「新しいMacBook」のWindowsマシンとしての性能をPro/Airと比較したCore Mの実力をチェック(1/2 ページ)

» 2015年05月19日 00時00分 公開

 「新しいMacBook」がMac史上、最薄かつ最軽量を実現できた背景には、TDP(熱設計電力)をわずか4.5ワットに抑えた「Core M」プロセッサの採用と、これによるファンレス設計がある。

 すでにMacBook関連の記事では、林信行氏や本田雅一氏による製品コンセプトの詳細な解説をはじめ、実機のファーストインプレッションや、測色器を用いた12型Retinaディスプレイの詳細な検証などを行っているので、ここではMacBookにWindows 8をインストールし、ベンチマークテストでシステム性能を見ていこう。

新しいMacBook

上から新しいMacBook、11インチMacBook Air、13インチMacBook Pro。MacBook Airより一回り大きく高解像度な液晶ディスプレイを搭載しながら、設置面積はさらに小さくなっている

本体も非常に薄い。Mac史上最薄のボディはCore Mや新型キーボードの採用によって実現した

 いま最も先進的なモバイルPCとしてWindowsをインストールして使いたいが、Core Mを採用することからMacBook AirのCore i5に比べてどの程度パフォーマンスが落ちるのかを気にしている人もいるだろう。そこで今回は第5世代Core(開発コード名:Broadwell)を採用した最新の「11インチMacBook Air」と「13インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」のベンチマークテスト結果も並べている。

 主なスペックは以下の通りだ。

比較したモデルの主なスペック
製品名 MacBook 11インチMacBook Air 13インチMacBook Pro Retina
CPU 1.1GHz Core M(最大2.4GHz/3次キャッシュ4MB) 1.6GHz Core i5(最大2.7GHz/3次キャッシュ3MB) 2.7GHz Core i5(最大3.1GHz/3次キャッシュ3MB)
メモリ 8GB(1600MHz LPDDR3) 4GB(1600MHz LPDDR3) 8GB(1866MHz LPDDR3)
ストレージ 256GB SSD(PCIe x2接続) 128GB SSD(PCIe x2接続) 256GB SSD(PCIe x4接続)

比較したモデルの搭載CPU
製品名 MacBook 11インチMacBook Air 13インチMacBook Pro Retina
型番 Core M-5Y31 Core i5-5250U Core i5-5257U
コア数 2 2 2
スレッド数 4 4 4
キャッシュ容量 4MB 3MB 3MB
ベースクロック 900MHz 1.6GHz 2.7GHz
最大クロック 2.4GHz 2.7GHz 3.1GHz
TDP 4.5ワット(SDP:3.5ワット) 15ワット 28ワット
プロセスルール 14ナノメートル 14ナノメートル 14ナノメートル
内蔵グラフィックス HD Graphics 5300 HD Graphics 6000 Iris Graphics 6100

 1つ注意したいのは、アップルの公表している「1.1GHz Core M」と、CPUメーカーであるインテルの公表している「Core M-5Y31」のベースクロック表記が異なる点。これはMacBookに搭載されたCore M-5Y31がコンフィグラブルTDP-up周波数の上限に設定されているためで、実際は4.5ワットではなく6ワットで動作している。ファンレス構造ながら熱設計で余裕があるとの判断だろう。

新しいMacBookに搭載された「1.1GHz Core M」は、ベースクロックが900MHzの「Core M-5Y31」だ。なお、CPUに統合されたグラフィックスはIntel HD Graphics 5300

 ただし、編集部で各種ベンチマークテストを実施したところ、試行回数やそれに伴う温度上昇によって、スコアの出方はかなり不安定だった。グラフでは熱の影響が比較的少ないと思われる値を掲載しているが、室温などの状況次第で処理性能が落ちる可能性があることを付け加えておきたい。なお、テスト時の室温は24度から26度程度で幅があり完全に同一の環境ではない。

 まずはCPUの処理性能を測るCINEBENCHから。CINEBENCH R11.5のCPUスコア(pts)は、1.52(pts)という結果で、MacBook Airの2.86(pts)の52%ほどのスコアになっている。以前OS X環境下では、MacBook Airの80%ほどのスコアだったことを考えるとやや期待外れの結果だ。また、熱がこもりやすい環境でベンチマークを繰り返すとCPUスコアが1.15(pts)まで下がり、ファンレス構造のため発熱の影響を受けやすいと考えられる。

 一方、CINEBENCH R15は、MacBookの211(CB)に対して、MacBook Airの261(CB)とおよそ8割程度の性能を示したが、やはりこちらも試行回数が増えるに従い176までスコアが落ち込んだ。1.1GHz(最大2.4GHz)で動作するMacBookのCore M-5Y31は、MacBook AirのCore i5-5250U(1.6Ghz/最大2.7GHz)と比較して80%程度のポテンシャルはあるが、気温などの使用環境によっては最大性能を発揮できない可能性がある。夏場は空調などに気をつけたほうがよさそうだ。

CINEBENCH R11.5のCPUスコア

CINEBENCH R15のCPUスコア

 次に実際のアプリケーションを用いてPCの性能を測るPCMark 8の結果を見ていこう。Homeの結果は1664、Creativeの結果は2024で、それぞれMacBook Airの3289、3995と比べて大きく水をあけられた形だ。

PCMark 8(Home accelerated/Creative accelerated)の結果

 12インチRetinaディスプレイを搭載するMacBookは、前回の液晶ディスプレイ測定の結果を見ると分かるように、MacBook Airに比べて液晶ディスプレイの品質が高い。このことから写真編集やビデオ編集などの用途で検討している方もいそうだが、Photo EditingやVideo Editingの個別の値を見るとかなり差がある。

 メールやWebブラウズ、リポート作成など日々の作業で不満を感じる場面はなさそうだが、負荷の高いクリエイティブワークは向いていないと考えてほうがいい。こうした用途で高品質な表示を求めるのであれば13インチMacBook Proを選ぶべきだろう。

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