もう1つ、気を付けたいのはデザインの統一性のなさだ。プライベートブランド家電は複数の委託先から製品を仕入れていることがほとんどで、それ故にデザインは必ずしも統一されていない。
「いやそんなことはない、プライベートブランド家電と言えば、むしろデザインは統一されているはず」と思う人もいるかもしれないが、それは色が同じであるためだ。人間わりと単純なもので、デザインが全く異なっていても、色が共通であれば、デザインまで統一されているように錯覚しがちだ。
それ故に、見た目にはそろっているように見えても、例えば電源ボタンまわりのデザインが製品ごとにバラバラで、プッシュ式もあればスライド式もあったりと、インタフェースにまで踏み込んだデザインの共通性はあまり期待できない。この辺り、家電メーカーが手掛けるオール自社設計のブランドとの大きな違いだ。
また、プライベートブランド家電は基本的に「枯れた製品」がほとんどであることも、認識しておいた方がよい。もともとプライベートブランド家電というのは、数が安定して売れ、かつ手離れがよい製品について、家電メーカーから仕入れずに海外の委託先から直接仕入れることで、ボリュームメリットで利益を上げるというのがコンセプトだ。
それ故、最先端のトレンドを取り入れた製品というのは、プライベートブランド家電にはなかなか登場しにくい。委託先から見た場合も、プライベートブランド向け製品として家電量販店に供給するには、あまりとんがった製品よりも、別チャネルである程度販売実績があり、かつ不良率が低い製品の方が望ましい。
とんがった製品を作って売るのはひとまず家電メーカーに任せ、それらが将来スタンダードになれば、その時点でラインアップに取り込めばよい、というのがプライベートブランド家電の思想であり、最新のトレンドがプライベートブランド家電のラインアップに反映されることは、あまり期待できないと言ってよいだろう。
以上見てきたように、プライベートブランド家電は、家電メーカーが用意しているラインアップとは、また違った特性を持っている。それ故に家電メーカー発の製品と同じ感覚で買い、使うとなると、戸惑うこともしばしばだ。
ただしトータルで見ると、デメリットはある反面、価格面を中心にメリットも多い。今回挙げたデメリットがあるからといって、プライベートブランド家電全体を見送る理由にはなりにくいというのが筆者の見方だ。
これから春にかけて、進学や就職で新生活を始めるにあたり、シリーズが統一されており、かつ価格もリーズナブルなプライベートブランド家電で身の回りを固めるのは、決して悪くない。要は製品の特性を見極めればよいだけの話で、本稿で述べたようなポイントだけ押さえておけば、頼りになるのは間違いないだろう。
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