さらに、2019年中に導入が予定されているのが、ホワイトボードを会議で活用する機能だ。
ビデオ会議を会議室で行い、自分と一緒にホワイトボードを映す、ということはよくあるシチュエーションだ。会議だけでなく、ある種の講義でも使われる。
カメラさえ用意すれば、ホワイトボードと自分を同時に撮影するのは難しくない。だが、ホワイトボードを「正面からちゃんと撮影する」のは面倒なものだ。三脚を立て、傾きを調整してやる必要がある。それを毎回やるのはかなり大変だし、仮にそこで完璧を期したとしても、会議室のライティングの状況によっては、ホワイトボードが見づらくなる。
そこで導入されるのが、傾きを直し、ホワイトボードをより白く、文字をはっきりと見せることができるように、自動的に補正する技術だ。
こういう技術はスマホのカメラアプリにもあり、そんなに難しいものではない。「AI」も全く必要ないレベルだ。だが、同社の施策はこれだけでは終わらない。ホワイトボードの前に立った人を「透明にする」技術を導入するのだ。ここではAIを活用する。
ホワイトボードを書く時、人はどうしてもその前に立たねばならない。すると、書いてあるものが見えなくなる。そこで、先ほどの「人のシルエットを認識する」機能を使い、ホワイトボードの前から人を一旦消し、さらに半透明にして重ねるのだ。人で隠れる部分については、前の映像から同じ部分のものをもってきて合成する。こうした位置合わせと認識は、現在のAIが得意とする領域だ。これは、実際に映像を見るとなかなかインパクトがある。
背景ぼかしや入れ替えにしても、ホワイトボード前での人物半透明化にしても、他に出来るものがないわけではない。だが、同社が強調するのは、これが特別な機器なしに使える、という点だ。特別なカメラを使っているわけではなく「Skype for Businessでの動作検証がなされたWebカメラならどれでもいい」と同社の担当者は言う。そのレベルのWebカメラは、量販店では2万円程度で売られている。PC+一般的なWebカメラで実現できるなら、圧倒的にコストパフォーマンスがいい。
PCのパワーは、そうした部分で生きてくる。ソフトとクラウドで変えていく点が、今の同社らしいやり方、と言えるのではないだろうか。
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