次の部屋はバラエティ豊かなアーケードゲームの部屋。
レースゲームのようなスピードを競うスポーツだけでなく、格闘技のゲームが増えてきたのもこの時期だ。ここにはボクシング「パンチアウト!!」、プロレス「ザ・ビッグプロレスリング」が展示されている。
また、ゲームジャンルに幅がでてきたのもこの頃の特徴だ。トランポリンで跳ねて上下移動、ドアの開け閉めで敵を一時的に無力化させて盗品を回収するマッピー。2つのキャラクターを同時に操作し、ラインで囲んで奇跡を起こす(攻撃する)リブルラブルなど、独創的なルールのアクションゲームも多く見られる。
両利き手に対応したアップライト筐体のマッピー。PCや家庭用ゲーム機への移植も多く見られたが、アーケードの6階建てを再現したものは当時は少なかった。縦置きモニターのアーケードゲームからの移植では、縦方向の解像度不足はよく問題になった。(C) BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
リブルラブルは左右2本のレバーで同時に操作する。2本レバーのゲームはstage.1で展示されていた「クレイジークライマー」があるが、リブルラブルは左右で異なるキャラクタ(リブルとラブル)を操作する。右脳が鍛えられる?(C) BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
ボーナスステージ開始直後のみ表示される宝箱をマーキングしておくためのバシシマーカー。「バシシ」とはラインで囲むこと。リブルとラブルでかっこもう、見つけてバシシ 小さく小さくかっこんで魔法でバシシ 赤く光って宝箱 中から妖精 こんにちは♪〜(C) BANDAI NAMCO Entertainment Inc.遠藤氏のもう1つの代表作、「ドルアーガの塔」はアーケード版のロールプレイングゲーム。ゼビウスのハイスコアラーたちがワンコインで延々とプレイできるようになってしまったことへの商業的な反省から、いくらプレイヤーがうまくなっても60階、1時間程度で終了するようになっている。ストーリー上、60階を目指して進む明確な目標があるため、納得感がある仕掛けだ。
創生期のころのブロック崩しなどでは1ゲームエクステンド(ゲームオーバー後に1面目から始まる)もあったことを考えると次第に商業性が高くなってきたような印象がある。エンターテインメント産業として成熟してきた証だろう。
この部屋の隅にはひっそりとATARI VCS(アタリ2600)が展示されている。1977年に北米で発売されたATARI VCSはそれまでの「ハードウェアメーカーがゲームカートリッジも供給する」という常識から、成り行き上とはいえ「サードパーティがロイヤリティを支払ってゲームカートリッジを供給する」という新たなビジネスモデルに変換し、1400万台を売り上げる大ヒットとなった。
しかし、その大ヒットによって極端な粗製濫造・供給過剰が生じ、ATARI VCS発売からわずか5年後には「アタリショック」と呼ばれる北米家庭用ゲーム市場の崩壊を招くことになった。その最大の戦犯と呼ばれた伝説のゲームが「E.T.」だ。展示ではその「ひっそり」感も味わってもらいたい。
そして次の部屋へ……。
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