MicrosoftがSamsungとスマホ連携でタッグ Windows 10 Mobile後の生存戦略:ITはみ出しコラム

» 2019年08月11日 06時00分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 Samsung Electronicsが8月7日(現地時間)、米ニューヨークで開催のイベント「Galaxy UNPACKED 2019」で、「Galaxy Note10」と「Galaxy Note10+」を発表しました。Noteシリーズはスタイラス「Sペン」が特徴のハイエンドAndroidスマートフォンです。

Galaxy Note10 スタイラス「Sペン」が特徴の「Galaxy Note10」「Galaxy Note10+」

 今回のイベントで、個人的に一番驚いたのは、Microsoftのサティア・ナデラCEOが登場したことでした。

Satya Nadella Samsung Electronicsモバイル部門のDJコーCEO(左)と、Microsoftのサティア・ナデラCEO(右)

 ナデラさん登場の前に、Microsoftとの提携についてのデモがたくさんありましたが、CEOが登壇というのは本気をうかがわせるものです。

 ナデラさんが率いるようになってからのMicrosoftは、かつてのようにライバルを蹴落として市場シェアをどんどんとって自社製品を売るのではなく、ユーザーの生産性を上げ、日常生活を便利にするお手伝いをすることで、結果的に自社製品が売れる、というやり方に変わっています。

 これは、ナデラさんが2014年にMicrosoftのCEOに就任したときの従業員への書簡から、一貫しています。

 この書簡でナデラさんは「モバイルおよびクラウドファーストの世界で成功する」「今後10年でコンピューティングはよりユビキタスになり、インテリジェンスはアンビエントになる。(中略)これは、接続されたデバイスのネットワーク、クラウド、ビッグデータ、機械学習で実現できる」と語りました。

 クラウド、ビッグデータ、機械学習は今のところ大体自前でやっていますが、「接続されたデバイス」で重要な役割を担うスマホはWindows 10 Mobileの撤退後、外との提携が必要になりました。提携先として、スマホ市場でトップシェア(米IDCによる2019年第1四半期の調査)のSamsungを選ぶのは自然な流れです。

Market Share スマホ市場でトップシェアのSamsung(米IDCによる2019年第1四半期の調査)

 ナデラさんがあと1年早くCEOになって(Nokiaの買収以外の方法を選んで)いたら、モバイルファーストも自前で実現できていたかも、などと、ちょっと遠い目になります。

 一方のSamsungは、昔からiPhoneを皮肉るCMを流すなど、何かとAppleをライバル視しています。Galaxy Noteシリーズの「Sペン」は、iPhoneにはないもので差をつけようというSamsungの成功例です。

 「Galaxy S8」からある「DeX」もiPhoneにはないGalaxyシリーズの強み。これはGalaxyシリーズ端末をケーブルでディスプレイにつないで、PCのように使えるようにする機能です。今回のイベントで、WindowsあるいはMacに接続できる「Samsung DeX for PC」も発表されました。

 「Windowsとシームレスに連携できれば、それもiPhoneにはない長所になる」というのがSamsung側のMicrosoftと提携する狙いだと思います。

 UNPACKEDのデモで紹介されたMicrosoftとSamsungの提携内容は以下の通り。

  • Galaxy Note10の通知センターのクイックパネルに「Link to Windows」ボタンがついて、これをタップすることでPCとリンクできます(実は他のAndroidでも使える「Your Phone(スマホ同期)」のアイコンなのですが、名前が違います)
Link to Windows Galaxy Note10の通知センターのクイックパネルには「Link to Windows」ボタン
  • 「スマホ同期」アプリでの特別扱い。他のAndroid端末より一足先に、スマホの画面のミラーリングができるようになります。デモでは、PC画面のタッチ(これもMacにはない機能ですね)でGalaxy Note10の画面を操作していました
  • PCでの通話(年内に実現)。これも、スマホ同期アプリで将来できるようにするとMicrosoftが発表済みの機能なので、他のAndroid端末でもそのうちできるようになるはずです
  • OneDriveとGalleryのシームレスな統合。GoogleフォトとGoogleドライブがちょっと分かりにくくなってる今、いいかもしれません
  • Sペンに最適化したOutlook。デモでは、メールをSペンで書いたり、メールの送信者名をSペンで触るとその人の情報が表示されたりしていました
  • Officeのプリインストール(これは前からですが)
  • LinkedInとSkypeもプリインストールするそうです
  • 「Galaxy Book S」。MicrosoftとQualcommが目指す「Always Connected PC(常時接続PC)」として、Qualcommの新プロセッサ「Snapdragon 8cx」搭載ノートPC「Galaxy Book S」を発表。会場にはQualcommのスティーブ・モレンコフCEOも来ていました
Galaxy Book S Qualcommの新SoC「Snapdragon 8cx」を搭載したWindowsノートPC「Galaxy Book S」
  • Microsoftのオンラインと実店舗のショップ「Microsoft Store」でのGalaxy Note10販売

 「スマホ同期」のデモを行ったMicrosoftのシルパ・ランガナサンさんはデモの最後に「これはMicrosoftとSamsungの素晴らしいコラボの始まりにすぎません」と言いました。これからもシームレスになっていくのでしょうか。

 余談ですが、GalaxyエコシステムとWindowsとの連携のデモが、Microsoftの登壇者を含め全員インド系の名前(ポージャ・ヴィグ、ハッサム・アンジャム、シルパ・ランガナサン)だったのが印象的でした(もちろんナデラさんもインド出身)。

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