「Radeon HD 7970」で“Graphics Core Next”の実力と消費電力を探るイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2011年12月23日 16時30分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

プロセスルールもアーキテクチャも一気刷新

Radeon HD 7970を搭載するリファレンスデザインのグラフィックスカード。見た目以上に中身は変わった

 「Radeon HD 7900」シリーズは、AMDのGPUポジション的にRadeon HD 6900シリーズの後継に当たる、ハイエンドラインアップだ。その最上位の「Radeon HD 7970」は、“Tahiti”(仏領タヒチ島)という開発コード名をつけていた。以下、“Pitcairn”(英領ピトケアン諸島)、“Cape Verde”(カーボベルデ、カーボベルデ共和国)と開発が続いている。Pitcairnがミドルレンジの「Radeon HD 7800」シリーズ、Cape Verdeがバリュークラスの「Radeon HD 7700」シリーズとなる。

 Radeon HD 7970は、プロセスルールを28ナノメートルにシュリンクし、また、第3世代のPCI Expressに対応。そして、Windows 8で採用が予定されているDirectX 11.1をサポートする。チップ内部のアーキテクチャも刷新して全体的なパフォーマンスが向上したとAMDは主張する。

 2009年に登場したRadeon HD 4770から、Radeon HD 5000シリーズ、Radeon HD 6000シリーズと3代に渡って採用してきた40ナノメートルプロセスルールから、ようやくシュリンクしたことになる。40ナノメートルから28ナノメートルに微細化するメリットは、消費電力の削減と、より多くのトランジスタ(特にGPUではシェーダ数の増加など)が見込めることだ。

 第3世代のPCI Expressへの対応については、インテルのプラットフォームで、Intel X79 Expressチップセット搭載マザーボード(それと、一部のIntel 6シリーズチップセット搭載モデル)で、仕様上は第3世代PCI Expressの対応が始まっている。インテルのCPUでは、グラフィックス用のPCI ExpressインタフェースがCPUに統合された現状では、第3世代 PCI ExpressをサポートするCPUを搭載しなければ意味がない。あくまでも、“GPU側も準備は整った”に過ぎない。

 PCI Expressは第1世代で片方向あたり2.5Gbps、第2世代で5Gbps、そして第3世代で8Gbpsの帯域を持つ。第1世代から第2世代の進化のように2倍の帯域増とはならないが、8ビット/10ビット符号化から128ビット/130ビット符号化へと変更してオーバーヘッドを減らすことで、現実的な帯域としては2倍近くになる計算とAMDは説明する。とりあえず、x16インタフェースの双方向で計算すれば8Gbps×2(双方向)×16レーン/8で32Gビット/秒となる。

 DirectX 11.1に関しては、MicrosoftがMSDNでその概要を公開しているが、Radeon HD 7970ではフルサポートしているという。もっとも、ここで注目したいのは、2012年に登場するというWindows 8だろう。Windows 8がDirectX 11.1をサポートするとなると、それを先取りするという意味で価値がある。

 Radeon HD 7970が搭載するシェーダ(StreamProcessior、AMDはRadeon Coreと呼ぶ)は2048基で、これはRadeon HD 6970からは512基増えたことになる。そのアーキテクチャに関して、AMDは「Graphics Core Next」(GCN)と名づけている。

型番 GeForce GTX 580 Radeon HD 7970 Radeon HD 6970 Radeon HD 6950 Radeon HD 6870
コードネーム GF110 Tahiti Cayman Cayman Barts
SIMD 16(SM) 32 24 22 14
ストリームプロセッサ数 512(CUDA Core) 2048 1536 1408 1120
テクスチャユニット 64 128 96 88 56
ROPユニット 48 32 32 32 32
GPUコアクロック 772 925 880 800 900
メモリクロック 1002 1375 1375 1250 1050
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅 384 384 256 256 256
メモリ容量 1536 3072 2048 2048 1024
補助電源レイアウト 8+6 8+6 8+6 6+6 6+6
DirectXサポート 11 11.1 11 11 11
PCI Express 2 3 2.1 2.1 2.1
プロセスルール 40ナノメートル 28ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル

 リファレンスデザインのコアクロックは925MHzで、1GHzはもう目の前だ。AMDによれば、オーバークロックで1GHz超は可能で、「headroom」は大きくとってあると主張する。グラフィックスカードベンダーから1GHz超のオーバークロックモデルが登場する可能性は高い。28ナノメートルプロセスルールが、あと1〜2世代かけて製造も安定してくれば、定格設定で1GHzを超える製品が登場するかもしれない。

GPU-Zで評価に使うRadeon HD 7970搭載グラフィックスカードのリファレンスデザイン仕様を確認する。搭載するシェーダ(Radeon Core)が2048基、グラフィックスメモリの容量は3Gバイトで、そのバス幅が384ビット。コアクロックは925MHzとなる。バスが“PCI-E 3.0 x16”と表示されている(写真=左)。一方、評価で導入した「Catalyst Control Center」から見ると、バスはPCI Express 2.0 x16となっている

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