「Surface Pro」はWindows 8タブレットとしては珍しく、CPUに第3世代Coreプロセッサー(開発コード名:Ivy Bridge)を搭載している。つまり、薄型軽量のWindows 8タブレットで標準的なAtom Z2760(開発コード名:Clover Trail)や、Surface RTのNVIDIA Tegra 3とは段違いのパフォーマンスを備えているのだ。
日本マイクロソフトの樋口泰行社長は製品発表会で、Surface Proを「タブレットのように使えるPCだ」と述べ、PCと同等のパフォーマンスを発揮するマシンだと強調した。
搭載するCPUは、TDP(熱設計電力)が17ワットと低いデュアルコアのCore i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz)だ。Core i5-3317UはミドルレンジクラスのUltrabookに多数採用されたモデルであり、Surface ProがUltrabookや薄型ノートPCと同等のスペックを持つと期待できる。今回はバッテリー動作時間を含む、Surface Proの性能を調べていこう。
CPUを除いた評価機のスペックは、メモリが4Gバイト、ストレージは128GバイトSSD、グラフィックスはIntel HD Graphics 4000という内容だ。Windowsエクスペリエンスインデックスではプライマリハードディスクの優秀なスコア(8.1)が目立つ。CrystalDiskMarkでデータ転送速度を計測したところ、475.6Mバイト/秒と高速なシーケンシャルリードをはじめ、なかなか高いスコアを出した。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。ストレージのスコアが8.1と最も高い。グラフィックスのスコアが低いのは、CPU統合グラフィックスを使っているだけに仕方がない(写真=左)。CrystalDiskMark 3.0.2の結果。特にシーケンシャルリードのスコアが高い(写真=右)。CrystalDiskInfo 5.0.3で調べたところ、SSDはサムスン製の「MZMPC128HBFU」だったベンチマークテストは、総合ベンチマークテストのPCMark 7、PCMark Vantage、3D系ベンチマークテストの3DMark、3DMark Vantage、ストリートファイターIVベンチマーク、モンスターハンターベンチマーク【絆】を実行した。今回はSurface Proと近いスペックを持つWindows 8タブレット「ICONIA W700D」と薄型ノートPC「HP Elitebook Revolve 810」とスコアを比較した。各機の主なスペックとテスト結果は以下の通りだ。
| テストしたマシンの主なスペック | |||
|---|---|---|---|
| 機種 | Surface Pro | ICONIA W700D | HP Elitebook Revolve 810 |
| OS | 64ビット版Windows 8 Pro | 64ビット版Windows 8 | 64ビット版 Windows 7 Professional(SP1) |
| CPU | Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz) | Core i5-3337U(1.8GHz/最大2.7GHz) | Core i5-3437U(1.9GHz/最大2.9GHz、vPro対応) |
| メモリ | 4Gバイト | ||
| ストレージ | 128GバイトSSD | ||
| 画面サイズ | 10.6型ワイド | 11.6型ワイド | |
| 解像度 | 1920×1080ドット | 1366×768ドット | |
| グラフィックス | Intel HD Graphics 4000 | ||
| 重量(キーボードカバー込み、実測値) | 1134グラム(Type Cover) | 1536グラム | 1381グラム |


左から3DMark Vantage、ストリートファイターIVベンチマーク、モンスターハンターベンチマーク【絆】のスコア。Windowsタブレットは、ノートPCよりも3D系ベンチマークテストの数値が低くなる傾向がある全体的に統合ベンチマークテストのスコアはSurface Proが高いものの、3D系ベンチマークテストはタブレット製品のスコアが低い。これは一般的なUltrabookに比べてフォームファクタが小さく、放熱などの関係からIntel Turbo Boost Technologyによるクロックの上昇が抑えられているためと思われる。
とはいえ、Surface ProのスコアはWindows 8タブレットとしては最高クラスで、SSDを搭載する薄型ノートPCやUltrabookとほぼ同等のパフォーマンスを発揮してくれる。写真や動画の編集にも十分対応できるだろう。もちろんAtom Z2760(1.8GHz)搭載のWindows 8タブレットとは比べものにならない性能であることは言うまでもない。
ただし、高い負荷がかかる状況では騒音やボディの発熱に注意したい。3DMark Vantage実行中に背面上部(横持ちの場合、アウトカメラ付近)の温度を計測したところ、室温26度の状況で約45度まで上昇した。ディスプレイ表面や、横持ちで手のひらがあたる背面下部の温度も40度近くまで上がる。上面から吹き出す排気で騒音レベルも45デシベルに達する(暗静音時約30デシベル、本体手前5センチで測定)ところも気になる点だ。
もちろんWebブラウジングや文書作成といった用途ではほぼ発熱しないが、長時間動画を視聴するときや写真/動画の編集を行うときは気をつけたい。手で持たずにKickstandで立てておけば、熱を感じる場面はほぼなくなる。
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