NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が1月23日に発売した「LAVIE First Mobile」は、小学生を中心とする子ども向けに開発したデタッチャブルタイプの2in1 PCである。税込みの実売価格は9万円弱と、価格は比較的手頃だ。
NECPCがコンシューマー向けに“子ども”にターゲットを絞った製品を出すのは今回が初めてではあるが、小学校をはじめとする教育機関において法人向け製品は広く導入されている。
LAVIE First Mobileは、ほぼ同一仕様の教育機関向けモデルをベースに開発されたモデルで、学校がベースモデルを導入していることが前提となるが、学校とほぼ同じPCを家でも使えることが大きなメリットだ。
2020年度から、いよいよ小学校でのプログラミング教育が必修化される。そのこともあり、子ども向けPCへの関心やニーズが高まっている。必修化といっても、新たに「プログラミング」という教科が新設される訳ではなく、あくまでも算数や理科といった既存の教科中で「プログラミング的思考」を追加するという立て付けだ。
また、文部科学省は、「1人1台の学習用端末」と「高速大容量の通信」を一体的に整備する「GIGAスクール構想」を発表しており、2022年夏までに全ての小中学校で少なくとも3クラスあたり1クラス分の台数(※1)の学習用端末を配備することを目標として掲げている(参考記事)。
筆者には公立中学校に通う娘と公立小学校に通う息子がいるが、2人どちらも学校のコンピュータ室にクラス全員が1人1台使える2in1 PCが配備され、それを使った授業が時々行われているという。さらに筆者は以前から「STEM教育」(※2)に関心があり、地元の「CoderDojo(小中学生を対象とする自主性重視のプログラミング道場)」にメンターとして参加している。
今回は、マイクラ(Minecraft)好きの小学6年生の息子にも使わせつつ、LAVIE First Mobileの実力を探ってみよう。
(※1)例えば、40人学級が6クラスある学年なら、少なくとも120台(40人×3クラス分)の学習用端末を配備することを目指す
(※2)「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「数学(Mathematics)」に関する教育
まず、LAVIE First Mobileのスペック回りをチェックしていく。
先に言っておくと、LAVIE First Mobileは学習用端末としての要件を全て満たしている。店頭販売モデルと直販モデル(LAVIE Direct FM)の違いは以下の2点だ。
「キーボード込みですぐに使いたい」「Wi-Fiのある環境でしか使わない」というのであれば店頭販売モデル、「LTE通信も使いたい」「キーボードは別になくても構わない(タブレットとしてのみ使う)」というなら直販モデルがお勧めだ。今回は店頭販売モデルをレビューする。
その他の仕様は、店頭販売モデルも直販モデルも共通となる。
CPUは「Celeron N4100」(1.1G〜2.4GHz、4コア4スレッド)を搭載する。開発コード名「Gemini Lake」と呼ばれていたCPUの1つで、TDP(熱設計電力)が6Wと消費電力がとても少ないことが特徴だ。
最近では組み込み機器で使われることの多い「Atom系」のCPUで、一般的なPCで使われる「Coreプロセッサ」や、それをベースとするCeleronプロセッサと比べると性能は低めだが、4コアということもあり、文書作成やネットサーフィンなどの比較的軽い作業なら十分こなせる。
メインメモリは4GBで、GIGAスクール構想の学習用端末の要件を満たしている。とはいえ、コスト面もあるだろうが、アプリケーションの動作を考えると、できれば8GBはほしかった。ただ、詳しくは後述するが、同時に多くのアプリケーションを起動しないのであれば、意外と不満は覚えない。
ストレージは、128GBのeMMCだ。学習用端末の要件では、ストレージは「64GB以上」とされているので、その2倍の容量を備えていることになる。もしもストレージが要件通りだったら、アプリケーションをいくつかインストールすると、Windows Updateが満足に行えない恐れもある。潤沢とまでは行かないまでも、ストレージが128GBあれば、運用はかなり楽になる。
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