Windows on Snapdragonが普及しないもう1つの理由に「ラインアップの不足」があると考える。前述の通り、現状での選択肢はSnapdragon 850か8cxであり、基本的にはハイエンド1種類に限られる。
だが、PC販売店を訪れれば分かるように、売れ筋モデルの多くは普及価格帯の製品だ。今回、Qualcommは「8c」と「7c」という2つのSoCを新たにPC向けのラインアップに追加し、ボリュームゾーンの拡大を図った。8cについては8cxとほぼ同様の機能構成で、CPUの駆動クロック周波数が若干下げられていたり、メモリインタフェースが簡略化されていたりする程度で、「8cxほどの機能は必要ないが、(845がベースとなっている)850よりは高速動作」という位置付けになる。
対する7cは普及価格帯への投入を狙ったもので、同社の位置付けでは「エントリーモデル」に属する。SoCのサイズからも分かるように価格面での差別化が図られた戦略製品で、8cが7〜10万円程度のレンジだとすれば、7cは5万円前後のレンジを狙う製品となる。日本でも7cのターゲットとする価格レンジにMicrosoft Officeなどのアプリケーションを付けたPCが比較的売れている現状を考えれば、ようやく普及に向けて大きなステップを踏み始めたといえるのかもしれない。
(取材協力:クアルコムジャパン)
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