ASUSはなぜ日本でゲーミングスマホを投入するのか? 「ROG Phone」の狙いを聞くSIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)

» 2018年12月04日 00時00分 公開
[石野純也ITmedia]

豊富なアクセサリーはASUSならでは 発熱対策も

―― 海外を見ると、ゲーミングスマホは他にもありますが、ASUSならではのポイントはどこになるのでしょうか。

阿部氏 豊富なアクセサリーが一番のポイントだと思っています。専用ポートも装備していて、ドッキングすればキーボードやマウスをつないでの操作もできます。発表会ではデレステ(アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ)のデモをWiGig経由でディスプレイに表示させていましたが、あれも話題になりました(笑)。

ASUS 6型ディスプレイを備えるデュアルスクリーン拡張ユニット「TwinView Dock」
ASUS 低遅延でゲームの映像などをワイヤレス伝送できる「ASUS WiGig Dock」

 本体もエアトリガーに画面のタップを割り当てることができるなど、単純にパフォーマンスが高いだけでなく、本当にゲーマーの方が便利に使えるような機能を実装しているところは、売りになると考えています。(エアトリガーの)超音波センサーは、端末の外観を崩さず搭載できるのもいいですね。ボタンを増やし過ぎるといびつな外観になってしまいますが、スタイリッシュな外観を崩さず、便利な機能を実現できています。

 その意味では、スマートフォンとしての実用性も残したままになっていて、ディスプレイサイズは6型ですが、重量も約200gです。そういった端末の中に、ゲーマー向けの機能が入っているのはポイントになると思います。

リー氏 ゲームを遊んでいるときの発熱にも対策を施しています。充電のICチップをあえてアダプター側にも移すなどしていますが、そういったユーザーの利用シーンを考慮しているところは、一番のポイントになります。

阿部氏 普通だと、USB Type-Cのポートは本体の下にあるので、横向きに持ってゲームをしながら充電すると、手に干渉してしまいます。その対策として、側面にもポートを付けています。

ASUS 充電しながら横向きに持ってゲームがしやすくなるよう、側面にもUSB Type-Cポートを備えている。外付けのAeroActive Coolerを装着すると、USB-Type Cポートと3.5mmヘッドフォンジャックに接続できる

―― そういう意味だと、ZenFone以上にユーザーエクスペリエンスを重視していると言えそうですね。

テン氏 ZenFone「も」なので、そんなことはないです(笑)。

阿部氏 10年以上前からROGをやっていて、PCやマザーボードでいろいろな経験や知識を蓄積しています。そういったものを取り入れ、凝縮しているのはASUSならではですね。

テン氏 例えばPCにも「ゲームセンター」というソフトがあり、ROGユーザーにとっては、同じものがスマホにあるというところが面白いようです。これも、ゲーマーの心をくすぐる仕掛けですね。

―― 発熱対策という意味では、ファンも取り付けられますが、あれはどの程度効くのでしょうか。

阿部氏 少なくとも、私がプレイしてみた限りでは、かなり高度なゲームを1時間以上やっても、熱くなり過ぎるということはありませんでした。温度が上がってしまうとやはりパフォーマンスは落ちてくるので、その意味ではバランスよくゲームができると思います。

最大90Hzのリフレッシュレートで滑らかに動く

ASUS システムビジネス事業部 テクニカルプロダクトマネージャーの阿部直人氏

―― パフォーマンスが必要なゲームはもちろんですが、「Pokemon GO」のように、屋外で遊ぶようなものにも効きそうですね。

リー氏 確かに、直射日光が当たると、すぐに熱くなりますからね。

阿部氏 Pokemon GOつながりで言うと、あのゲームも実はディスプレイの高リフレッシュレートに対応していて、ROG Phoneだと気持ちがいいぐらい、滑らかに動きます。実際にやってみて、初めて知ったのですが(笑)。

―― そのリフレッシュレートですが、今回は最大が90Hzですよね。

阿部氏 最高は90Hzで、今までの60Hzよりも高くなっています。「Asphalt 9」を別の端末と同時に立ち上げていただければすぐに分かりますが、誰が見ても分かるレベルで滑らかに動きます。このリフレッシュレートは、ゲームの仕様に依存します。また、画面がキレイになる代わりに、バッテリーの消費量も増えるため、常時オンにするのはあまりお勧めしていません。

―― 滑らかさという観点だと、Androidは端末ごとにスペックのバラつきが大きく、チューニングが大変という話も聞きます。どこか、特定のゲーム会社とのコラボレーションはしているのでしょうか。

テン氏 企画を始めたときにはそういうアイデアもあったのですが、ゲームもさまざまあるので、特定の会社と組んでしまうとユーザー層を狭めてしまうのではないかと考えました。もちろん、ゲームをやるときにROG Phoneなら間違いないというようにしたいので、しっかり動作は検証して、弊社側でリストを公開していく予定¥です。その検証は、今、阿部がやっているのですが(笑)。

阿部氏 単純なところで、そもそもダウンロードできるかというところからは始めていますが、トップ300のゲームは全て動きました。全てのゲームを細かくクリアするところまでやっているわけではありませんが、ダウンロードしてインストールができるかどうかや、起動しても落ちずにしっかり動くかというところまでは確認しています。また、ROG Phoneが話題になってくれれば、逆に「検証してほしい」と声をかけてくれるゲーム会社が出てくるかもしれません。

 もちろんですが、少なくとも発表会で紹介したゲームのメーカーには事前にお貸しして、検証はしています。

―― 検証も、数が無数にあるので、なかなか大変な作業ですね。端末によっては、カクカクしてしまうというようなこともあるようです。

阿部氏 これは私見になりますが、Androidは端末数が多く、自由度も高いので、その弊害といえると思います。CPUもベースはARMで同じですが、そこから先にもいろいろな種類があり、アプリベンダーさんが全てに対応するのはなかなか難しい。そういった意味で言うと、ROG Phoneは信頼性の高いSnapdragonを採用していて、逆にこれでちゃんと動かないなら他でも難しいというぐらい、間違いないものになっています。

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