今回レビューしているThinkPad T14s Gen 1はIntelモデルで、以下の様なスペックとなっている。
カスタマイズモデルに当てはめると、7月2日時点ではCPUとメインメモリはほぼ最上位クラス、SSDはミドルクラスとなる。比較対象として、以下のような構成のノートPCも用意した。
まず、CPUのパフォーマンスをチェックすべく「CINEBENCH R20」を実行した。結果は以下の通りだ。
同じ4コア8スレッドCPUではあるが、動作クロックの向上などの効果もあり確実にパフォーマンスは向上している。
次に、PCとしての総合性能をチェックすべく「PCMark 10」の通常モードでテストを実施した。結果は以下の通りだ。スコアは「総合」「Essentials(日常使い)」「Productivity(事務作業での使い勝手)」「Digital Content Creation(デジタルコンテンツの作成パフォーマンス)」の順に列挙している。
こちらも、比較対象よりも確実に性能は向上している。ただし、グラフィックス機能を利用するDigital Content Creationにおける数値の伸びは控え目である。
3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックすべく、「3DMark」のNight Raid(DirectX 12)テストと、「ファイナルファンタジー XIV 漆黒のヴィランズベンチマーク(FF14ベンチ)」も実行した。結果は以下の通りだ。FF14ベンチは、ノートPCの「標準品質」「高品質」の順でスコアを列挙している。
3DMark Night Raid
FF14ベンチ
いずれもThinkPad T14s Gen 1が良好なスコアを残した。しかし、独立GPUを備えるノートPCと比べると控え目な数値ではある。PCゲームをプレイするなら、グラフィックスの負荷が低いものを選ぶか、設定を変更して描画負荷を低して楽しむ必要があるだろう。
ストレージの性能をチェックすべく、「CrystalDiskMark 7.0.0 x64」を標準設定で実行した。Seq1M Q8T1(1MiBシーケンシャル、8キュー、1スレッド)の結果は以下の通りだ。読み出し、書き込みの順で列挙する。
ThinkPad T14s Gen 1に搭載されているSSDは、NVMe規格のものとしても比較的高速だ。これなら、データの読み書きで不満を抱くことはないだろう。
最後に、ThinkPad T14s Gen 1のバッテリー持ちと、パフォーマンスを要する処理中の騒音と発熱をチェックしよう。
まず、バッテリー持ちを「BBench 1.0.1」で確認した。ディスプレイの輝度は10段階中のレベル6に、電源プランはパフォーマンス寄りのバランスに設定している。結果は11時間32分3秒(41523秒)だった。使い方次第ではあるが、ビジネス用途であれば就業時間中は充電なしで使えそうだ。
次に、先述の3DMark Night Raidテスト中に、手持ちの騒音計と非接触温度計で騒音と発熱を確かめた。電源プランを「パフォーマンス優先」にした場合の結果は以下の通りだ。
表面温度について、パームレストは31度以下に抑えている一方で、キートップは40度を超えている。Jキー周辺のホームポジションで右手がかかるエリアは「うーんちょっと熱いね」と体感で明確に分かる。
そこで、電源設定を「バランス」に戻して再度計測してみた結果が以下の通りだ。
この変化は、特に“Jキー周辺のホームポジションで右手がかかるエリア”で明らかに体感できる。少なくとも「うーん、熱い」で収まるレベルだ。
これからの季節、キーボードが暑くて不快と感じる場合は、電源プランを控えめにするのが望ましいだろう。
独立GPUを搭載できる通常のThinkPad Tシリーズとは異なり、「s」の付くスリムモデルは、画面サイズが同じThinkPad X1 Carbonの“影”に隠れやすい存在となっている。ただし、X1 Carbonの位置付けが「14型薄型軽量の“フラグシップ”ノート」とされたことで、価格面で有意な差が出ている。
CPUをCore i5-10210U、メインメモリを8GB(4GB×2)、ストレージを256GB SSD(NVMe)、フルHD液晶、Windows 10 Home(64bit)という構成でカスタマイズすると、7月2日現在の税込み直販価格(クーポン適用後)は以下の通りになる。
X1 Carbon Gen 8の機能と、約6(幅)×9(奥行き)×2(厚さ)mm、約300gの省スペースで軽量なボディーに「価格差」の価値を見出せるユーザーなら、X1 Carbonで良いだろう。そうでなければ、ThinkPad T14s Gen 1を選ぶと幸せになれるだろう。
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