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レビュー
» 2012年12月31日 13時45分 公開

“6色W黒”で文書も写真もOK:5色展開のスリムボディで攻めるA4複合機――キヤノン「PIXUS MG6330」徹底検証 (2/6)

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]

給紙機構は前面2段カセットに変更

 給紙機構は前述の通り、後部トレイを排して前面2段カセットに変更している。手前から簡単にアクセスでき、用紙を収納したままにしておけるため、後部トレイよりスマートに使えて設置もしやすくなったが、給紙容量や印刷できる紙の種類では不利になった。

 上段ははがきや写真用紙(L判、KG、2L判)用になっており、はがきで40枚の給紙容量だ(名刺用紙は非対応になった)。下段にはA4、A5、B5、レター、リーガルサイズなど大きめの用紙を給紙する。給紙容量はPIXUS MG6230(150枚)よりも少なくなったが、それでも普通紙を125枚までをセットできるので、家庭用としては十分だろう。もちろん、自動両面印刷ユニットも標準装備している。

前面下部には2段式の給紙カセットを用意。上段はL判やはがきなど小さなサイズ用、下段はA4など大きなサイズ用だ

 排紙機構については従来機と同様、前面カバーが手前に倒れ、そこからペーパーサポートが伸びる仕様だ。印刷ジョブを受け取ると自動で前面カバーが開くので、ネットワークで遠隔地から印刷ジョブを送っても、トレイが開かずに紙詰まりを起こすようなことはない。

 2011年モデルのPIXUS MG6320は前面カバーが自動で開いても、ペーパーサポートは手で伸ばす必要があったが、今回はペーパーサポートを前面カバーの内部にギアをかませて収納することによって、前面カバーが開けば自動的にペーパーサポートも伸びるようになった。ただし、ペーパーサポートは2段式で、2段目は手で引き伸ばす必要がある。また、排紙機構を閉じるのは手動だ。

 Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは、下段給紙カセットの裏面に収納する仕組みだ。レーベル印刷時にはこれを前面から手で差し込んで使う。

排紙機構は印刷ジョブが送信されたら、自動的に前面カバーが倒れ、ペーパーサポートも伸びる「スマートトレイ」を採用(写真=左)。ペーパーサポートの2段目は手で伸ばす必要がある。Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは、下段給紙カセットの裏面に収納する仕様だ(写真=中央)。レーベル印刷時には手で前面からトレイを差し込んで使う(写真=右)

Wi-Fiを利用した「自動電源オン」に対応

 PCとの接続インタフェースはUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備。プリンタドライバの対応OSは、Windows XP/Vista/7/8、Mac OS X 10.5.8以降となっている。

 無線LANのセットアップについては、簡単に設定が可能なAOSS、らくらく無線スタート、WPSをサポートする。電源オフ後に低消費電力なスタンバイ状態に移行し、PCやスマートフォンからWi-Fi経由で印刷ジョブを送ると、電源が自動でオンになり、前面カバーと排紙のペーパーサポートが開いて印刷が開始される「自動電源オン」機能も持つ。

 そのほか、コンパクトフラッシュ、メモリースティックPRO、メモリースティックPRO デュオ、SDHC対応SDメモリーカード/MMCに対応したカードスロットを備える。PIXUS MG6230に搭載されていたUSBストレージやPictBridge用のUSBポートは省かれた。

 ただし、新たにPictBridge(Wi-Fi)をサポートしたため、同機能を備えたデジタルカメラであれば、撮影した写真をWi-FiネットワークでPIXUS MG6330に送信し、ワイヤレスによるダイレクトプリントが可能だ(アドホックモード非対応)。

PC接続用のUSB 2.0や有線LAN、電源端子は背面から少しくぼんだ位置にあり、ケーブルを横に逃がすことができるため、このように壁面に寄せて設置することが可能だ(写真=左)。前面のカバーを開くと、左端にメモリカードスロットが現れる(写真=中央)。ダイレクトプリント/スキャン用のUSBポートは省かれた。無線LANの設定はAOSS、らくらく無線スタート、WPSといった簡単セットアップ機能に対応する(写真=右)

新型インクタンクを採用、普通紙の文書印刷が高速化

 インクタンクはプリントヘッドのキャリッジ上に搭載したオンキャリッジ機構を引き続き採用するが、前述の通り、インク交換の仕方が大きく変更されている。

 インクを交換する場合、従来はフラットベッドスキャナ部ごと本体上部を持ち上げる必要があったが、PIXUS MG6330では「Snap Edge(スナップエッジ)」デザインによって前面上部のカバーだけが上方にせり上がるようになった。このときに増す本体の高さは約40ミリで、上面をフルオープンするよりもはるかに省スペースでインク交換が行える。

インクタンクの交換時に、前面上部のカバーのみが持ち上がる「Snap Edge」デザインを採用。本体をスキャナ部ごと大きく持ち上げなくても、手軽にインク交換が可能になった。インク交換時でも本体の高さは約40ミリしか増えない

 プリントエンジンにもいくばくかの変更がある。インクセットは従来通り、シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ブラックの5色染料インクに、ブラックの顔料インクを組み合わせた6色構成だが、顔料ブラックのノズル数が従来の512ノズルから1024ノズルに増加した。シアン、マゼンタ、グレーは各1536ノズル、イエローと染料ブラックは各512ノズルで変更されていない。

 顔料ブラックインクのノズル数が倍増したことで、普通紙印刷はより高速になった。ISO/IEC 24734に基づく測定数値は、A4モノクロで約15.0ipm(image per minute:イメージ毎分)、A4カラーで約10.0ipmとされている(PIXUS MG6230はそれぞれ約12.5ipm、約9.3ipmだった)。一方、L判写真用紙「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」の印刷速度は1枚あたり約18秒とされており、PIXUS MG6230よりわずか1秒だが遅くなった(印刷速度の測定結果は後述)。

 染料ブラックと顔料ブラックを併せ持つ「W黒(ダブクロ)」のインクシステムは、PIXUS上位機種の強みなので、今回はここをさらに進化させた格好だ。

 W黒の優位点は、普通紙にも写真用紙にも高品位な印刷が行えること。低濃度のカラーフォトインクこそ非搭載だが、グレーインクによりモノクロ印刷も含めた階調表現力の確保と粒状感の低減を行い、顔料ブラックインクにより普通紙やはがきへのシャープな黒印字を実現している。カラー写真の印刷では、高密度プリントヘッド技術の「FINE」を生かし、最小1ピコリットルと微細なインクを打つことで、精細な描画も可能だ。

 インク自体の仕様も変更された。新インクではレッド、オレンジ、イエロー域の発色を向上させたとのこと。暖色系の色域が拡大したことで、人肌などの再現性が増し、夕景などはより鮮やかになる。

 これに伴い、6色独立式のインクタンクも従来より高さが短いBCI-351/350シリーズを新たに採用した。さらに、大容量インクタンクのBCI-351XL/350XLシリーズを全色で用意してきたのは朗報だ。これまで各色独立式のインクタンクでは、ブラックくらいしか大容量インクタンクはお目にかかれなかったが、全色でその恩恵が得られるようになった。印刷ボリュームが多く、ランニングコストや交換頻度を抑えたい場合には、大容量を選ぶのがベターだ。

 フラットベッドスキャナは、引き続き読み取り部にCISを採用するが、光学解像度は主走査2400dpi、副走査4800dpiとなり、PIXUS MG6230の4800×4800dpiからダウングレードした。とはいえ、フィルムスキャンに対応しないCISセンサーのスキャナなので、反射原稿を読み取るのには十分なスペックだ。読み取り階調はRGB各色16ビット入力、8ビット出力に対応する。

6色独立式のインクタンクは、セットするとLEDが赤く点灯する(写真=左)。普通紙の文書印刷によく使われる顔料ブラックはインクの容量が大きい。スキャナはCISセンサーを搭載し、原稿台の周囲はシンプルにまとまっている(写真=右)

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