「第4世代Coreプロセッサー」の強化ポイントを解説Haswellで何が変わる?(2/3 ページ)

» 2013年06月02日 00時01分 公開
[本間文,ITmedia]

デスクトップ向けCPUのラインアップ

 第4世代CoreプロセッサーのデスクトップCPUは、プラットフォームも一新され、Ivy BridgeのLGA 1155ソケットからLGA 1150ソケットに移行した。また、液晶一体型のオールインワンPC向けにIris Pro 5200グラフィックスを統合したBGAパッケージ版が追加されたのも大きな特徴だ。そのラインアップは、下の表のとおりだ。

HaswellコアのIntel Core i7(画面=左)。LGA 1150ソケット(画面=右)

デスクトップ向け第4世代Core i7のラインアップ
モデル名 Core i7-4770K Core i7-4770R Core i7-4770 Core i7-4770S Core i7-4770T Core i7-4765T
CPUコア数 4
CPUスレッド数 8
LLCキャッシュ容量 8MB 6MB 8MB
CPUベースクロック 3.5GHz 3.2GHz 3.4GHz 3.1GHz 2.5GHz 2GHz
TurboBoost時CPUクロック(最大) 3.9GHz 3.9GHz 3.9GHz 3.9GHz 3.7GHz 3GHz
メモリ DDR3-1600/1333
Intel HDグラフィックス HD 4600 Iris Pro 5200 HD 4600
グラフィックスコアクロック(最大) 1200MHz 1300MHz 1200MHz
TDP 84W 65W 84W 65W 45W 35W
CPUパッケージ LGA 1150 BGA LGA1150

デスクトップ向け第4世代Core i5のラインアップ
モデル名 Core i5-4670K Core i5-4670 Core i5-4570 Core i5-4670S Core i5-4570S Core i5-4670T Core i5-4570T
CPUコア数 4 2
CPUスレッド数 4 4
LLCキャッシュ容量 6MB 4MB
CPUベースクロック 3.4GHz 3.4GHz 3.2GHz 3.1GHz 2.9GHz 2.3GHz 2.9GHz
TurboBoost時CPUクロック(最大) 3.8GHz 3.8GHz 3.6GHz 3.8GHz 3.6GHz 3.3GHz 3.6GHz
メモリ DDR3-1600/1333
Intel HDグラフィックス HD 4600
グラフィックスコアクロック(最大) 1200MHz 1200MHz 1150MHz 1200MHz 1200MHz 1150MHz 1150MHz
TDP 84W 84W 84W 65W 65W 45W 35W
CPUパッケージ LGA 1150

 Intelは、このLGA 1150プラットフォーム向けに、開発コード名“Lynx Point”(リンクス・ポイント)で知られるIntel 8シリーズチップセットを投入した。その最上位モデルとなるIntel Z87は、SATA 6Gbpsポートが6基に増え、PCI Express 2.0も8レーン、USB 3.0も6ポートに強化されている。

Intel Z87チップセット

 しかし、CPUとチップセット(PCH:Platform Controller Hub)を結ぶインタフェースは、これまでと同じDMI 2.0であり、これらの高速I/Oインタフェースを採用するデバイスを多数接続すると、DMIの帯域不足で本来のパフォーマンスが引き出せなくなる。そこで同社は、Intel Z87およびH87に「I/Oポート・フレキシビリティー」と呼ぶ機能を搭載し、PCI Express 2.0とSATA 6Gbps、USB 3.0の総ポート数を最大18とし、システム設計や利用環境に応じてI/Oポートの数を柔軟に割り当てられるようにした。

 また、SATA 3.0インタフェースに関しては、高性能化が進むSSDのパフォーマンスを十分に引き出せるよう、ストレージアクセスの負荷に応じてI/Oスループットを最適化する「ダイナミック・ストレージ・アクセラレータ」機能を搭載し、現行のIntel Z78に比べて、最大で25%のスループット性能向上を果たすとしている。

デスクトップ向けIntel 8シリーズチップセットのラインアップ
モデル名 Intel Z87 Intel H87 Intel B85 Intel Z77
プラットフォーム LGA 1150 LGA1155
PCI Express 3.0グラフィックス x16 or x8×2 or x8+x4×2 x16 x16 x16 or x8×2 or x8+x4×2
CPU内蔵グラフィックス出力 3 3 3 2
PCI Express 2.0 8 8 8 8
SATA3 6 6 2 2
SATA2 4 4
USB 3.0 6 6 4 4
USB 2.0 14 14 12 10
サポート可能な総USBポート数 14 14 12 14
I/Oポート・フレキシビリティー

Intel Z87のブロックダイアグラム(画面=左)。Intel H87のブロックダイアグラム(画面=中央)。Intel B85のブロックダイアグラム(画面=右)

Intel 8シリーズではI/0まわりが大幅に強化されたが、CPUとチップセットを結ぶインタフェースは従来通りDMI 2.0のため、この帯域がボトルネックとなる(画面=左)。

I/Oポート・フレキシビリティーの構成例
システム構成 A B C D E F
PCI Express 2.0 (最大 8) 8 7 6 8 7 8
SATA 3.0 (最大 6) 4 5 6 5 6 6
USB 3.0 (最大 6) 6 6 6 5 5 4
合計 18

 Intelが第4世代Coreプロセッサーへの移行にあたって、LGA 1155とのCPUソケットの互換性を捨てざるを得なかったのは、Haswellでは、各CPUコアやグラフィックスコア、ノースブリッジ機能などに必要な電圧を生成・供給する電源供給回路(Voltage Regulator Module:VRM)が、CPU内部に統合した「Fully Integrated Voltage Regulator」へと変更されたためだ。

 これにより、よりきめ細やかな電圧制御を可能にするとともに、電圧変換ロスを最小限に抑え、省電力化と高性能化を両立できるとされる。さらに型番の末尾に「K」が付く、いわゆるアンロック版CPUでは、ベースクロック(BCLK)を100MHzだけでなく、125MHzと167MHzに変更できるようになり、柔軟なオーバークロック設定ができるようになったのも特徴だ。

Haswellでは、これまでマザーボード上のVRMで個別に電圧生成されてきたCPUコア電圧やグラフィックスコア電圧などが、すべてCPU上で生成されるようになった(画面=左)。Haswellでは、CPUのベースクロックのチューニングも可能になり、より柔軟なオーバークロック設定ができるようになる(画面=右)

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