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2020年のMicrosoftとWindowsは何が変わる?Windowsフロントライン(1/3 ページ)

» 2020年01月06日 06時00分 公開

 2020年のMicrosoftとWindowsの話題は豊富だ。

 その1つはThe Vergeでトム・ウォーレン氏も「Microsoft has a big year of hardware for 2020」のタイトルの記事で触れているように、Microsoftが製品を発表しながらも、提供が保留されているハードウェアの数々がリリースされるとみられているからだ。

 「Surface Neo」と「Surface Duo」はその最たるものだが、その他にも「Surface Earbuds」「Surface Hub 2X」「Xbox Series X」といった予告済み製品に加え、2019年にアップデートがなかった「Surface Book」や「Surface Go」なども含まれる。

 特にSurface NeoなどはOEM各社から類似デバイスが同時期に出回ると見られ、そういった部分での話題も盛り上がるだろう。

 さて、今回のテーマは「2020年のMicrosoftとWindows」だが、本題はハードウェアではなく、ソフトウェアに注目してみたい。

Surfaceファミリー Microsoftが2019年に発表したSurfaceファミリー

ダミーアプリの存在が示す2020年の“Windows 10”

 2020年は、「Windows 10」が大きく変化する年になる。

 Windows 10の最初のバージョン(1507)がリリースされたのは2015年7月だ。本稿執筆時点までに既に4年以上の月日が経過したわけだが、当初予告されていた機能の多くは実装され、ある程度の安定性も確保したことで「もうこれ以上のアップデートには興味ない(したくない)」と考えている人は少なくないかもしれない。

 安定して使えている環境をいじることで、かえって不安定になるのは避けたいという心理だ。だが、2020年にWindows 10は大きく環境が変わることになると見込まれている。1つは2020年にリリースされる「Manganese」と呼ばれるWindows 10の最新バージョンではOSコアの仕様が大きく変更されるという。

 詳細については、2020年5月後半に米ワシントン州シアトルで開催される「BUILD 2019」カンファレンスで説明される可能性があるが、コア部分のブラッシュアップに加え、「Windows Core OS(WCOS)」と「C-Shell(Composable Shell)」の組み合わせでOSがコアとUIに分離されることになるとみられる。

 まだウワサの域を出ない話題ではあるが、その成果の1つとして登場するのが「Windows 10X」であり、同OSは2020年ホリデーシーズンにSurface Neoや同種のOEMデバイスとともに出荷されることになる。正直なところ、2020年に出荷される“純粋なWindows 10”がどれほどWCOSの影響を受けるかわからないが、Windows 10の周辺で大きな変化が感知されつつあるのは確かなようだ。

 今、Windows 10周辺でウワサになっているものの1つに、「Windows Feature Experience Pack」というものがある。イタリアでMicrsoftやWindows系の情報発信を行っているAggiornamenti LumiaというアカウントがTwitter上に投稿した画像が次となる。

 これについて、MicrosoftやWindows関連の最新事情に詳しいWalkingCatがTwitterでコメントを加えているが、Microsoft Storeでダウンロード可能なこの謎のアプリは、最近になってアイコン画像が「ダウンロード」を模したものに変更されている。

 興味深いのは、このWalkingCatが示すリンクを使って当該のアプリの説明ページを開くことはできるものの、Microsoft Storeの検索機能を使ってアプリは発見できない。またアプリをダウンロードしてもすぐに削除が行われる仕組みであり、実際にはまったく機能しない“ダミー”のアプリであることが分かる。

 問題のWindows Feature Experience Packについては、ある報道によれば、先日Fast Ring向けに提供が行われた「Build 19536」において、システム設定内に関連の表記があったことを一部ユーザーが報告している。

 これは想像の範囲だが、Windows Feature Experience Packとは、Windowsにおける機能拡張をつかさどる「追加パッケージ」のような仕組みを示唆しているのではないかという考えが浮かび上がってくる。

 WCOSのアイデアとどの程度リンクしているのかは不明だが、近い将来、おそらく2020年以降のWindows 10はよりモジュラー化が進み、用途に応じてある程度UIを変化させられるのではないかと考える。Windows 10Xはそれが2画面デバイスに拡張されたものであり、“Windows 10”もまたニーズによってユーザー自身が変更を加えられるのではないかというものだ。

 WalkingCatは別の投稿でも触れているが、「Core OSとUIの開発チームが分離し、より開発ペースを早くしようとしているではないか」という考えがある。

 Microsoftは2019年4月に「Fast Ringには『19H2』ではなく『20H1』のテストを行ってもらう」と方針表明を行っているが、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、これは「Azureに連動する形でOSの“コア”を開発するチームがそのリリースターゲットを2020年に設定しており、Fast Ringにおけるテスターをそちらの検証に割り当てるため」だという。

 通常、OSコアの開発は比較的先の世代をにらんでじっくりと開発を進める必要があり、それがManganeseの世代でテスト環境のUIチームとの分離になって表れた。WalkingCatが示唆するのは、こうした開発体制が今後のWindows 10の「モジュラー化」並びに「UI機能の独立したリリース」につながっていくのではないかということだ。

 続いては、ぶり返すあの話題を見ていく。

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