Samsung Electronicsが8月7日(現地時間)、米ニューヨークで開催のイベント「Galaxy UNPACKED 2019」で、「Galaxy Note10」と「Galaxy Note10+」を発表しました。Noteシリーズはスタイラス「Sペン」が特徴のハイエンドAndroidスマートフォンです。
今回のイベントで、個人的に一番驚いたのは、Microsoftのサティア・ナデラCEOが登場したことでした。
ナデラさん登場の前に、Microsoftとの提携についてのデモがたくさんありましたが、CEOが登壇というのは本気をうかがわせるものです。
ナデラさんが率いるようになってからのMicrosoftは、かつてのようにライバルを蹴落として市場シェアをどんどんとって自社製品を売るのではなく、ユーザーの生産性を上げ、日常生活を便利にするお手伝いをすることで、結果的に自社製品が売れる、というやり方に変わっています。
これは、ナデラさんが2014年にMicrosoftのCEOに就任したときの従業員への書簡から、一貫しています。
この書簡でナデラさんは「モバイルおよびクラウドファーストの世界で成功する」「今後10年でコンピューティングはよりユビキタスになり、インテリジェンスはアンビエントになる。(中略)これは、接続されたデバイスのネットワーク、クラウド、ビッグデータ、機械学習で実現できる」と語りました。
クラウド、ビッグデータ、機械学習は今のところ大体自前でやっていますが、「接続されたデバイス」で重要な役割を担うスマホはWindows 10 Mobileの撤退後、外との提携が必要になりました。提携先として、スマホ市場でトップシェア(米IDCによる2019年第1四半期の調査)のSamsungを選ぶのは自然な流れです。
ナデラさんがあと1年早くCEOになって(Nokiaの買収以外の方法を選んで)いたら、モバイルファーストも自前で実現できていたかも、などと、ちょっと遠い目になります。
一方のSamsungは、昔からiPhoneを皮肉るCMを流すなど、何かとAppleをライバル視しています。Galaxy Noteシリーズの「Sペン」は、iPhoneにはないもので差をつけようというSamsungの成功例です。
「Galaxy S8」からある「DeX」もiPhoneにはないGalaxyシリーズの強み。これはGalaxyシリーズ端末をケーブルでディスプレイにつないで、PCのように使えるようにする機能です。今回のイベントで、WindowsあるいはMacに接続できる「Samsung DeX for PC」も発表されました。
「Windowsとシームレスに連携できれば、それもiPhoneにはない長所になる」というのがSamsung側のMicrosoftと提携する狙いだと思います。
UNPACKEDのデモで紹介されたMicrosoftとSamsungの提携内容は以下の通り。
「スマホ同期」のデモを行ったMicrosoftのシルパ・ランガナサンさんはデモの最後に「これはMicrosoftとSamsungの素晴らしいコラボの始まりにすぎません」と言いました。これからもシームレスになっていくのでしょうか。
余談ですが、GalaxyエコシステムとWindowsとの連携のデモが、Microsoftの登壇者を含め全員インド系の名前(ポージャ・ヴィグ、ハッサム・アンジャム、シルパ・ランガナサン)だったのが印象的でした(もちろんナデラさんもインド出身)。
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