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» 2019年09月03日 12時00分 公開

Windowsフロントライン:3つのバージョンで同時並行に開発が進むWindows 10

Microsoftがテストユーザーに提供しているWindows 10の大型アップデートは、現在3つのバージョンがある。そこから分かることは何か。最近のMicrosoftの動向をまとめた。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 先日、「クラウド時代のWindows 10復元と再インストール方法を考える」のタイトルで、Windows Insider Program参加者のFast Ringユーザー向けに配信されていた「Build 18950」の中に、Windows 10を復元するためのファイルをローカルイメージではなく、クラウド上からダウンロードするためのオプションが選択可能になっていることを示唆する文言があったことを紹介したが、ようやく開発途上の新ビルドにこの機能が含まれたようだ。

クラウドリカバリーが全Windows 10デバイスで利用可能に

 Microsoftは8月29日(米国時間)、Fast Ringユーザー向けにWindows 10 Insider Previewの「Build 18970」の配信を開始したが、「このPCを初期状態に戻す」のオプションに、新たに「Cloud Download」が追加されている。

 「このPCを初期状態に戻す」の動作自体は従来のものと一緒で、その違いはネットワーク接続環境があることを前提に、必要なファイルをクラウド上からダウンロードしてくる点にある。現状で全てのWindows 10が動作するデバイスがサポートされており、復帰されるWindows 10は同じビルドとバージョン、そしてエディション構成となっている。また、一部機種(Surfaceなど)で導入されていたクラウドリカバリーのオプションとは異なる機能であるともMicrosoftは述べている。

Build 18950で導入されたクラウドリカバリーオプション

 注意点として、このクラウドリカバリーは現状で特定の機能が導入されたマシン上で動作しないことが示唆されている。例えば、EMS、SAC Toolset for Windows 10、IrDA、Print Management Console、RAS Connection Manager Administration Kit(CMAK)、RIP Listener、全てのRSATツール、Simple Network Management Protocol(SNMP)、Windows Faxとスキャン、Windows Storage Management、Wireless Display、WMI SNMP Providerといった機能がそれに該当し、もしこういった機能が含まれた状態でクラウドリカバリーを実施すると、エラー画面を表示してロールバックが行われる。管理系のツールが中心ではあるが、もし利用しているものが含まれている場合には注意が必要だ。

 いずれにせよ、次々期Windows 10大型アップデートの「20H1」が2020年前半にリリースされる頃には、クラウドリカバリーが標準機能として搭載されるわけで、高速回線はあるけど回復ドライブを用意するのが面倒くさいという人には適した復旧方法だろう。

Build 18970で提供される新しいタブレットモードのタスクバー表示

 またBuild 18970では、この他に「タブレットモード」の新しいユーザーインタフェースが導入されている。ポイントとしては下記の4つだが、現状でまだ一部ユーザーを対象にした機能にとどまっており、品質評価後にFast Ring全体に拡大していくものと思われる。

  • タスクバーアイコンの間隔が広がった
  • 検索ボックスのアイコン化
  • ファイルエクスプローラがタッチ向けレイアウトに
  • テキスト入力フィールドを選択するとタッチキーボードが自動的に立ち上がる

19H2のテストユーザー範囲を拡大するMicrosoft

 Microsoftは8月26日(米国時間)、Release Previewを選択するユーザー向けに「Build 18362.329(19H1)」と「Build 18363.329(19H2)」の2つのビルドを配信した。

 現在Windows Insider Programでは、Fast Ringユーザーは「20H1」、Slow Ringユーザーは「19H2」、Release Previewは「19H1」の最新ビルド(とパッチ)が配信され、それぞれテストが行われている。

 本来であれば、Release Previewの対象は19H1であり、19H2は提供されない。だが同社によれば、同リングに参加するユーザーのうち10%程度を対象に「19H2」をテストするためのダウンロードオプションを提示し、それを選択した場合に「Build 18363.329」が提供されるという。

 なお、「Build 18362.329」と「Build 18363.329」はサービスパッケージ自体が同等のものであり、このオプションを選択したときのみ、19H2の機能を有効かするための“差分”が提供されるという。そのため、「.329」という末尾のリビジョンが統一されていると説明する。また19H1と10H2に分岐後も、Release Preview内における累積アップデートは共通のものとして提供されるようだ。

 なぜこのような仕掛けを用意するかという点だが、1つはリリースが近付く「19H2」(バージョン番号は1909で2019年9月をターゲットとしている)のテスト範囲を広げることが挙げられる。

 また、以前から述べられているように、「19H2」のベースはほぼ「19H1」であり、両者の差分は少ない。推測ではあるが、19H1への累積アップデートを提供する過程で19H2と同等のアップデート内容が含まれ、おそらく19H2が正式リリースされるまでの間、両者はほぼ同じ中身で統一されているのではないだろうか。

 あるタイミングで“スイッチ”が有効にされることで、19H1ユーザーが自然に19H2へと移行できる環境になっているのだと考える。いずれにせよ、19H2の完成までほぼ1カ月の時期に差し掛かっており、今後もこうした19H2へとユーザーを誘導する試みは続くと思われる。

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