Apple Watch Series 3先行レビュー 林信行が読み解く「デジタルダイエットの提案」(4/4 ページ)

» 2017年09月20日 20時00分 公開
[林信行ITmedia]
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Series 3は、まだファッショナブルか!?

 Apple Watchと言えば、有名なエルメスとのコラボモデルの他、米国のCOACH、日本でもsacaiやANREALAGEといったファッショニスタが注目するブランドと本数限定のコラボバンドを展開して、ファッションアイテムとしても注目を集めている。

 人気の秘密は、1本の時計が、その日の気分やスタイルに合わせて、フェース(文字盤)の見た目を変えたり、バンドを簡単に取り替えたりすることができる点だ。

 会社へはドレッシーな革バンドをはめて出社し、夜のジムではエクササイズ用のスポーツバンドに着替える、といったことが簡単にできるため、最近ではエルメスのコラボモデルも全バンドにペアのスポーツ用バンドを同梱している。

 Apple非公認のバンドもかなりあり、筆者もパリの有名セレクトショップ、コレットで数種類買ったものを含めると、既に金属バンドのミラネーゼループから、レザーバンド、3色のスポーツバンドと2色のナイロンバンドなど10種類を超えるバンドのコレクションができあがりつつある。ドレスコードで色が指定されているパーティーなど、TPOに合わせてバンドを着替えられる点も、Apple Watchを身につける楽しみの1つだ。

筆者が愛用しているApple Watch用バンド8種類で、AppleWatch series 3の赤いデジタルクラウンが浮かないかを試してみた。中にはスペースグレーのミラネーゼループなどはそもそもスペースグレーのApple Watch本体としか合わないような気がするが、そうしたあたりの感想も人によって違うかもしれない。試して見た結果、筆者的にはそんなに目立たないし、むしろいいアクセントになっている印象を受けた

 今回Appleは、Series 3と同時に新しいスポーツループというバンドを発表した。これは通気性が高いソフトなナイロン製で、金具を使わず(Appleはこう呼ぶのを嫌っているようだが)ベルクロと同じ機構で留める構造になっている。このため従来のスポーツバンドよりもフィット感は高く、はるかに軽量だ。明るい蛍光色からシックな色まで8種類のカラーバリエーションが用意され、価格もこれまでのスポーツバンドと同じ5800円と手ごろなので1本持っておいても損はない。

 ただ、Apple Watchをファッションアイテムとして見たとき、少し気になるのがSeries 3セルラーモデルのリュウズ(デジタルクラウン)だろう。セルラーモデルでは、それを示すためにリュウズの先が赤く塗られている。かなり主張の強い赤なので、それが自分のそろえたバンドに馴染むか否かは気になるところだろう。もっとも、エルメスもあの赤いリュウズを受け入れてセルラーモデルを販売しているし、何本か試して見た筆者のバンドでもアクセントにはなっているが、それほどじゃまになっているとは感じなかった。

 どうしても気になる人は、ぜひともApple Storeやその他の販売店に愛用のバンドを持ち込んで相性を試してみるといいだろう。

 一方、文字盤もwatch OS 4では、さらに種類が増えている。大人気の喋るミッキーマウス、ミニーマウスの文字盤で衣装のカスタマイズが可能になったのに加えて、同じディズニーキャラとしてトイストーリーの人気キャラクターがアニメーション表示される文字盤も追加された。ちょっとサイケデリックな万華鏡の文字盤も加わっている。

 だが、実用性重視でいうと注目すべきはSiri文字盤だろう。これはAppleがMac、iPhone、iPadそしてApple Watchを横断する形で開発しているAIベースのインテリジェントなアシスタント機能で、ユーザーが今、必要としているであろう情報を予測して表示してくれる。短期間のレビュー中に目にしたのは、現在地周辺の天気や次の予定、その次の予定、日没時刻や明日の天気といった感じだが、今後、ここにどんな情報が表示されるようになるのかがなんとも楽しみだ。

新たに加わったSiri文字盤は、1日の時刻の経過に合わせて表示される内容が自動でスクロールしていく(デジタルクラウンを使って早めたり、戻したりもできる)。今後、さらにインテリジェントに表示される項目が増えることに期待したい

 Apple Watchは、10年前に始まったスマートフォン普及の波によって、行き過ぎてしまった情報過多なデジタルライフスタイルをもう一度見直し、精神や肉体が持つ本来のキャパシティに適した形へ整える“デジタルダイエット”のデバイスだ。Series 3では、セルラー通信の内蔵により、デジタルダイエットをさらに大勢の人々に浸透させるターニングポイントとなることだろう。

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