7700シリーズよりは高いものとなるが、“すぐ上のクラス”とどれだけの違いがあるのかの指標としたい。

GPU Radeon HD 7770 Radeon HD 7750 Radeon HD 6850 Radeon HD 6770 GeForce GTX 560 Ti GeForce GTX 550 Ti
CPU Core i7-2600K
CPU動作クロック 3.4GHz(Turbo Boost Technology有効時で最大3.8GHz)
マザーボード MSI Z68A-GD80(G3)
チップセット Intel X79 Express
システムメモリ GeIL GP38GB1600C9DC(DDR3-1600動作 4Gバイト×4枚)
HDD/SSD PLDS Plextor SSD PX-128M2P 128GB
OS 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1

3DMark Vantage:3DMarks
3DMark Vantage:Graphics

3DMark 11:
3DMark 11:Graphics

3DMark 11:Physis
3DMarks 11:Combied

Crysis 2
F1 2011

システム全体の消費電力

 3DMark Vantageでは、Radeon HD 7770がRadeon HD 6850と同等のスコアを示した。これは、Graphicsスコアも同様だ。詳細を見ていくと、Radeon HD 7770が得意とするのはPixel ShaderやStream Outで、Color FillやGPU Particles、Perlin Noiseは不得意としているのが分かった。特にColor FillはRadeon HD 6850の6割に満たないなど、テクスチャユニットやROPsの少なさ、メモリバス幅が128ビットに抑えられている点が影響していると考えられる。一方、Radeon HD 7750は、Radeon HD 6770と互角のスコアになっている。詳細テストの結果で見ると、Texture FillとPerlin NoiseでRadeon HD 6770を下回るが、Textture Fillの結果は、Radeon HD 6770の40基に対しRadeon HD 7770で32基まで削減されたテクスチャユニットの影響だろう。

 3DMark 11も、Radeon HD 7770とRadeon HD 6850は同等のスコアだった。ただ、3DMark VantageはRadeon HD7770が若干上回っているが、こちらは若干下回る傾向だ。より細かく見ると、GT1〜3ではRadeon HD 7770が劣勢であるものの、GT4のみ優勢になる。Radeon HD 7750もRadeon HD 6670を少し下回るとはいえ、ほぼ同等と考えていいだろう。仕様上の“数”だけで比較すれば、Radeon HD 6770を上回る要素がないRadeon HD 7750が、スコアではほぼ同等ということは、GCNの優位性を示しているといえるだろう。

 ゲームタイトルを用いたベンチマークテストは、Crysis 2とF1 2011を計測した。3DMark系では上位GPUに対し善戦したRadeon HD 7700シリーズだが、ゲームタイトルのベンチマークテストの結果は振るわない。特にCrysis 2で、Radeon HD 7770はRadeon HD 6850に及ばず、Radeon HD 6770より低いフレームレートにとどまった。F1 2011の結果は、Crysis 2ほど悪くはない。Radeon HD 7770の結果は、Radeon HD6850に届かないが、Radeon HD 6770を上回る。Radeon HD 7750もRadeon HD 6770をわずかに超えた。こうしてみると、Crysis 2のスコアが振るわない要因の1つに、最適化が進んでいないことも可能性として考えられる。

 消費電力は、今回測定したGPUで最も低かったのがRadeon HD 7750、次いでRadeon HD 7770で、特にアイドル時、ディスプレイ消灯条件の消費電力は、この2製品が圧倒的に低い。高負荷条件でも、Radeon HD 7750が112.6ワットと最も低く、ベンチマークテストでほぼ同スコアだったRadeon HD 6770に対して約30ワット低い。28ナノメートルプロセスルールとGCNの性能対消費電力が優れているといえるだろう。Radeon HD 7770も134.5ワットで、Radeon HD 6850より大幅に低いだけでなく、Radeon HD 6770よりもやや低い。

優れた性能対消費電力

 Radeon HD 7700シリーズは、その対象とするユーザー層からみて、カジュアルゲーム向けのGPUだ。ただし、ベンチマークテストで示されたように、性能は従来モデルアから引き上げられ、前世代のGPUで1つ上のGPUに相当する性能を実現する。特に、Radeon HD 7750で見れば、Radeon HD 6770と同等の性能を実現しながら、リファレンスデザインでは補助電源コネクタを持たない。現在、Radeon HD 6770やRadeon HD 5770を使っていて、性能的には十分というユーザーにとっても、買い替えの対象になるのではないだろうか。

 このように、Radeon HD 7700シリーズの最大の魅力は、消費電力の低さにある。Radeon HD 7750を搭載するリファレンスデザインのシングルスロットサイズクーラーユニットはファンの回転数が高く、高負荷条件でやや音が大きく感じられるが、グラフィックスカードベンダーがオリジナルデザインのクーラーユニットを実装すれば、静かな製品も登場するだろう。

 実売価格は、199ドルは現在のレートで1万5000円台となるが、AMDのGPUは初物で価格が高い傾向にあるため、Radeon HD 7770は1万5000〜2万円といったところだろうか。2万円となると、より高性能なGeForce GTX 560 Tiが現在この価格帯にあり、Radeon HD 7770は、性能差を消費電力の効率で訴求することになる。ただ、1万5000円となれば十分に性能に見合った実売価格といえそうだ。

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