ピクセラは10月28日、都内で開催した事業説明会でパノラマVR配信システムの商用サービスを2016年3月より提供すると発表した。PC用テレビチューナーなどで有名な同社は、「PC関連事業」「ホームAV事業」「AVソフトウェア事業」に加えて、「IoT事業」「翻訳事業」「AR/VR事業」に新規で取り組んでおり、今回の発表もその一環となる。
なぜAR(拡張現実)/VR(仮想現実)事業に乗り出すのか、同社は次のように語る。「2020年のAR/VR市場規模は、全世界で18兆円になると予測されている。2016年には米Oculus VRの『Oculus Rift』や米Microsoftの『HoloLens』といったVRデバイスが商用として多くリリースされる。これまでに取り組んできた静止画像処理技術や、映像処理・サーバ技術をふまえて、ピクセラもいち早くさまざまなソリューションを提供したい」という。
さらに、「AR/VRの映像を楽しむには、映像を入力してVRデバイスから出力をするほかに、コンテンツ製作、クラウド、アプリケーションといった工程が必要となる。これらを組み合わせて、初めて新しい映像体験を提案できる。そこで(ピクセラは) 世界中のユニークなデバイスとサービスを組み合わせて一貫したサービスを提供していきたい」と付け加えた。
一例として、住宅や旅行のカタログでAR/VRを活用するデモを実施。カタログに掲載したQRコードを読み取ると、アプリがピクセラのコンテンツサーバに接続し、画面上に住宅内部や現地の全方位写真が表示できる。まずは2015年末に無料体験アプリを一般公開し、多くの人に周知を図りたいという。また、全方位カメラで撮影した映像をLTE回線を経由してコンテンツサーバに送信し、ライブ配信するソリューションも用意する。
Oculus RiftといったVR再生機器を快適に動かすために、ピクセラオリジナルブランドの高性能PCも用意した。プロセッサとしてCore i7-4790(4コア8スレッド、3.6GHz/最大4GHz、3次キャッシュ8Mバイト)、グラフィックスはNVIDIA GeForce GTX 970を搭載。メモリは8Gバイト、ストレージは2TバイトHDD、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを内蔵する。本体は高級オーディオ機器のようなデザインを取り入れており、シアタールームやホテル、店舗などでVRを利用する際のPCとして活用されることを見込む。価格は未定。
同時に、米sphericamの製品販売に関する業務提携も発表。本体に6つのレンズと各種センサーを搭載することで、60fps/4K撮影が可能な全方位カメラ「Sphericam 2」を日本市場で展開する。Sphericam 2の価格はKickstarterで2000米ドルとなっているが、国内投入時は認証などを通す影響により少々割高な価格となる。発売は2016年の第一四半期(4〜6月)を目指しているという。残念ながら会場には製品が用意されず、実機を確認することはできなかった。
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