そして、このような新しい体験をさらに業務アプリケーションの世界へと拡張していこうというのがMicrosoftの狙いだ。同社は2018年9月にHoloLensを使った業務支援アプリケーションの「Dynamics 365 Remote Assist」と「Dynamics 365 Layout」の2つを発表している。
これに加え、さらにRemote AssistとLayoutの仕組みを、AndroidやiOSといった非HoloLens環境でも体験できるようにするための補助アプリをMWC開催前にパリで発表しており、今回はこれらを使ったデモストレーションも披露された。
Dynamics 365+HoloLensの新たなアプリケーションとしては「Dynamics 365 Guides」が追加されており、ファーストラインワーカー(現場の第一線で働く人々)が作業手順をHoloLensを通して細かいビジュアルつきのガイドで指示され、安全に作業を進められるようになっている。
産業向けソリューションが多く開発されたこともあり、場所によって単一デザインのHoloLensだけでなく、工事現場向けに安全ヘルメットを組み合わせたり、ブランディング上の理由で色やロゴをカスタマイズしたりと、さまざまな需要が出てきている。Microsoftでは「HoloLens Customization Program」を提供し、こういったニーズに応えようとしている。
HoloLensに関わるAzureサービスも拡充が発表されている。「Azure Spatial Anchors」は空間マップを共有するサービスで、AndroidやiOSといった非HoloLensデバイスであってもプラットフォームを問わずに空間情報を共有する。
これにより、HoloLensでの作業情報をHoloLensやWindows MRのようなデバイスがなくても、AndroidやiOSといったモバイル端末さえあれば内容を確認し、場合によっては作業に介入できる。
HoloLens側の制限で、大量のポリゴンを必要とするような3Dモデルの表示では、描画作業にパフォーマンスを必要としたり、バッテリーを消費したりする問題があるが、これらをAzureが肩代わりすることで、HoloLensの動作に支障を与えない「Azure Remote Rendering」という仕組みも紹介されている。
この他、Epic Gamesのティム・スウィーニー氏がステージに登場し、Unreal Engine 4のHoloLens向け提供も発表している。対抗となるUnityが産業用途向けレンダリングエンジンとして対応アプリケーションを増やしていることを考えれば、おそらくUE4についても同様の道を模索するとみられ、近いうちに改めて応用アプリケーションが紹介されることになるだろう。
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