「27インチiMac」は2020年にどんな進化を遂げたのか 初の10コアCPUモデルで性能を確かめる本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2020年08月14日 17時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

 Appleは8月4日に新型の「27インチiMac(Retina 5K, 27-inch, 2020)」を発表した。同日に受注を開始し、既に出荷も行っている。

iMac 8月4日に発表された新型の「27インチiMac(Retina 5K, 27-inch, 2020)」

 新型とはいえ見た目に限れば、2012年から採用を続けているデザインに一切変更がない。モデルチェンジに伴い、ディスプレイ下部にある余白がなくなり、額縁とディスプレイだけのクリーンな外観になるのかも? との期待もあっただろうが、少なくとも今回はそうしたアップデートがなかった。

 しかし、システム全体のアーキテクチャは違う。外観が従来機と区別できないほど同じである一方、システムアーテクチャは抜本的な改善が施され、(やっと)他の最新型Macと同様のハードウェア構成となった。CPUとGPUの更新による高性能化はもちろんだが、最優先で伝えるべきはハードウェア構成の変化が、どれだけiMacを変えたかという部分だ。

 iMacはAppleが販売する製品の中で、同社の技術トレンドから遠い存在だった。2012年以降、液晶パネルの高精細化は行われたが、それを除けばIntelやAMDのCPU・GPUアップデートに合わせた性能強化が主な話題だった。オプションでSSDも選べたものの、フラッシュメモリとHDDのハイブリッドメディアであるFusion Driveを採用し続けた。

 しかし、新しい27インチiMacではやっと「Apple T2」チップが搭載され、ディスプレイ仕様もリファイン。ベースモデルのストレージもFusion DriveからSSDに変わった。外観からは想像もできないほど大きなアップデートになっている。

Apple T2チップ搭載で変化したこと

 iMacはMacの中で最も古いアーキテクチャだった。外観デザインの話ではない。唯一、T2チップが搭載されていないMacだったのだ。T2チップはセキュリティ対策チップとしてデビューし、現在でもAppleは「T2 Securityチップ」と表現しているが、その中身は(どの世代かはともかく)AppleのAシリーズプロセッサ、すなわちiPhoneなどで使われているSoC(System on a Chip)を別の形で活用しているものだと考えられている。

T2 ついにiMacもApple T2チップ搭載に

 T2チップの主な仕事はSSDのハンドリングだ。その際、ストレージに記録する情報の暗号化も担当しており、Intelアーキテクチャのシステムとは完全に独立した形でストレージの安全性が保たれている。

 T2がセキュリティチップといわれているゆえんだが、T2チップにはiPhoneが通常備えている他の機能も内包されている。例えばH.264コーデックのアクセラレーションで、動画圧縮時に用いることができた。

 つまりAppleがiPhone向けの投資として半導体に実装しているさまざまな要素を、Macからも利用可能にするチップがT2といえる。

 今回、27インチiMacにT2が搭載されるようになったことで、16インチMacBook ProMacBook Airが受けていた恩恵が、iMacでも受けられるようになったということだ。

 例えば解像度が上がった内蔵カメラ「1080p FaceTime HDカメラ」は、1080p対応になっただけではなく、S/Nがよくコントラストも高い映像が得られる。

FaceTime ディスプレイ上部に内蔵のFaceTime HDカメラは1080pに高解像度化

 もちろん、センサーの刷新で画素あたりの質が高くなっているのだろうが、カメラ開発競争の中にあるiPhone向けの開発成果をMacに生かしたともいえる。T2の中にはiPhoneで使われているISP(Image Signal Processor)が組み込まれ、カメラの映像をT2で処理してからMacに引き渡される仕組みになっているからだ。

 同様の成果はオーディオ面にもある。3つのマイク音声を用いて信号処理を行い品質を高めたマイクの技術は、16インチMacBook Pro以降で導入されているものと基本的には同じだ。音域バランスやS/Nもいいが、ステレオ感も豊かな音がとれるようだ。

 スピーカーの音質補正も同じ。従来も補正技術や低域の量感を補正する技術は用いられていたはずだが、それをT2が搭載する信号処理でスピーカーの音声を改善する。「Hey, Siri」がいつでも呼び出せるのもT2チップの仕業である。

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