評価機(プレミアムパッケージ)の構成を確認する。CPUは第3世代のCore i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)、メモリは8Gバイト(DDR3、PC3-12800)、グラフィックスコアはGeForce GT 630M(グラフィックスコア1Gバイト)、データストレージは500GバイトHDDとキャッシュ用32GバイトSSDを組み合わせたIntel Smart Response Technologyに対応している。
スタンダードパッケージとプラチナパッケージのグラフィックス機能はCPU統合のIntel HD Graphics 4000を利用するのに対して、プレミアムパッケージは、GeForce GT 630Mを搭載する点も注目したい。NVIDIAのOptimus Technologyで外付けGPUと内蔵GPUはPC側が自動的に切り替えるため、GPUの存在をあまり意識することはないが、ゲーミングや画像処理といったシーンでの恩恵はとても大きい。
性能比較のため行った総合ベンチマークテストは、PCMark 7と3DMark 11で、ゲームタイトルベンチマークテストでは、ストリートファイターIV ベンチマーク、モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】を実行した。
外付けGPUとCPU統合グラフィックスコアといった2つのグラフィックスコアを持つため、こちらはそれぞれ分けて計測した。Intel HD Graphics 4000とGeForce GT 630Mの性能差はもちろん、スタンダードパッケージとプラチナパッケージの場合は、グラフィックスがIntel HD Graphics 4000になるので、その目安としても参考にしてもらいたい。
PCMark 7ではIntel HD Graphics 4000を有効にした性能が上という結果になった。これはCreativity、Computationといった、ビデオ編集機能やトランスコード性能を測る項目でIntel HD Graphics 4000のスコアが非常に高いことが主な原因だ。Intel HD Graphics 4000に搭載されたハードウェアエンコード機能「Intel Quick Sync Video 2.0」の恩恵と予想される。そのほかの項目についてはどちらも同じくらいのスコアとなった。一方、3D描画の性能を計測する3DMark 11やゲームタイトルベンチマークテストでは、やはりGeForce GT 630Mのスコアが高い。
バッテリー容量は69ワットアワーと、Ultrabookとしては大容量のバッテリーを内蔵しており(ユーザーによる着脱は不可)、動作時間の公称値は約11時間28分と非常に長い。
実動作時間についてはBBench 1.01(海人氏・作)で計測した。液晶の輝度を最大にした状態で、10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LANによるWebページ巡回(10サイト)を行ったところ、バッテリー残量5%になり、休止状態に移行するまでの時間は5時間45分だった。GPU設定をIntel HD Graphics 4000のみの状態、GeForce GT 630Mのみの状態にして同様の計測を行ったが、時間の差は5分以内に収まった。
家やオフィスなど主に屋内で使うことを考慮すると、輝度最大の状態でも約6時間動作するのは優秀だと言える。これなら、屋外に持ち運ぶ必要が出てきた場合でも、内蔵バッテリーで余裕を持って使えるだろう。輝度を中間程度にしてもストレスなく使えるので、周囲の明るさに応じて輝度を低くすることで、より長時間の駆動も可能だ。
オフィスだけでなくリビングにもよくなじむデザインに目がいきがちだが、バッテリー動作時間の長さや1600×900ドット対応の液晶ディスプレイを備えるなど、高いスペックを備えることも魅力的だ。その上で、第3世代のCore i7とGeForce GT 630Mを搭載して12万円台というコストパフォーマンスの高さも注目すべき点だろう。
キーボードの仕上がりもよく、文章作成に十分使えるし、プレゼン時には大きな14型ワイド液晶ディスプレイが生きてくる。Ultrabookとしてはボディが重く、重量は約2.1キロとモバイルの観点からは厳しいと言わざるを得ないが、メーカー各社が14型ノートPCのメリットとして打ち出す「家の中、オフィスの中で持ち歩く」というコンセプトには合致しており、コストパフォーマンスも高い。大きめのディスプレイで作業効率を確保しつつ、ちょっと持ち歩くといった使い方考えている人にはちょうどいい製品だ。
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