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» 2015年06月26日 12時07分 公開

「El Capitan」の魅力を徹底解説:次世代OS Xは人気アプリキラー!? 林信行のOS X「El Capitan」世界先行レビュー(後編) (6/6)

[林信行,ITmedia]
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じんわりうれしいフルスクリーンモードの進化

 さて、OS X El Capitanで一番本質的な変更といえるのは、フルスクリーン作業の洗練だろう。2011年にOS X Lionをリリースして以後、アップルは1つの作業に没頭できるフルスクリーンモードをMacユーザーに広げることに力を割いてきた。

 今は情報過多の時代だ。Webページでニュースを読もうとすれば、まるで歩くのをさえぎる呼び込みの人たちのように、目立つ色や動画を駆使した広告が目まぐるしく飛び出てくる(広告全部が悪いとは言わないが、昔のアナログ広告はアプローチがもう少し上品で、そこに好感が持てた)。何かの作業をすると、機能をてんこ盛りにしたアプリケーションのメニューの文字がメニューバーをビッシリと埋め尽くす。

 そういった情報のプレッシャーから解放し、クリエイティブな作業をする人が書類の中身だけに本当に集中できるように搭載されたのがフルスクリーンモードだ。

フルスクリーンモードに、画面を並べて表示するスプリットビューが追加された

 実はこれに近い機能は、Windowsの方が「ウィンドウ最大化」という形でMacよりはるかに前から標準で採用しており、筆者も個人的にWindowsで一番評価するポイントとしてよく挙げていたが、アップルもLion以降、アップルらしい洗練さを加えてこの機能を実現している。

 やはり、Macでこの機能を使っていてイイと思うのは、Mac用のアプリのほうがWindows用よりもはるかに使い勝手の統一化が進んでいるため、アプリごとの独自ルールに振り回されずに、OSのルールでアプリをまたいで操ることができる感覚だろう。

 大きなトラックパッドの上に指3本を置き、左右スワイプでフルスクリーンアプリ間を行き来したり、下から上へのスワイプでミッションコントロールという機能を呼び出し、フルスクリーン作業画面の一覧から目的のアプリに移動する操作は非常に直感的だ。「画面の端っこはどの辺りだろう」と手探りをしながら画面を横にスワイプするWindows 8の操作よりも気をつかうことも少なければ、手にかかる負担も少なく、その結果として考え事をしながらつい手遊びでアプリを切り替えてしまう(こう言った手遊びはそれだけ道具が手になじんでいる証拠であり、いいことだと思う)。

 El Capitanでは、このフルスクリーン機能に新たにスプリットビュー、つまり1つの画面に2つのアプリを同時に表示する機能が加わった。こちらもWindowsではすで実現している機能だが、後発だけあってアップルのほうが洗練されている。

 スプリットビューで一番大変なのは2つのアプリを選んで画面を構成する部分だが、El Capitanでは、ミッションコントロールという機能を進化させることで、この操作を非常に直感的かつ簡単に可能にした。トラックパッドに指3本を置き上方向にスワイプすると、ミッションコントロールモードになり画面中央にフルスクリーン化されていない全ウィンドウの一覧が表示され、上にフルスクリーン化しているアプリの画面一覧が表示される。

 OS X El Capitanルールでは、スプリットビューは、フルスクリーン化済みのアプリと、フルスクリーン化していないアプリで組み合わせるもの、というルールが決まっているので、使用したい2つのアプリが両方ともフルスクリーンモードの場合は1つを解除し、両方ともウィンドウ表示なら1つをフルスクリーン化する。その状態でウィンドウ状態のものを、ミッションコントロール上段のフルスクリーン画面の上にドラッグすると、そのアプリの組み合わせでスプリットビューが作られる。どっちの画面んを右に置くか、左に置くかも、ドラッグする場所で簡単に指定できる。

 また、1度スプリットビューを作ってしまった後は、それぞれのアプリの表示をどれくらいの幅にするかも、真ん中の仕切り線をドラッグしてある程度柔軟に調整できる。言葉で説明すると大変そうだが、やってみると非常に簡単で、気軽にスプリットビューを作ったり、崩したり、別のアプリと組み合わせたスプリットビューを作ったり、複数のスプリットビュー画面(やフルスクリーン画面)を3本指のスワイプ操作で行き来でき、とても快適に作業できる。

 ちなみに、まだフルスクリーンモードに対応していないアプリや、その特性から、どうしてもフルスクリーンモードに切り替えられないアプリというものもいくつかある。そうしたアプリでも作業そのものに集中しやすいようにアップルは今回、「システム環境設定」に「メニューバーを隠す」という新項目を追加した。ドックを隠す機能同様に、使っていない間は余計なメニューバーを画面から隠し、操作したいとカーソルを画面の上に近づけると再びすっとメニューが現れるという機能だ。

ドック同様、メニューバーを隠す設定が追加された

 さて、OS全体に関わるもう1つの大きな変更というと、Metalと言われるグラフィックエンジンをベースに表示処理が行われるようになり、大幅にパフォーマンスが向上したことだろう。ただ正直、ここは対応アプリもない現状では「速くなったと感じる」という以上に言えることはない。アップルの公式な資料では描画処理によっては40%ほどの効率化ができるということなので、Metalに対応したMacであればしばらく新機種に買い替えなくても、無料のOSアップデートをするだけで、1世代くらいマシンが新しくなったくらいのパフォーマンス向上が望めそうだ。

 打ち上げ花火のような機能はないが、OSの根っこの部分から細かな標準アプリまで細かく改良されたOS X El Capitanは、(残念ながら日本語に対応してない機能も多いものの)1度使い始めると後には戻れないと感じるほど使い勝手が向上している。公開β版によるユーザーからのフィードバックで、最終リリース版までにさらに使い勝手が洗練されれば、非常に多くのMacユーザーに恩恵を与えてくれることになりそうだ。

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