スマホ/タブレットにも64ビットの波、IntelがMerrifield&Moorefield発表――下り300MbpsのLTE AdvancedチップもMobile World Congress 2014

» 2014年02月26日 15時13分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 米Intelは2月24日(欧州時間)、スペイン・バルセロナで開催されているMobile World Congress 2014(MWC 2014)に先立ち、新製品に関する記者説明会を開催した。Silvermontコアを採用して22ナノメートルプロセスを用いた2つの新Atomプロセッサーを披露したほか、下り300MbpsのLTE Advanced Category 6に対応した新モデムチップなど、スマートフォンやタブレット市場に向けた製品ラインを強化している。

photophoto 2014年の成長率4倍を見込むIntelのモバイル事業。WindowsだけでなくAndroidのサポートやパートナーの強化によるデバイス種類の増加、幅広いセグメントのカバーなどで攻める(写真=左)。Bay Trailシリーズですでに採用されている22ナノメートルプロセスのウェハ。今回はこれをスマートフォン向け製品ラインにも持ち込む(写真=右)

Silvermontコア搭載で64ビット対応のMerrifield/Moorefield登場

 記者会見で壇上に立った米Intelバイスプレジデントでモバイル&コミュニケーションズ部門担当ジェネラルマネージャーのHermann Eul氏は、同社プロセッサーを採用したモバイルデバイス製品の市場が急拡大していることに触れ、2014年には4倍の成長を見込んでいると説明した。Clover Trailの登場以降注目を集めた同社のAtom製品ラインだが、アウト・オブ・オーダー実行に対応し、製造プロセスも32ナノメートルから22ナノメートルへとシュリンクしてパフォーマンスが大幅に向上したBay Trailシリーズの登場により、主にタブレット方面での人気が高まっている。Android OSとWindowsのデュアルブートに対応したデュアルOS戦略を打ち出すなど、マルチプラットフォーム対応を武器に、製品ラインアップを増加するなど、良い循環が進みつつある。

photo 22ナノメートルプロセスとSilvermontアーキテクチャを採用した新製品ラインを発表。デュアルコアのMerrifieldは今年2014年前半に、クアッドコアのMoorefieldは後半にそれぞれ登場する

 今回、この流れをスマートフォンやモデム内蔵タブレットの世界へと持ち込むのが、Silvermontコアを採用して22ナノメートルプロセスとなった新製品群だ。2014年前半登場のMerrifieldはデュアルコア仕様となっており、前述のようにパフォーマンスや省電力面で大きく進化した点が特徴。同年後半登場予定のMoorefieldはクアッドコア仕様となり、さらに強化されたパフォーマンスが期待されている。今回、会場ではそれぞれMerrifieldとMoorefieldを搭載したスマートフォンのプロトタイプが公開されており、デバイス上でAndroidが動作していることが確認できた。

photophoto スマートフォンとタブレットも64ビットの時代へ。今回のMWCのタイミングで発表されたHPのタブレット新製品はBay Trail+を搭載し、このクラスの製品としては初の64ビット版Windows 8.1をプリインストールしている

 また、もう1つのトレンドとして、プラットフォームとOSの64ビット対応がある。これまでモバイルデバイスの世界では32ビットプロセッサーと32ビットOSの組み合わせが一般的で、搭載メモリ上限も2Gバイトにとどまっていた。最近になりARMがCortex-A5xシリーズで64ビットのIPを公開して同コア採用SoCが登場し、AppleはiPhone 5sにおいてA7プロセッサーと64ビットOSの組み合わせで、スマートフォンとしては初の64ビット対応を実現した。一方で、Androidデバイスは現在もなお32ビットが主流であり、今回のMerrifield発表でようやく64ビットAndroidデバイス登場への扉が開かれたといえるかもしれない。壇上ではBay Trail+を採用したHewlett-Packard(HP)の「ElitePad」が紹介されたが、これはAtomを搭載した同クラスのタブレットとしては初の64ビット版Windows 8.1を搭載した製品となる。コスト的な問題との兼ね合いもあるが、今後は新Atomプロセッサーを中心にAndroidとWindowsともに64ビット対応が進んでいくことになるだろう。

photophoto Merrifieldを搭載したスマートフォン(写真=左)とMoorefieldを搭載したスマートフォン(写真=右)のプロトタイプ

下り300Mbpsに対応したLTE Advanced Cat 6の通信チップ

 Atomがパフォーマンス面での課題を克服しつつある一方で、ベンダーがモバイルデバイスに同SoCを採用するうえでネックとなるのがモデムチップの存在だ。かつてIntelのCentrinoがそうであったように、SoCとモデムチップの組み合わせが重要となる。性能と価格バランスが採用とプラットフォーム普及のポイントであり、その点でLTE時代はQualcommがSoC+モデムチップのトップベンダーとして君臨。特にここ数年はこの傾向が強くなっている。仮にSoCそのものの性能が良くても、モデムチップが原因で競争力を失うケースがあり、Intelを含む複数のベンダーがLTE時代に突入したことで苦戦する結果となった。

photophoto 下り150MbpsのLTE Cat 4に対応したXMM 7160に続き、下り300MpbsのLTE Advanced Category 6に対応したXMM 7260が登場。TDD方式もサポートする

 Merrifieldなど今後発表される新製品の競合においては、このモデムチップの強化が不可欠となる。今回、従来の下り150MbpsのLTE Category 4に対応したXMM 7160に続き、下り300MbpsのLTE Advanced Category 6に対応したXMM 7260が紹介された。キャリアアグリゲーションによる高速通信だけでなく、複数バンドへの対応やTDDサポートなど、世界の広いエリアで利用可能な点を特徴とする。現在はまだ採用パートナーの数は少ないものの、まずは2位の業界ポジションを確立しつつ、Qualcommのシェアを少しずつ削っていくことを目指す。

photophoto 通信プラットフォームを採用するパートナー企業一覧

 発表会ではAtom製品群の今後のロードマップについても紹介が行われた。MerrifieldとMoorefieldが今年いっぱいにかけて登場したあと、2014年末から2015年にかけてボリュームゾーン向け製品のSoFIAと、14ナノメートルプロセスを採用し、Silvermontの改良コア(Airmontといわれる)を搭載したCherry Trailが登場することになる。そして2015年半ばにはBroxtonという後継製品が登場予定だ。Atomでは最新製造プロセスのキャッチアップが早くなっており、Cherry Trail以降の世代ではほぼIntel Coreアーキテクチャのそれに追いつくことになる。その意味で、今年後半から来年にかけてのIntelのスマートフォン/タブレット向けプラットフォームの世界は非常に面白いものとなるだろう。

photo Silvermontコア採用以降のプラットフォームロードマップ。まずボリュームゾーン向けのSoFIAが登場し、今年末には14ナノメートルプロセスに対応したCherry Trail、2015年半ばにはBroxtonがリリースされる計画

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