Microsoft 365 for Consumerは、これまでMicrosoft 365で提供されてこなかったユーザーカテゴリーの最後のピースとなるものだが、これはイコールで「全てのユーザーをクラウドへ誘導する」という戦略の終着点になる。
かつてMicrosoftの柱だったWindowsという製品は、同社から事業部そのものが消滅し、Windows OSはMicrosoftが提供するクラウドサービスへとユーザーを誘導する窓口の1つという位置付けになった。重要なのは、さまざまな出入り口を通じてユーザーがMicrosoftのクラウドでつながることであり、それがMicrosoft 365という製品というわけだ。
以前に、「『Microsoft Loves Linux』から考える2020年のWindowsとLinux」のタイトルの記事でも触れたが、以前は「Azure上で実行するインスタンスとしてのLinux」というくくりで注目していたLinuxが、現在では「Linux上でも動作するアプリケーション」にも注力を始めている。
「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の機能が強化されたことに加え、より多くのユーザーに“窓口”となる製品を提供することは重要だ。そう考えたMicrosoftは「Visual Studio Code」といったオープンソース製品を筆頭に、重要な製品をLinux上で展開し始めている。
その最新の動きとなるのが「Teams for Linux」で、Teams以外のMicrosoft 365クライアントも順次Linux上に展開されていくことを予告している。
既にモバイルOSプラットフォーム上にクライアントの展開が進んでいることを考えれば、「MicrosoftはもはやWindows(で稼ぐ)の会社ではない」ということを象徴するものになる。ソフトウェアもライセンス販売ではなく、サブスクリプション中心のものへと移行しつつあることを意味している。
先日、Windows 10Xの開発者向け事前テストがスタートすることを紹介したが、同OSが比較的早いタイミングで先行登場し、デベロッパーらにアプリ開発を早期から促す準備を整えている様子がうかがえる。
WalkingCatが紹介していたが、2019年12月19日(米国時間)に「Emulated Multi-Screen Display Device」という申請特許が公開されており、折りたたみ可能なデバイス上でのアプリのテストをどのように行うかのエミュレーターの概要が紹介されている。
スクリーンの状態や角度などをスライドバーで変更できる仕組みで、実デバイスがなくてもいろいろ挙動を観察することが可能だ。実デバイスが登場するのは2020年末なわけで、開発環境が出そろうとみられる2020年春の段階ではソフトウェア上のみでの検証を余儀なくされる。いずれにせよ、2020年は“Windows 10”1つをとっても話題が盛りだくさんだ。
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