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» 2013年10月29日 08時30分 公開

「VAIO Fit 13A」――ソニーが新スタンダードを狙う“2 in 1”モバイルノートの実力最新PC速攻レビュー(2/4 ページ)

[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

サイズ感チェック:モバイルPCとして実用的な携帯性を備える

大画面のタブレット兼モバイルノートPCとして、使い勝手を犠牲にせずに、十分通用する携帯性を兼ね備えた

 ボディのサイズは325.4(幅)×223.4(奥行き)×14.3〜17.9(高さ)ミリ、重量は約1.31キロだ。実測値は1.302キロとほぼ公称値と同じだった。タッチパネル付きの13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載したノートPCとしては、ほぼ標準的なサイズ感だ。ソニーは超軽量なUltrabook「VAIO Pro 11/13」も発売しているため、VAIOノートの中では特別に軽量とはいえないが、1.3キロ程度ならばモバイル用途でも十分実用の範囲内だろう。

 バッテリー駆動時間からも同様のことがいえる。本体に内蔵するバッテリーは、36.23ワットアワー(CPUID HWMonitorで確認した値)で、公称のバッテリー駆動時間は約12時間と長めだ。付属のACアダプタもコンパクトサイズで、215グラム(ACケーブル込みの実測値)と軽量のため、一緒に携帯するのに苦にならない。

 タブレットモードにすると、13.3型ワイド画面の大きさが際立つ。タブレットデバイスは大きめでも10型クラスの画面を搭載する製品がほとんどなだけに、この大きさは実に新鮮だ。また、先端を絞ったくさび型フォルムのため、タブレットモードにするとソニーのAndroidタブレット初代機「Sony Tablet S」を思わせるフォルムになる。

 厚みのある奥側は画面と段差があって手で握りやすく、重心の関係上、約1.31キロという数字のイメージほど重く感じない。さすがに長時間握って使うのは無理だが、標準的な成人男性が短時間ならば片手でもさほど無理なく持てる体感重量といえる。タブレットモードで長時間動作させる場合は、テーブルや膝の上に置けば楽に使えるだろう。

 なお、フラッグシップモデルのVAIO Duo 13と異なり、InstantGo(旧称:Connected Standby)には対応していないため、スリープ中にメールやインスタントメッセージの着信を通知することはできない。

注目ポイント:ノートPCとしての完全な使い勝手と新しいスタイルを両立

13.3型ワイドと大きめの画面によるタブレットモードは、縦位置表示で電子新聞や電子雑誌を読むのにも役立つ(写真は産経新聞電子版の例)

 最大の注目点は、「マルチフリップ」と名付けられた特殊なヒンジ機構と、それが可能にする3つの操作モードだ。キーボード上部にあるスイッチで変形機構のロックを解除し、天面に走る1本線を軸に、液晶ディスプレイをぐるりと180度回転できる。液晶ディスプレイは磁石で吸着し、開閉時やタッチ操作でぐらついたりしない。

 ソニーでは、通常のクラムシェルノートPCスタイルを「キーボードモード」、画面を反転させて斜めに立てた状態を「ビューモード」、そこから画面を上にして閉じた状態を「タブレットモード」と呼んでいる。

 ビューモードは、タブレットを立てかけて使うときに近いスタイルだ。プレゼンテーションなどで画面を相手に見せたいとき、あるいは動画や音楽、タッチ対応アプリなどをカジュアルに楽しみたいときに最適だろう。タブレットモードは、タッチ操作やペンでの手書き入力をじっくり行いたいとき、コンテンツを縦位置で表示させたいときに有効だ。

 画面サイズが13.3型ワイドと大きいことから、ある程度一覧性が必要なコンテンツも見やすい。例えば、縦位置にして電子新聞の1ページを全画面表示すると、文字サイズは結構大きくなるため、一覧性を保ったまま拡大操作せずに読み進められる。

 なお、以前PC USER編集部でテストしたVAIO Fit 14A/15Aの試作機は、変形機構のロックを外した状態で、通常のノートPCと同じように液晶ディスプレイを内側にして閉じると、次に天板を開くとき、開いている途中でディスプレイが誤って回転し、ディスプレイの下部がキーボード面にぶつかってしまうことが多かった(操作を覚えれば問題ないのだが)。

 しかし、VAIO Fit 13Aは画面が一回り小さいせいか、ロックを外した状態でもキーボードモードで液晶ディスプレイが誤って反転してしまうことがほとんどなく、マルチフリップヒンジの使い勝手がVAIO Fit 14A/15Aより良好だ。

マルチフリップヒンジが実現する3つのモード。左からキーボードモード、ビューモード、タブレットモードだ。ビューモードの状態で逆「V」字型に本体を立てて利用する「テントモード」(他社の変形型Ultrabookが提供しているスタイル)は想定しておらず、テントモードでは画面表示が自動的に反転しない
キーボードの上部に「ディスプレイロックスイッチ」があり、このスイッチを「LOCK」から「RELEASE」に切り替えた後、液晶ディスプレイを回転させる(写真=左)。天板が2つに折れ曲がって、液晶ディスプレイ部だけが180度回転する仕組み(写真=中央)。液晶ディスプレイを回転した様子をキーボード側から見るとこうなっている(写真=右)。ヒンジはゴム製で耐久性が気になるかもしれないが、ソニーはゴムの伸縮テストや画面回転テストなどの品質試験を行って製品化している
VAIO Fit 13Aの変形を横から見た様子。「キーボードモード」で液晶ディスプレイを開き、ディスプレイロックスイッチを解除し、液晶ディスプレイを回転して「ビューモード」へ移行。そのまま液晶ディスプレイを閉じて、「タブレットモード」として利用するという流れ
VAIO Fit 13Aの変形を横から見た様子。タブレットモードからビューモード、キーボードモードへ変形して閉じるまでの流れ
キーボードモードでは液晶ディスプレイのチルト角度を柔軟に調整可能。約135度まで開くことができる

 VAIO Fit 13Aは2 in 1デバイスでありながら「従来のクラムシェルノートPCの使い勝手を100%確保すること」にもこだわっている。例えば、キーボードモードのままヒンジの角度を自由に変えることが可能だ。ノートPCではできて当たり前のことだが、2 in 1デバイスや、タブレットとキーボードドックの組み合わせでは、意外にこれができない製品も多い。

 そして、しっかりした使い勝手のキーボードとタッチパッドがあること。これもまた携帯性やタブレットとしての機能を優先したデバイスではおろそかにされがちだ。キーボードのキーピッチが狭かったり、タッチパッドが小さかったりと、使い勝手がノートPCに及ばない製品が多い。

 これに対してVAIO Fit 13Aが搭載するキーボードは、19(横)×19(縦)ミリピッチのフルサイズを確保し、レイアウトも素直だ。キーストロークは約1.2ミリと浅いほうだが、キートップにわずかなへこみがあって指を置きやすく、キータッチの感触もレベルが高い。暗所で自動的に点灯するキーボードバックライトも気が利いている。

 キーボードのホームポジション直下にあるタッチパッドも105(横)×65(縦)ミリと大きめで扱いやすく、指の滑りも良好だ。パッドに内蔵された左右ボタンの押し心地もよい。

アイソレーションデザインの6列キーボードは、最下段のキーピッチが少し狭いほかは自然なレイアウトで、入力しやすい。キーボードは意識して強めに押すと少したわむ程度で、なかなかしっかりした作りだ
キーボードバックライトも内蔵している(写真=左)。点灯の条件は「VAIOの設定」で指定でき、バッテリー駆動時は点灯させないことも可能だ(画像=右)
「VAIOの設定」ではタッチパッドの有効/無効のほか、タッチパッドの操作方法がイラストやムービーで確認できる(画像=左)。タッチパッドにはElanのドライバが導入され、Windows 8のチャーム表示、Windowsストアアプリの切り替えなどの機能にも対応する

 スピーカーは左右の両側面に配置されており、画面の回転に対応してL/Rのチャンネルが反転するという細かい配慮もなされている。机上でキーボードモードのみで使うことを前提に考えると、左右の両側面という位置はベストではないかもしれないが、どのモードでも同じようなクオリティで楽しめる仕様がうれしい。

キーボードモードからビューモードに切り替えると、自動的に内蔵ステレオスピーカーのL/Rチャンネルが入れ替わる仕組みだ(写真=左)。xLOUD、CLEAR PHASE、S-FORCE Front Surround 3D、VPT、Voice Zoom、Sound Optimizerといった音響効果技術を導入(画像=右)。ClearAudio+モードを搭載し、これらの効果を組み合わせて音楽や映像コンテンツそれぞれに最適な音質で楽しめる

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