iMac Retina 5Kディスプレイモデルのガンマカーブを見ると、RGBの3本はほぼリニアに暗部から明部まで推移している。比較対象として掲載した旧27型iMacは、細かく見ると暗部でやや上方向に持ち上がっており、明部ではわずかにばらつきもある(それでも整っている)が、それに比べても美しいカーブを描いている。
なお、色温度は6713KでsRGB標準の6500Kにほぼ準じているが、旧27型iMacの6486Kよりもやや上がっている(白が青く見える)。画面輝度は384カンデラ/平方メートルと非常に高く、この明るさで消費電力を低減していることに驚かされる。

モノクロとカラーのグラデーションパターン。黒がより黒く見えるパキっとした表示で、中間階調域もRGBの入力と出力が1:1でそろったニュートラルなグレーバランスが期待できる。カラーパターン見ても彩度が高く、自然なグラデーションだ次に、先に作成したICCプロファイルを、Mac OS XのColorSyncユーティリティを用いて、それぞれsRGB、Adobe RGBのプロファイルと比較した。ここでも比較対象として、旧27型iMacの結果をあわせて掲載している。
結果を見ると、旧27型iMacと同様に、sRGBの色域をほぼ上回っているのが分かる。sRGB環境での画像編集用途には文句のない品質といっていい。一方、Adobe RGBと比較したグラフではさすがに狭さが目立つ。Adobe RGB環境でRAW現像を高精度で行うといった用途では、やはりカラーマネジメントに特化したプロ向けの液晶ディスプレイの出番になる。とはいえ、これが液晶一体型PCに内蔵されるディスプレイと考えれば非常に広い色域といえる。普段使いはもちろん、Web上での公開を前提としたデザイン用途であれば十分すぎるほどだ。

作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したグラフ。左がiMac Retina 5Kディスプレイモデル、右が旧27型iMac。sRGB(色のついた部分)を大きく上回っているのが分かる
作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したグラフ。左がiMac Retina 5Kディスプレイモデル、右が旧27型iMac。ともに色のついた部分がsRGBの色域を示している
作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したグラフ。左がiMac Retina 5Kディスプレイモデル、右が旧27型iMac。ともに色のついた部分がsRGBの色域を示している。傾向は旧27型iMacとほぼ同じだ

作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したグラフ。グレーの部分がAdobe RGBの色域を示している。さすがにAdobe RGBと比較すると、特にグリーンでの色域の狭さが目立つ測色器を用いてiMac Retina 5Kディスプレイモデルを測定してきた。結果を見れば分かるように、ただ高解像度なだけでなく、液晶一体型PCとしては十分すぎるほど高いレベルのディスプレイを搭載していることが確認できた。sRGBの色域をほぼ完全にカバーし、階調再現性も良好。1台1台キャリブレーションして出荷されているため、個体の差もほぼ考えずにすむ。
価格は25万8800円(税別)からと、消費税だけでも2万円を超えるほど高価なモデルながら、5120×2880ピクセルの解像度と美しい表示は、多少無理をしてでも手に入れたくなるほど魅力的だ。冬のボーナスが5Kの広大なデスクトップに吸い込まれていく未来を容易に想像できてしまう、この冬最高に恐ろしい製品である。
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