まだ製品版の試用から時間が短いため、簡単な紹介にとどめたいが、iOSとの“フィーリングの一体感”は他の部分にも広がっている。「写真」アプリはiOS版と同様の切り口で写真を探せるようになり、思い出の動画が自動生成されるのも同じだ。
また純正の「メール」アプリでは、頻繁に着信するメールスレッドの通知を停止する機能が付いた。CCされている、しかしリアルタイムに知る必要がないメールは通知をオフにできる。またメーリングリストを自動退会する機能もある。全てのダイレクトメールに効くわけではないが、既知のメーリングリストならば自動退会をメールクライアント内でできる。
この他、オフラインデバイスの検出機能、スクリーンタイム、Catalyst対応アプリがどの程度増えていくのかも注目していきたい。CatalystはmacOSとiOSの間をつなぐ鍵となる技術だ。iOSアプリの開発者がどこまで、この機能を通じてMacへのアプリ提供にコミットするのか興味深い。
Macよりもはるかに大きくなったiOSの開発コミュニティー、ユーザーコミュニティー、サービス事業者がもたらす恩恵を、Macユーザーにもつなぐ仕掛けは以前から少しずつ盛り込まれていたが、今回のリリースでその取り組みが大きく進んでいる。その成果がはっきりとした形で出てくるには、まだ数カ月が必要だろう。OSはあくまでもアプリが生まれてくる土台にすぎない。
一方で、MacからiOSにもたらされているものもあると、あらためて気づいた。
「iPadOS」では日本語入力が大きく改善されていたが、Catalinaの日本語入力(この原稿はApple純正の日本語入力でタイプしているが、驚くべきことに筆者が嫌いなライブ変換をオフにすると、全く違和感なく高効率の入力ができている)とコンポーネントが共通なだけではなく、操作性も一貫している。
例えば、(これも筆者の好みではないが)スペースバーの扱いを直前の入力文字種によって、半角の空白か全角の空白かを自動的に切り替える、といった振る舞いも統一されていた。もちろん、慣れ次第であるため、不満に感じるユーザーがiPad、Macそれぞれにいるだろうが、長期的にみればiPadとMacのキーボードによる日本語入力が統一されるという意味でプラスに作用するかもしれない。
なお、普段は「ATOK」や「Google日本語入力」を使っている筆者だが、キーアサインできないことを除けば、入力効率はそれらサードパーティー製よりも高いレベルにあると感じている。Catalinaを導入したならば、一度試してみるといいだろう。
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