iPhone誕生10周年に見た「macOS」「watchOS」「tvOS」の進化(4/5 ページ)

» 2017年06月21日 19時19分 公開
[林信行ITmedia]

VRコンテンツ制作の主力開発プラットフォームを目指すMetal for VR

 Mac用のMetal 2にはもう1つ特徴がある。macOSとして初めて外付けのGPUをサポートしたのだ。これによりThunderbolt 3ポートを搭載したMacであれば、たとえ本体側のGPUが古くなってからでも、GPU処理を高速化する外付けGPUをケーブルで接続して高速処理ができるようになる。

 この外付けGPUは市販品ではないものの、開発者向けに500ドルほどのDeveloper KitをAppleは提供する。AMD Radeon RX 580が入ったアルミ製のボックスでThuderbolt 3搭載のMacにケーブルで接続すると、それまでのMacではできなかったような高度なグラフィックス処理ができるようになる。


 そんな高度なグラフィックス処理の事例の1つとして、Appleが紹介したのがVRコンテンツの製作だ。同社はMetal for VRというOS内の基盤を用意し、HTC ViveなどのVRゴーグルの表示をOS側でサポート。また、ビデオ編集ソフト「Final Cut Pro X」でVR動画の編集に対応させる。

 これにあわせてVALVEが提供するVRコンテンツ配信プラットフォーム「Steam VR」のMac対応が発表されたほか、多くの開発者がゲーム開発などで利用しているUnityとUNREAL ENGINEのVR関連機能がMacに対応する。

 基調講演ではこのMetal for VRを使って開発されたIndsutrial Light&Magic(IL&M)のVRコンテンツのデモも行われた。IL&Mはスターウォーズの特殊映像制作で有名だが、デモで紹介されたのはVRゴーグルをつけてスターウォーズの世界に入り込めてしまうというもの。被ってしばらくすると近くを歩いていたダース・ベイダーがライトセーバーを取り出してこちらに斬りかかってくる。

 デモはiMacを使って行われており、実際に筆者も試してみた。足元で光るマグマやライトセーバーの光を反射するダース・ベイダーの面や手袋などの光の加減がリアルで、斬り込んでくる姿にもかなり生々しい迫力があった。

iMac Pro:ワークステーション性能を一枚に凝縮した史上最強のMac

 WWDCでは、既にレビュー記事でも紹介したMac新製品7モデルも発表された。レビュー記事でも書いたが個人的に筆者はMacBookとiMacのお買い得感が大きく増したと感じているが、どのモデルも十分に魅力的なアップデートが行われている。

 そしてもう1つ忘れてはならないのが、2007年末に発売されるプロ用の新製品、iMac Proが発表されたことだ。


 本体の形状は27インチiMacと同じだが、本体、キーボード、マウスのすべてがApple製品でよく使われるマットな黒色、スペースグレイの仕上げになっており、キーボードはテンキー(数字入力キー)を備えた大型のものになっている(ちなみにこのテンキー付きキーボードは今回新発売となったiMacでも購入時オプションとして選択できるようになっている)。

 今年末に登場するiMac Proは、高性能なワークステーション級の性能を凝縮したApple史上最も高性能なMacとなる。高性能なプロセッサー類を27インチiMacと同じ形の本体におさめるために、内部の空気の流れを1から再設計し冷却性能を80%向上させたという。


 搭載するCPUには最大18コアのIntelのXeonプロセッサー、GPUにはAMDのRadeon Vega、処理性能は11テラフロップスで最高性能のMac Pro用GPUと比べてもさらに3倍ほど速い。また機械学習などでよく使われる精度を少し落としたHalf Precision処理にも対応し、その場合の性能は22テラフロップスとなる。搭載できるメモリはECCメモリで容量は最大128GBまで(iMacの2倍)、3GB/秒の高速なSSDを最大4TBまで搭載できる。4つのThunderbolt 3ポートを持ち、Macとしては初めて10Gbイーサネットのネットワークケーブルにも対応する。


 このシステムでどれだけの処理ができるかというと、本体に搭載した5Kディスプレイの他に、さらに2台の5Kディスプレイを接続可能で、合計4400万画素の表示環境に2台の高速RAIDドライブをつなげてビデオ編集作業が行える。Facetimeカメラも1080p画質だったり、UHS-II SDXCカードスロットの搭載など他にも数多くの最先端技術を搭載するiMac Proは、リアルタイムでの3Dレンダリング、高フレームレートのVR制作、複雑なシミュレーションや分析、機械学習、リアルタイム4Kビデオ編集、そしてソフトウェアの開発といった用途に向いているという。

 AppleはiMac Proに匹敵する性能を持つワークステーションは高精細な5Kディスプレイ抜きで7000ドル近い価格になるという。これに対して8コアXeonと32GBメモリ、1TB SSDを搭載したiMac Proのベースシステムは4999ドルだという。

 これは再びプロフェッショナルに目を向けたMacの第1弾製品に過ぎず、Appleは来年にはこれよりもさらに強力なディスプレイセパレート型のMac新製品も発表すべく準備中だという。

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