ベンチマークテストを行う前に、評価機のスペックを改めて確認すると、CPUがCore i7-4700MQ(クアッドコア2.4GHz/最大3.4GHz)、チップセットはIntel HM86 Express、メモリが8Gバイト(4Gバイト×2、PC3L-12800)、ストレージは1TバイトハイブリッドHDD(8GバイトNANDキャッシュ/5400rpm)だ。グラフィックスはGeForce GT 745M(グラフィックスメモリ2Gバイト)+Intel HD Graphics 4600(CPU内蔵)のハイブリッド構成となる。OSは64ビット版Windows 8だ。
今回は最上位のモデルを評価しているが、このほか液晶ディスプレイの解像度が1600×900ドットとなる「T873/86J」、外部GPUを搭載しない「T873/77J」「T873/76J」をラインアップする。最上位モデルの評価機(T873/87J)と合わせてハードウェア構成の異なる4モデルを用意し、それぞれOffice Home and Business 2013付属モデルとオフィスなしモデルがあり、全部で8モデルとなる。
dynabook Satellite T873のラインアップ | |||
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機種名 | 解像度 | グラフィックス | 価格(税込み) |
T873/87J | 1920×1080ドット | NVIDIA GeForce GT 745M | 12万7800円 |
T873/86J | 1600×900ドット | Intel HD Graphics 4600 | 12万2800円 |
T873/77J | 1920×1080ドット | NVIDIA GeForce GT 745M | 11万7800円 |
T873/76J | 1600×900ドット | Intel HD Graphics 4600 | 11万2800円 |
※Office Home and Business 2013付属モデルは+1万6000円 |
それではベンチマークテストを始めよう。Windows 8エクスペリエンスインデックスのスコアは、プロセッサ、メモリ(RAM)はともに7.9と優秀な一方で、ハイブリッドHDDを採用するプライマリハードディスクのスコアは5.6といまひとつ振るわない結果となっている。
CrystalDiskMarkのスコアについては、ランダムアクセスはリード/ライトともに一般的なHDDよりも数倍よいスコアだが、シーケンシャルライト、512Kバイトライトのスコアは一般的なHDDよりも低い。これはキャッシュとして搭載しているNANDフラッシュメモリの書き込み性能があまり高くないことによると思われる。エクスペリエンスインデックスのスコアもこれが影響したのだろう。
そのほかのテスト結果は以下のとおりだ。今回は比較としてCore i7-4700MQを搭載する15.6型ノート「LaVie L(LL850/MS)」やCore i7-4750HQ(2GHz/最大3GHz)を搭載する14型ノート「LuvBook H LB-H600S-SH」のスコアを併記する。
テストしたPCの主なスペック | |||
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モデル | dynabook Satellite T873 | LuvBook H LB-H600S-SH | LaVie L(LL850MS) |
CPU | Core i7-4700MQ(2.4GHz/最大3.4GHz) | Core i7-4750HQ(2GHz/最大3GHz) | Core i7-4700MQ(2.4GHz/最大3.4GHz) |
メモリ容量 | 8Gバイト(4Gバイト×2) | 16Gバイト(8Gバイト×2) | 8Gバイト(8Gバイト×1) |
データストレージ | 1TバイトハイブリッドHDD | 128GバイトSSD(mSATA)+1TバイトHDD | 1TバイトHDD |
グラフィックス | GeForce GT 745M | Intel Iris Pro Graphics 5200 | Intel HD Graphics 4600 |
液晶ディスプレイ | 17.3型ワイド | 14型ワイド | 15.6型ワイド |
解像度 | 1920×1080ドット | ||
OS | 64ビット版Windows 8 | ||
本機はクアッドコアCPUを搭載しているだけに、CINEBENCHのレンダリングテスト(CPU)などマルチスレッドが有効な処理では同世代のUltrabookを大きく上回る。GeForce GT 745Mを搭載しているため、3DMarkなどの3D描画系テストでも高いスコアをマークしている。
優秀なスペックではあるが、Core i7-4700MQ搭載PCとしては少し物足りないスコアも見られる。CPU周辺が高温になる傾向があるようで、特にCINEBENCH(CPU)や3DMark Vantage(CPU score)など、CPUにマルチスレッドで負荷が集中するテストではフルパフォーマンスを発揮できていないのかもしれない。
ベンチマークテスト中は、室温27度の状況下でパームレストの右端(テンキーの下あたり)が34.5度となり、底面の排気口近くは47.5度と特に発熱していた。とはいえ、そのほかの部分は室温程度で熱を感じない。動作音はアイドル時は動作していることが分かる程度で、負荷に高くなると動作音が大きくなるが(本体から5センチの距離で46デシベル程度/暗静音時32デシベル)、うるさすぎるほどには大きくならない。
背面には着脱可能な容量48ワットアワーのリチウムイオンバッテリーを装着している。バッテリー動作時間はBBench 1.01(海人氏・作)を利用して測定した。無線LANで常時接続し、Bluetoothオン、電源プランは「バランス」(バッテリー動作時のディスプレイの輝度40%)という条件で、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストを行った。WebブラウザはInternet Explorer 10を指定し、タブブラウズはオフにしている。
この条件で、バッテリー満充電の状態から残量5%で休止状態に入るまでの時間は約3時間30分だった。公称のバッテリー動作時間である約4.4時間には及ばないが、据え置き型ノートPCとしては十分な動作時間だろう。据え置きが前提の製品ではあるが、最近はゲリラ豪雨などの異常気象で停電の心配が増えてきているだけに、バッテリー動作に余裕があるのはありがたい。「スリープアンドチャージ」機能もあるので、いざという時はUSBポートからスマートフォンなどを充電できる大型バッテリーとしても活用できそうだ。
ACアダプタのサイズは実測で約63(幅)×149(奥行き)×37(厚さ)ミリで、実測の重量は679グラムと持ち出す用途には向かない。据え置きでの利用が前提となる。
dynabook Satellite T873はクアッドコアCPU+外部GPUというスペックだけではなく、フルHD表示対応の大画面、高音質スピーカー、Blu-ray Discドライブ、大容量ストレージ、打ちやすいキーボードと据え置き型ノートPCとして十分な性能を備えている。
17.3型ワイドの大画面と高音質のスピーカーは、モバイルデバイスの小さい画面に慣れていると実に新鮮で、ゆったりと開放的な気分になれる。大容量ストレージを搭載しているので、スマートフォンやタブレットで撮影した写真や動画を容量を気にせず保存できる。連携ツールで簡単に同期やリモートアクセスができる点も見逃せない。
PCを使用していないときでも、高品質なスピーカーだけを使う機能(スリープアンドミュージック)やUSB充電ができる機能(スリープアンドチャージ)で活用の幅を広げてくれるだろう。
東芝ダイレクトでの直販価格はオフィスなしモデルで12万7800円、Microsoft Office Home and Business 2013付属モデルで14万3800円となっており、コストパフォーマンスも上々といえる。ビジネス文書の作成や動画編集などにじっくりと取り組みたい、Blu-ray
DiscやDVDコンテンツや音楽などをパーソナルに、高画質・高音質で楽しみたいという人にぴったりだ。また、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの母艦として活用するPCにも適している。
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