時に2012年6月、MicrosoftがSurfaceを発表したとき、私はどちらかというと冷めた気分だったと記憶している。タブレットなら7型ディスプレイ搭載で本体の重さは350g以下、というのが当時の私の許容範囲だった。
そこからすると、ディスプレイは10.6型、本体重量はWindows 8と開発コード名「Ivy Bridge」世代の第3世代Coreプロセッサを備えた構成(これが初代Surface Pro)で約903g、Windows RTとArm IPプロセッサを搭載した軽量構成(これを「Surface RT」と呼んだ)でも約676gという記事を読んで、私は「うーん、俺的なタブレットとしてはないなぁ」と鼻をかんでいたし、ディスプレイカバー兼用の“オプション”キーボードが使えると聞いても、「そういうキーボードで“使える”ものがあったためしがないよね」と、とにかくとことん冷ややかだった。
しかし、Surfaceを取り上げたレビュー記事は掲載当初から反響がすこぶる大きく、2013年3月に日本でも販売を開始したWindows RTこそ苦戦したものの、6月に発売したSurface Proは、企業や学生の間でユーザーを増やしていき、気が付けば、それまで多くのメーカーが取り組んでいたにもかかわらず、ごくわずかのユーザー層にしか認識されていなかった「タブレットとしてもキーボードとしても使える2in1 PC」というジャンルを日本に定着させていた。
今や多くのPCメーカーはSurfaceに形を似せた「背面に無段階キックスタンドを設けてディスプレイカバー兼用のキーボードを装着できる2in1 PC」を市場に投入し、街のカフェや喫茶店にいくとMacBookに続いて多く見かけるのがSurface系列という状況だ。いや本当に全くもって冷淡な扱いですみませんでした。
「ならばこれまでの罪を悔い改めなさい」という啓示かどうかは定かではないけれど、総額50万円を超えるSurfaceシリーズの現行モデルと、その周辺機器がドドーンと編集部から送られてきた。
2012年の登場から約7年で世代を重ね、現状のSurfaceシリーズは次のような構成になっている。
Windows 10とIntelのCoreプロセッサを組み合わせた2in1 PC。Surfaceと言ったらこれ! という主役だ。12.3型ディスプレイ(2736×1824ピクセル、267ppi)を搭載し、オプションのタイプカバー(ディスプレイカバー兼用キーボードユニット)と組み合わせるのがほぼお決まりのスタイル。
処理能力より省電力優先のCPU「Pentium Gold」とWindows 10を組み合わせた2in1 PC。10型ディスプレイ(1800×1200ピクセル、217dpi)を搭載し、Surface Proの小型版といった位置付け。工場出荷状態ではWindows 10 Homeの「Sモード」で、Microsoft Storeアプリだけが利用できるなど、“いにしえ”のSurface RTの後継ともいえる。なお、Sモードは通常モードに無料で変更可能だ。
ディスプレイとキーボードを含めた本体が分離するデタッチャブルスタイルの2in1 PC。13.5型ディスプレイ(3000×2000ピクセル、267ppi)および15型ディスプレイ(3240×2160ピクセル、260ppi)と、Surface Proより大型のディスプレイを搭載(その分サイズと重さも増加)、処理能力も高めたモデルといえる。
Surfaceシリーズの液晶一体型PC。28型ディスプレイ(4500×3000ピクセル、192ppi)を備え、Surfaceのプロダクト責任者が発表当時に「デザイナーのためのピアノ」と言っていたのがこの製品のコンセプトを分かりやすく表している。もともとSurfaceという単語は、2000年代後半〜2010年代前半にかけて、わずかに話題を集めた「テーブルPC」用のソフトウェア名だった。
13.5型ディスプレイ(2256×1504ピクセル、201ppi)を搭載したクラムシェルスタイルのノートPC。360度開く2in1 PCと思いきや、全くもってまっとうなクラシックなクラムシェルがSurfaceラインアップに存在すると知ったときにはちょっとびっくりしたものだ。
以上のように、キーボード付きカバーを用意したタブレットPCだったSurfaceは、液晶一体型PCまでラインアップを拡大した。クラムシェルスタイルのSurface Laptop 2は「むしろ、Surfaceとして出さなくてもいいじゃない」と思ってしまいそうになった程だ。
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