最後に残った有線接続「給電」がワイヤレスになる日:対応製品は第3四半期から

» 2015年04月23日 17時25分 公開
[長浜和也,ITmedia]

ワイヤレス給電の参入は成功のチャンスを増やしてくれる

 インテルは、4月23日にワイヤレス給電の最新動向や開発中の関連製品を紹介するイベント「Wireless Charging Forum Japan」を開催した。イベントでは、Alliance for Wireless Power(以下、A4WP) マーケティング コミッティー 次席チェアマンのグラハム・ロバートソン氏、そして、米インテル インテル・エクスペリエンス事業部 エコシステム および 市場開発担当ジェネラル・マネージャーのスマティ・シャラン・スティワート氏による基調講演で、ワイヤレス給電などで実現する、「有線接続のないコンピューティングの世界」が語られれた。

グラハム・ロバートソン氏

 ロバートソン氏は、磁界共鳴方式を採用するワイヤレス給電を進める業界団体「A4WP」の代表という立場から、A4WP方式の影響力がいかに高まっているかを訴えた。普及を進める上で重要になるコンシューマーユーザーが、モバイルデバイスがごく普通に使うようになるにつれ、バッテリーに対する関心が高まっているとした。「半日行動した時点でバッテリー残量が50%を切っていたら、ユーザーは心配になって充電したくなる」(ロバートソン氏) また、1人のユーザーが複数のデバイスを使うようになると、複数のデバイスを同時に充電する需要も増えてくる。

 このように、ワイヤレス給電の需要は高まっている。これは、スマートフォンやタブレットのユーザーのみならず、一般産業用機器でも同様だという(とはいえ、しばらくはスマートフォンが主流となるとロバートソン氏はことわっているが)。 それゆえに、ワイヤレス給電の動向はスマートフォンだけをカウントしていると見誤ると警告する。

ワイヤレス給電デバイスは2018年に向けて急速に増加する。主流はスマートフォンだが、それ以外のプラットフォームでも採用例は増えてくる

 A4WPは、一般ユーザーに対する認知度向上のために「rezence」というブランドを立ち上げている。ロバートソン氏は、rezenceでは、ヘッドセットからモバイルデバイス、ノートPC、大画面ディスプレイまで幅広いデバイスでワイヤレス給電を使えることを特徴とし、そのことが、コンシューマー市場において(成功する)チャンスを数多く用意できると訴える。

 ワイヤレス給電は、異なる方式ごとに規格策定団体が存在する。磁界共鳴方式のA4WPのほかに、電磁誘導方式ではPMA(Power Matters Alliance)とWPC(Wireless Power Consortium)があるが、PMAとA4WPは2015年2月に組織を統合にむけて提携した。また、A4WPの仕様展開とその認証に進行状況については、スマートフォン向けのBSS 1.1とタブレット向けのBSS 1.2はすべての認証プロセスを終え、PC向けのBSS 1.3は相互接続性の検証とテストの準備を進めている段階であると説明している。

小電力デバイスから大電力デバイスまでカバーできる柔軟さがA4WPのメリットだ(写真=左)。複数の規格が存在するワイヤレス給電方式だが、A4WPとPMAは統合に向けた提携を結んだ(写真=右)

 また、グローバル規模で普及するために、世界各地域の規格標準化団体との連携を進めているが、特にワイヤレス給電レシーバの地域別シェアが高い水準にあるアジアにおいて、中国のChina Communications Standard Association、日本の横須賀リサーチパーク・ブロードバンドワイヤレスフォーラム、韓国のTelecommunications Technology Associationと連携したことも紹介した。

A4WPに加盟した日本企業(写真=左)。rezenceは仕様の展開を進めており、2015年には民生用電子機器一般で利用できるBSS1.4を策定する予定だ(写真=右)

スマティ・シャラン・スティワート氏

 スティワート氏は、ユーザーにおけるPCの使い勝手の観点からワイヤレス給電の必要性を語った。インテルは、PCの使い勝手を向上するために、「ケーブル不要」「パスワード不要」「3D検知を含めた自然なユーザーインタフェース」に注力してる。そのうち、ケーブル不要の領域では、ディスプレイ、ドッキングステーション、データストレージでワイヤレス化を実現しており、最後に残った有線接続が給電と述べている。

PCの使い勝手を向上させるためにインテルが注力する3つの領域(写真=左)。その中のケーブル不要で取り組む4種類で最後まで残ったのが給電だ(写真=右)

 その、ワイヤレス給電において、スティワート氏はA4WPを取り上げ、対応デバイスの幅広さや取り扱いの容易さ、複数デバイスに同時給電が可能、給電デバイスで複数のフォームファクタを提供などの優位性を訴求した上で、ワイヤレス給電の普及にはインフラの整備が必要で、そのためには数多くのパートナー企業が参加できるえこシステムが必要であること、そして、複数の規格が存在することはユーザーに混乱を招くことを訴えた。

 イベントでは、ワイヤレス給電に対応した開発中の各種デバイスを展示していたが、その中で、MediaTekは、PMAとWPCに加えてA4WPにも対応するワイヤレス充電レシーバ用ASIC「MT3188」を公開していた。チップの発表は2014年の2月で、当時は搭載製品が2014年の第3四半期に登場する予定だった。そのほかにも展示していたA4WP対応製品について、市場投入を2015年第3四半期を予定しているものが多かった。

MediaTekのMT3188は、PMAとWPC、A4WPに対応するワイヤレス給電レシーバ向けASICだ

コイル部分の一番外側がA4WP用で内側がPMAとWPC用になる。5ワットの給電を実現するには小型化はこれが限界に近いという

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