Apple、やはり2017年の春はイベントなしで少しだけ新製品を発表しましたね。その中で異彩を放つのは、動画編集アプリ「Clips」です。私はてっきり、SnapchatやInstagramのようなソーシャルアプリを出しちゃったのかと思いました。そういうウワサもちらほらとあったので。
でも、Clipsはそうではありません。SNSなどでの共有を前提としてはいますが、iOS端末で手軽に動画を撮影・編集(そして他のサービスに投稿)するためのアプリです。
Clipsで作った動画はカメラロールに保存することも、iMessageに投稿することもできますが、AppleはInstagram、Facebook、YouTube、Vimeoへの投稿を勧めています。
つまり、iOS端末ユーザーは、SNSへの投稿にSNSに付属する動画編集機能を使わずに、Clipsを使うことで(非iOSユーザーの)友達に差をつけよう、ということです。
実際、紹介動画を見る限り(使えるようになるのは4月以降)、簡単にいろんなことができそうです。特に音声で映像にキャプションを付けられる「Live Titles」は、他にはない便利そうな機能です。
下手に(Appleがあまり得意ではなさそうな)ソーシャルサービスに参入するよりも、これは賢いんじゃないでしょうか。新たなSNSなんぞを始めてしまったら、当然Android版アプリも出さないとユーザーは増えないし、既に混雑している市場に割り込むにはよほどの特徴がないと難しいからです。
でも、iOSでしか使えないかっこいいソーシャルサービス向けのアプリを出せば、Androidユーザーがうらやましがって中にはスイッチしてくる人もいるかもしれません。
AppleはGoogleと違って、ほとんどソーシャルに手を出していません。私が覚えているのは「iTunes Ping」(2010年9月〜2012年9月)くらいです。
「それにしても動画編集アプリというのもなんだか唐突だよねぇ」とMacユーザーの夫に言ったら、「いやいや、Appleには昔からPhoto Boothというエフェクト付き写真アプリがあるではないか」と返されました。
そういえば、「Photo Booth」はiPadに入ってますよね。最初は2005年、iSightカメラ搭載のMacでのみ使えるアプリでした。その後、2011年3月発表の「iPad 2」から、ずっとiPadに静かにプリインストールされています。
動画編集アプリとは全然別モノですが、エフェクトを付けた写真を手軽に撮影できる、というところはClipsのご先祖とみてもいいかもしれません。
ただ、ClipsはPhoto Boothとは違って、顔認識、音声入力、Prismaのような動画加工など、人工知能(AI)をばりばり使っています。「うち(Apple)だって、いろいろやってるんだぜ」のショーケースにもなっているようです。
というわけで、4月になったらClipsをiPadに入れて使ってみようと思います。
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