もう一方の「コール」だが、こちらは基本的に別アカウントへの発信が主だ。アドレス帳から収集した連絡先を使って発信するため、遠隔地にいる別ユーザーとの会話に向いている。感覚的には電話そのもので(ビデオ以外に音声のみも選べる)、いわゆるオンライン帰省に使うのはこちらということになる。
こちらは特定のデバイスではなく、アカウント宛てに掛けるので、アカウントにひもづいている全デバイスが応答する。先ほどの「呼びかけ」とは異なり、相手が応答ボタンを押すまでは自動的につながったりはしない。どれか1台で応答すればそのまま通話開始、どれか1台で拒否すれば全てが拒否になる。
基本はあくまでも別アカウントへの発信だが、同じアカウントへの発信も可能で、Echoデバイスから発信する場合に限り、着信先として特定のホームデバイスを指定できる。ここだけ見ると先程の「呼びかけ」とそっくりだが、相手が応答ボタンを押さない限りはつながらない点が「呼びかけ」と異なっている。
そのため、家庭内でビデオ通話をするにあたり、勝手につながるのではなく、家族が許可したときだけつながるようにしたい場合は、あえて「呼びかけ」ではなくこちらの「コール」を使う手もあるだろう。また家庭内でも家族がバラバラのアカウントを使っている場合もこの「コール」になるだろう。
以上のように、「呼びかけ」=同一アカウントのデバイスが対象、「コール」=別アカウントが対象というのが正しい役割分担だが、どちらももう一方の接続対象をサポートしているので、機能の有無で○×をつけるとどちらも同じになるのがややこしい。つながった後の画面もウリ二つなため、なおさら混乱する。
とはいえ、「呼びかけ」で別アカウントと通話するには相手の許可が必要で、「コール」であえて同一アカウントに発信するのは、隣室にいる家族相手に外線をかけるような非効率さがあるので、やはり役割分担としては前述の通りになる。あるいは「呼び出しなしでつながるか否か」が両者の違いと考えておいた方が、分かりやすいかもしれない。
使い方のコツとして、宅内に設置するデバイスは、端末名ではなく設置場所の名前にしておくとよい。端末の名称は忘れても、設置場所=誰の部屋にあるかを忘れることはないので、直感的に呼び出せるからだ。ただし、デバイスの置き場所をひんぱんに移動させたり、デバイスの割り当てを家族間でたびたび変えるたりする場合は、デメリットの方が大きいので注意したい。
これらAlexaのビデオ通話機能で1つ使いづらいのは、「コール」で用いる連絡先が、スマホのアドレス帳から自動的にインポートされることだ。利便性は高いがプライバシー的にはあまり望ましくないので、セットアップ完了後は同期をオフにし、必要なもの以外は全て手動削除することをお勧めしたい。
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