日本マイクロソフトの「Surface Pro 4」は、高精細な12.3型ディスプレイを搭載し、ノートPCと互角以上といえるパフォーマンスを秘めた2in1デバイスだ。タブレット単体なら重量は約786グラム(Core i5/i7モデルの場合)と軽いうえ、背面にあるキックスタンドを使えば自立させられる。さらに付属のデジタイザスタイラス「Surfaceペン」とオプションのキーボード兼カバー「Type Cover」を組み合わせれば、タブレットの機動力とノートPCの生産性を両立でき、まさに1台2役をこなす2in1デバイスとして注目の製品だ。
ITmedia PC USERでは、既にCore i5搭載モデルを5回に分けて詳細にレビューしているが、発売が2016年1月に延期されていたCore i7搭載の上位モデルを入手した。
Surface Pro 4で注目すべき点は、やはりプロセッサの性能だ。日本マイクロソフトのWebサイトではプロセッサの詳細な型番は公開されていないが、Core i7-6650U(2.2GHz/最大3.4GHz、2コア/4スレッド、3次キャッシュ4MB)であることを確認している。
Core i7といっても、モデルによって性能はさまざまであり、モバイル向けの場合はCore i5とあまり明確な差がないモデルも存在する。しかし、Core i7-6650UはGPUスコアを強烈に強化した、明らかに格上といえるモデルだ。描画データの演算を行うEU(Execution Unit)を2倍の48基に増やしているほか、「eDRAM」と呼ばれる高速キャッシュメモリ(64MB)を備えている。
プロセッサに内蔵するGPUコアは、本来であればメインメモリをGPUメモリとして利用するが、メインメモリは単体の外部GPUが個別に備えるGPUメモリに比べると格段に遅く、この点がボトルネックとなってGPU本来の性能が発揮できないことがある。
eDRAMは、少量でも高速なキャッシュメモリをメインメモリとの間に挟むことでボトルネックを緩和し、GPU本来の性能を引き出そうというアプローチだ。GPU自体が高速になればなるほどGPUとメインメモリとの性能ギャップは大きくなるため、EUの増強により高いグラフィックス性能が期待できる。
Core i7-6650Uは、Turbo BoostによるCPUクロックの変動幅が比較的大きいことも特徴だ。これはGPU性能が高いため、GPUクロックが上昇する高負荷時にはCPUクロックを抑える必要があるためと思われる。
さらに、TDPが15ワットということでも貴重なモデルといえるだろう。これまでIntelのCore iシリーズでは、通常から2倍のEUを搭載したモデルにおいて、TDPは28ワットが基本となり、さらにeDRAMまで搭載するとなると、TDPが47ワットクラスのモデルに限られていた。
よって従来の技術では消費電力が高くなってしまう。つまり、比較的大きなボディのPCにしか搭載できなかったため、Surface Pro 4のような携帯を意識したタブレットで、このようなGPUコアを搭載した製品はこれまでになかったのだ。電力効率の改良が進んだ最新世代だからこそ可能になった構成である。
Core i7(Uシリーズ)のラインアップ比較 | |||
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CPU | Core i7-6650U | Core i7-6500U | Core i5-6300U |
CPUコア/同時処理スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド |
標準クロック | 2.2GHz | 2.5GHz | 2.4GHz |
最大クロック | 3.4GHz | 3.1GHz | 3GHz |
GPUコア | Intel Iris Graphics 540 | Intel HD Graphics 520 | Intel HD Graphics 520 |
GPUコア実行エンジン | 48基 | 24基 | 24基 |
GPUクロック | 300〜1050MHz | 300〜1050MHz | 300〜1000MHz |
三次キャッシュ | 4MB | 4MB | 3MB |
eDRAM | 64MB | − | − |
プロセスルール | 14ナノメートル | 14ナノメートル | 14ナノメートル |
TDP | 15ワット | 15ワット | 15ワット |
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